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カンカク 作者:

第3回  
「え。何?どした??」
高橋は目を大きく見開いた。びっくりしてるらしい。
まぁ、びっくりもするだろう。
今まで女の話をしたことなんて一度たりともないのだから。
「あー・・・西華に、知り合いが出来て・・さ。学祭来てって。」
俺の話を高橋は2割しか信じてないようで、携帯を取り出し、メアドを
見せるとさらにビックリした。
「え!?壱ちゃんじゃーん!あのこ可愛いよなぁ。どうした?」
「お前彼女いるだろ。まぁ、今朝電車で横に来て、話した。」
 その事を話すと、高橋は口をあんぐり開けてボクを見てきた。
「で、高橋の彼女の名前教えて。」
「あ。そうだった。沢倉未明(さわくら みめい)だよ。」
ふーん。それで未ッちゃんね。
「な。高橋、一緒に行かないか?」
ボクがそう言うと、高橋は現実を口にした。
「いいけどさ、テスト2週間前だぞ?俺は行くけど・・・三河、
大丈夫か?」
 大丈夫じゃありません。2週間前って!進学校なのに・・・
無理だよ。でも・・・会いたいんだ。壱に。
「行く。」
ボクはそう言うと、図書館の自主室へと向った。
 行くからには今から勉強せねば。学祭に行く時間があったら、
13時間は勉強できる。だから、今のうちにー・・・。
 ボクは思った。今まで好きな女なんて作ったことないし、女なんてくだらないと
思う。勉強以外は面倒だし、くだらない。なのに・・・なんで
こんなに壱に会いたいんだろう。
 心臓が動悸を打つ音が耳障り。なんでこんなにも壱に会いたいんだろう。
 ボクはそう思いながら自主室の机に参考書とノートを広げて
勉強をし始めた。
 そう。この調子で勉強していれば、楽だ。

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「えーっ?いっちゃん、どうしたのよぅ。」
「え?顔赤い??」
「うん。私こんないっちゃん始めてみたよー」
 なんで?なんか、未っちゃんが不思議そうな顔で私を覗き込む。
双のことを考えると、なかなか授業に集中できなくて、せっかくの放課後
も台無し。
「それで、一生君の学校の人と仲良くなったんだって?」
「あぁ。うん。三河双って人。」
私がそう言うと未ッちゃんがビックリした。
「え!三河君?あの人勉強しぃだよ??がり勉だよ?今までのいっちゃんの
彼氏とは全然違うよー!」
 未ッちゃんは慌てて私に説明してくれた。
「でも、笑ってたし、正直者だったよ?名前が容姿とは全然違うねって。」
私が口を開くたび、彼女はビックリしてシェイクを噴出しそうになっていた。
「三河君かぁ。一回ね、私あった時、『おつむ大丈夫?』って言われた。」
 そんな人には見えないのにな。
 私の携帯がなったので未ッちゃんに「ごめん」と言って携帯を開くと、
双からのメールだった。

 *壱へ*
学祭行けそう。
また会おう。
+双+

 用件はたった2行。なのにこんなに心があったまるー。
「ね、いっちゃん。三河君のこと好き?」
未ッちゃんが聞いてきた。
「うん。好きみたい。」
 未ッちゃんは私に微笑んでくれた。あまりにも可愛くて、シェイクをおごって
あげてしまった。
 明日、電車に乗ろう。

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Novel Editor by BS CGI Rental
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