「ハァッ、ハァッ、ハァッ・・・・・・・・・!!!ハァッ、ハァッ・・・・!・・・・・・・・・・・・・ッッ・・・・・・!!!」 白いフードに身を隠しながら少女は走る。 深い、深い森の中を一心不乱に走る・・・・いや、逃げている。 「んもうっ・・・・!追ってこないでよ・・・!しつこい・・・・!!!」
少女を追っている物――マグ。 ヌメヌメした透明の物体で、体こそあるものの“心”は無い。 いわば抜け殻だ。
そのマグが、ある機関から集中的に出ている。 そのマグが人々を脅かしているのだ。
「・・・・あっ!!」 少女は転んだ。 「・・・・・・イヤァ・・・・・!もうだめ・・・・・・・・・・・!!!!」
【・・・・・・・・・・・・・・・・・バンッ!!!】
《キッ、キオエェェエ・・・・・・・・》 マグはフニャフニャと消えていった。 「・・・・え・・・・・・・・・・・・・・」 「大丈夫ですか!?」
向こうから声がした。
「もう大丈夫ですよ♪」 はにかんだその人物に、少女はドキリとした。 (うわぁっ・・・・かわいい子・・・・・すごい美少女ね・・・・・・・・)
「・・・・あの?」 「ああ、ありがとう・・・・・・・・・・・・・・」 「・・・・一人で森を歩いていたのですか?危ないですよ?この辺は特にマグが出ますし・・・・・」 「・・・・・・・・それでも・・・・・行かなきゃだめなのよ・・・・・・!!!」
そういい、パサッ・・・とフードを落とす。 少女は・・・いわゆる“美少女”だ。 長い茶色の髪に茶色の目。 整った長いまつげに凛とした顔立ち。 そして、どこか謎めいていた。
「・・・・・・・・・・・・・・あの・・・・・・・・・・・・・お供してもよろしいですか?」 「えっ!?」 「・・・見たところ、“ガン”を持ってはいないですよね?でしたら、一人じゃ危ないです。だから、僕がお供しますよ」
(・・・・・・ン?僕?) 「・・・ねぇ・・・君・・・・・もしかして・・・・・・・男の子?」 「えっ?ハイ、そうですよ。よく女の人に間違われますが・・・・・」 「ええええ〜〜〜!!!??男の子だったのぉ!!!???」
少女が間違えるのも無理は無い。 少年は、男にしては長い、薄い栗色の髪の毛で、長さは肩まで。 青く澄み切った瞳。 そして、全体的にも明るく可愛げのあるその姿は、やはり少女にしか見えない。
「・・・あ、ごめんね。・・・・そうね・・・・・・・お供をお願い」 「えっ?あ、ハイ♪あ、僕はエル。“エル=オリヴァー”です」 「私はクレア。“クレア=フローレンス”よ」 「ハイッ♪よろしくお願いしますね、クレアさん!」 「ええ・・・・・・・・・っっ!!!」 「!?クレアさん!?」 「ああぁぁっ・・・・・・!!!ハアッ、ハァッ、ハァッ・・・・・・」
時々クレアには発作が起きる。 時々胸が苦しくなり、しばらくすると治まる。 「ハァッ、ハァッ・・・・・・・・・もういいわ・・・・ありがとうね、エル君。」 「いえ・・・・・・クレアさん、大丈夫ですか?」 「大丈夫よ、こんなのしょっちゅうだもの。・・・・・・それよりも、私は行く場所があるの。お父さんが捕まってるのよ・・・・・」 「わかりました!!じゃあ、行きましょう!!!ところで、どこへ?」 「ああ・・・・・・・・・・・・・・・・・マグを操る機関よ」 「!!!」 「?どうしたの?」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・僕もです」 「え?」 「僕も・・・・・その機関へ行くところでした」 「エッ!?」 「・・・・フフッ、じゃあ行きましょう、クレアさんっ!!」 「ええ・・・・・・・・あなた本当にかわいいわね」 「・・・・やめてください(恥)」
何の運命か少年と少女は出会った。 目的は違えど同じ場所へ向かう。
この二人の運命は・・・・・・・・・・・・・?
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