そして、森の中を歩いているときエルとクレアは色々な事を話した。 「エル君って何歳?」 「僕は15です」 「あら、そう。私は16なの。・・・じゃあ、“エル”って呼ぶわね。元から、人を君付けで呼ぶのに慣れてないの」 「ええ、いいですよ。じゃあ、僕はクレアさんって呼びます。年上ですし♪」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・うん・・・・・・」 「・・・・・・・・・・・クレアさんは・・・・・なぜ、マグの機関へ向かうのですか?」 「私?私はね・・・・・・・・・・・・・・・・・あなたに話すことじゃないと思うけど」 「ガガ―――ン・・・・・・」 「フフフッ、冗談よっ♪」 「なーんだ、冗談ですかー、クレアさんは冗談が本当に聞こえますよー」 「フフフフフッ・・・・♪私ね・・・・・・・・・・・・・」 それまで笑っていたクレアの表情が急に険しくなった。 ギリシャ彫刻のように端正な顔立ち。その顔が真剣な表情に・・・・・・・
「・・・・あのね・・・・・・・・あの機関には、お父様がとらわれているの」 「クレアさんのお父さん?」 「そう・・・・・・・・・」
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それは2年前。 クレアが14歳のときの事だった。 【ガタ――――ン!!!】 「やめろっ、何をする!!!」 「ロイラー=フローレンス博士。あなたには、我が“クラーネット機関”へ来てもらう」 「何っ!?クラーネット機関だと・・・・!?聞いたことの無い・・・・・・ま、まさか・・・・・!」 「ニヤッ。その通りだとも。我がクラーネット機関は、心の無い抜け殻――マグや、その他にも半身をもがれた“マイオネット”などを作り出す機関だ。フッフッフ・・・あなたのその天才的な頭脳が必要なのだ」 「放せ!!!誰が行くものか、そのような機関など!!」 「フッ・・・・そうだろうと思いましたよ・・・・・・・」 【パチッ】 男が指を鳴らした。 するとたちまち、ニョロニョロとマグが出てきた。 「グワッ!!!」 「お、お父様!?」 「クッ・・・・・クレア・・・・・・・・」 「お父様!!!」 「フン、娘か・・・・・ニヤッ」
「・・・・・・・・・・・え・・・・・・・・・・・・」
男が片手をクレアの目の前にかざし・・・・・・クレアはまばゆい光に包まれた。 そして、クレアの意識は途切れる・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「・・・・・・・・・・ん・・・・・・・・・・・・・はっ!!!お父様!?お父様ぁ!!!!」 クレアが目を覚ますと、家には愛する父はいなかった・・・・・・・・・
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「・・・・ってわけよ。2年前、私はクラーネット機関にお父様をさらわれたの。だから、助けに行くのよ!!2年間も帰ってこれないって事は、何かあるんだわ!!!だから・・・・・・・・・ッッッ!!!!」 「クレアさんっ!?」 「ハァッ、ハァッ、ハァッ・・・・・・大丈夫よ・・・・・・フン、クラーネット機関め、私にも何か土産を置いてったようよ・・・この、時々起こる発作をね・・・・・フッ・・・・」 「なぜ、クレアさんにそのようなことを?それに・・・・・クレアさんのお父さんを・・・・・なぜ?」 「わからないけど・・・・・・・・きっと、父が天才的な学者だからよね・・・・・・・」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」 「ねぇ、エル?エルは・・・・・どうして向かうの?長い事、ガンを持っている選ばれし者を見ていたけど、進んで機関へ行く者なんて初めてよ」 クレアのこの問いに、それまで屈託の無かったエルの表情が険しくなった。
「・・・・・・・・・・・・・・・僕は・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・マグに、両親を殺されました」
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