気がついたら、バックから少し離れた草原に立っていた。バックの城門が、しっかり見える距離にいたのでそのまま、バックの町に入った。 いつものように、町は活気づいていてとてもにぎやかだった。ひとまず、宿屋に行き止る準備をしたらそれぞれは、自由行動といわれた。 自由行動といわれても、何をすればいいかわからないのでひとまず部屋に行き本でも読もうとしたら、部屋にキールがいた。 「あれ?キールは、どこか行かないの?」 「ああ、お前に聞いて起きたことがある」 「なに?」 「お前の命は、後どれぐらいもつんだ?」 いきなり、そのことを聞かれて驚いた。まだ、誰にも話していないのにキールが知っていることに。 「なんで、それを…」 「試練で、全てを見せられた…。全てを、な…」 「そうか、そうだね。もっても1年と言うところかな」 「なんで、そんなに短いんだ!?お前の体は、元に戻ったんじゃ…。」 「元に戻った。だけど、実際は魔力で作り上げた体だからどっちみち限界がある。それに、僕もいつ消えるか、わからない…」 「なんで、今まで言わなかった?」 「言うのが、怖かった…」 「そうか、俺はこれ以上言わない。だが、2年前のような無茶はするな。また、お前を失うのはつらいから…」 「わかった、約束する。でも、僕のことは誰にも言わないでね」 「何でだ?」 「みんなには、心配をかけたくないから」 「そうか…。おっと、そろそろ夕方だな。たぶん、みんな夕食に行ってると思うから、俺らも行くか?」 「キールは、話をそらすのが速いねぇ。じゃあ、行こうか」 食堂にいき、みんなが待っていたのですぐに席について食事を済ませて、早めに休んだ。
大きな揺れに驚いて、ベットから跳ね起きてしまった。なんだと、思って窓の外を見たら、町が真っ赤に燃え上がっていた。 「一体、何が!?」 そう、思った瞬間。空から魔物が飛んでいるのが目に入った。そして、上空に黒い球体が浮いていた。やはり、さっきの揺れでキールたちも起きたらしい。 「何が、起きたんだ!?」 「わからない、でも町に魔物が…」 「何!?すぐに、撃退に…」 みんなを起こして町に出た。町中にはすでに何匹もの魔物が暴れていた。それぞれ、ばらばらに分かれて、撃退に当たったがなかなか数が減らない…。 「これじゃあ、きりがないよ」 「どこから、出ているのだ…」 キールが上を見上げたら、黒い球体から次々に出ているのがわかった。 「あそこが、本体か!?」 「どうする?あそこに、乗り込みしかない!!そうしないと、きりがない」 「でも、どうやって…」 「わからない…」 キールが、黙り込んでしまったときに、頭の中に響くような声がして目の前にラミスが現れた。 『僕が、運んで行くよ。あそこに、エイシストもいるし』 「その声は、ラミスか!?」 『そうだよ、エイシストが移動しているのを伝えるのと君たちと一緒に戦うために来たよ』 「本当なの!?」 『もちろん、じゃあよろしく』 「レオン、こいつは…?」 「ラミスって言って、試練のときに相手をしてくれた人だよ」 「そうか、あそこにエイシストがいるんだな」 『そうだよ』 「俺たちを運んでくれ!!」 「了解♪」 「ちょっと待ってよ、全員で行ったら町の人たちが…」 「あ…。そうだったな…」 困り果てていたときに、ディプレスが言った。 「良かったら、僕たちが町に残るよ」 「いいのか?」 「うん、そっちに行ってもがんばれそうにないから。こっちの方の魔物をね」 「じゃあ、頼むぞ」 ディプレスたちが、うなずいて魔物が多くいそうな所に走って行った。 「こっちも、がんばるか。ラミス頼む」 目の前が、一瞬まぶしくなり目を開けたときには、床はごつごつした岩で出来ていて、周りは闇だけが広がっていた。 奥に、道が続いていたので歩いて行くと大きな広間になっておりエイシストが、呪文を唱えていた。 やつも、僕たちが来たのがわかったらしく、背中を向けていたがこっちを向いた。 「ほぉ、お前たちか。あのときに、死んだと思っていたのにしぶといやつらだ…」 「これ以上、お前の好きにはさせない!!」 「ほぉ、そうか。そう言ってられるのは、今のうちだ。これを見よ!!」 宙に、何か映像が浮かび上がった。場所は、見覚えがある…。レペット大陸のセイナだ。 「何をするつもりだ!?」 「まあ、見ていろ」 そう、言った瞬間セイナが光に包まれ、光が消えたときには跡形もなくなっていた。 「早くしないと、全て消し去るぞ」 「くそ!!」 キールがそう言うと、剣を抜き走り出した。 僕とラミス、アシス後に続いて、斬りかかるが全て防御されてしまった。オペラの魔法とライナスさんの弓の攻撃もすぐに消されてしまった。 弾き飛ばされた、キールに近寄り僕は小声でささやいた。 「まともに戦っては、勝ち目がないから。キール、少し時間稼いでくれる?」 「いいが、何をするもりだ?」 「とっておきを奴にぶつける」 「わかった」 小声で、言ってキールが走り出し奴の腹を目掛けて剣を突いた。やはり、奴の壁によって弾かれてしまったが、何度も切り刻む。 その間に僕は、奴から見にくいところに移動をして、呪文を唱え始めた。 何度も、見えない壁にキールは邪魔されてしまいなかなか傷をつけること出来なかった。 「何度やっても同じだ!」 「なら、これはどうだ」 そう言って、キールが一歩前に踏み出した瞬間、一瞬でエイシストの背中に回り斬り刻んだ、奴も一瞬だったので油断していたのかそこには壁はなく紫色の血が噴き出した。 「ほぉ、やるじゃないか。だが、これで最後だ!!」 エイシストの体が、金色に光って大爆発した。かなり、離れていたはずなのに爆発に巻き込まれて、誰も回避することが出来ずに全員その場に倒れた。 「ははは!!見ろ、貴様らではやはり勝てないのだよ。これで、何もかも終わりにしてやる」 もう一度、エイシストの体が金色に光、爆発の準備に入った。 そして、爆発しようとした瞬間にエイシストの動きが止まった。 「っぐ!?」 「なんとか、気づかれなかったようだね…」 僕は、そう言うと剣をさらに深く突き刺した。 「貴様、いつのまに!」 「水人族の力を借りて、後ろにね…」 「そういうことか…。だが、私もただでは死なない!!」 エイシストの体から、黒い玉が現れ徐々に膨れ上がっていく。 「なんだ、あれは!?」 「膨大な魔力の塊だ!!この量だと、たぶん両方の世界を一瞬で消し飛ばすほどの力が…」 「ただでは死なないってこう言うことか。くそ…、どうすれば」 なすすべもなく、みんなは途方にくれていた。 「ひとつだけ…。ひとつだけ方法があるよ」 「みんな、僕に力を渡してくれない?」 「それで、どうするつもりだ。世界をひとつにして、あの玉を破壊する」 「まてよ!!どういう意味か説明しろ」 「わかった…。これは僕にしか出来ない、そして玉を破壊したら玉の魔力が一気に破裂して両世界を飲み込んでしまう。だから、爆発のエネルギーを利用してひとつの世界にしてこの空間を無くす。そうすれば、爆発は異次元空間で爆発することになる。長いけどわかった?」 「わかった、俺の力。受け取ってくれ」 キールが僕の手をつかみ体の中に力が入ってくるのがわかる。他のみんなからも、力をもらいこれなら、行ける。 玉の前に、立ち玉に両手を差し出す。 「みんなは、今のうちに脱出して」 「え!?どうして、あなたは?」 「僕には、玉の破壊と世界の融合をしなくちゃならない。それはこの場でしかできない。でもその時、ここは異次元空間になる。」 「まさか、最初から…」 「ごめんね…。みんなには、どうしても生きていてもらいたいんだ。犠牲になるのは僕だけでいい」 みんなが、悲しい顔をして駆け寄ってきた。 「レオン、やっぱり。昨日の宿屋で止まったときから決めていたんだな」 「!! キールなんで知ってるのよ」 「すまない、こいつから口止めされてて…」 いきなり、大きく揺れ始め天井が崩れ始め玉がさらに大きくなった。 「まずい、もう時間がないよ。早く脱出して」 「……。レオン、今までありがとう」 「レオン君、君の事はけして忘れない…」 「そう言ってくれるとうれしいね。カシス、ライナスさん、いつも迷惑かけてごめん」 カシスとライナスは、入り口の方向に走って行った。 『レオン、本当にこれでよかったの?』 「これは、僕の選んだ答えだよ。短い間ありがとう、ラミス」 『君の名前は、歴史にずっと刻まれるだろうね』 ラミスも、入り口の方に走って行った。 「レオン、さよならは言わないわよ。また、会えると信じてるから」 「今思うと、お前との付き合いも長かったな。2年前、魔物に襲われた村で出合って」 「そうだね。でも、なんか最近のような感じがする」 「そうだな…。そろそろ、俺たちも行ったほうがいいな」 「あ!!待って、キール、オペラ。これを受け取ってほしい」 僕は、キールには剣をオペラにはペンダントを渡した。 「ずっと、これを持ってて欲しいんだけどいいかな?」 「ああ、ずっともってるぜ」 「ありがとう」 「またな…」 キールとオペラが、入り口の方に走って行き姿が消えるのを確認するとさっそく取り掛かった。 「なぜだ、なぜお前は自分の身を削ってまでこの世界を守ろうとする」 「僕は、みんなの世界を守りたいだけだ」 「そうか、では共に滅びよ!!」 エイシストの玉が、一気に輝き、そして大爆発を起こした。爆風に巻き込まれ、薄れていく意識の中、世界をひとつにし、何もかもなくなった。さらにエイシストの魂を何個かの宝玉に封じ込め、どこかに飛ばした。 全てのことをやり終え、静かにまぶたを閉じてつぶやいた。
「キール、今までありがとう…。そして、さよなら…」
そのころ、キールたちが空に浮いていた黒い球体から脱出して地上に降りた瞬間、黒い球体が爆発し、一瞬周りの風景が歪み、色々なものがひとつになっていく。 「これは…。そうか、レオンのやつやったのか…」 「何もかも、終わったのよね?」 「ああ、終わった。何もかも…」 「これで、よかったのかしら」 「わからない、でも。あいつが消えたとして、俺たちの中では生き続けている。そうじゃないか?」 「ええ、そうね…」 オペラが、涙目でキールに笑顔を見せたが、抱きつき泣いた。 こうして、全ての戦いが終わった。
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