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灰色同盟 作者:綾音

第16回   第十五章 エルとクレア
一向は北へと進んでいった。その四人の足取りは決して軽い物ではなかった。
全員が寡黙に、そして暗い表情で唯歩くのみだった。

「……………」



無言。沈黙。寡黙。


「…………」




「あああ〜〜!!!もうっ!!!いや、この雰囲気いやっ!!」
静寂を切り裂いたのはリチェだった。
「私ネェ、ダメなのよ!!こういう重苦しい雰囲気!!ダメなの!!ね、何か喋りましょう?落ち込むのもわかるけど…ね!?レイちゃんだって言ってたじゃない!『クラーネット機関を潰して』って!フランツ君も同じ気持ちよ!皆同じ気持ちね!だから…私達がこんなに暗くてどーすんのよっ!!」
リチェが明るく振舞う。無邪気な笑み、こぼれる金色の髪。
「…そうですね!」
反応したのはエルだった。
「すみません。本当なら僕が率先するべきなのに…僕は男だから強くあるべきだったのに…ごめんなさい」
「あら、そういえばエルって男だったわね」
「ク、クレアさん…!」
「クスッ…冗談よ」
クレアもやっと笑った。妖しげな微笑みはエルの心を和らげた。
「…ミスター・オリヴァーは仮にも男だったな……」
やっとユリアも発言した。


「…暗い雰囲気やめましょう!!みんな、今まで犠牲になって行った人たちの分も…強くなりましょう!!」
「そういうエルが一番強くなりなさいよー!」
「ハ、ハィ……」

*********************************
ここである民宿に泊まる事にした。
「四人です」
「ああ、ハイハイ。あ〜ごめん!あいにく部屋が二部屋しか開いてないや!ま、いいでしょ?女四人!」
「え…?」

どうやら店主はエルを女だと勘違いした様子で、部屋割りを『エル・クレア』で一部屋、『ユリア・リチェ』で一部屋に決めてしまった。
「あ、あの…」
エルが女だと間違われても無理は無い。
童顔女顔、それに長い睫毛、優しく頼りなさそうな雰囲気。やはり傍から見れば女で、しかも男に襲われるだろう。

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【バタン…】

エルとクレアは一つの部屋に泊まる事になった。
「あ…あの…その…」
「…プッ…アハハハハッ♪ね〜ぇ?エル…」
クレアが上着を脱ぐとエルは動揺し、それに反応しクレアは笑った。
クレアの膨らんだ胸に細い腰。ウェイビーロングヘアーの茶色い髪。
端整な顔立ち。

やはりここに来て初めてクレアをちゃんと見た様な気がした。

「…エル…」
「はい?」
クレアがエルの耳元で囁いた。












「………変な気、起こしちゃダメよ?」




















「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
ボン!!!と言う音がしたかと思うと一気にエルの顔が真っ赤になった。
初め意味がわからなかったエルだが徐々に徐々に理解し、そして結論に達した時エルは異様なまでに動揺していた。

「へ、へ、へ!?変な気って…変な気って…」
口をパクパクさせそれ以上言えないようだった。

「プ…プッ…アッハハハハハ!ジョーダンよ!ねぇ、エル?」
「ハイ?」
「…守ってよね…あたしのこと」
「え…?」
「…ごめん、なんでもない!」

少しだけ、少しだけ、クレアが哀しそうに見えた。

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Novel Editor by BS CGI Rental
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