『ウガアアアアアアアアァァアアアアアアァァァアアアアア!!!!!!アアアアアァァァァァアアアア!!!!』 「お母さん!?ねぇ、お母さん!?どうしたの!?」
「・・・・・・・下がりなさい!」 ユリアの声。 「・・・・えっ?」
【ドギュウウウウウウウン!!!!】
『キエエエエェェェェエエエ!!!!』 ユリアの撃った弾が、フランツの母の胸に当たる。 「お母さん!!ねぇ、やめてよ!!なんでお母さんを撃つの!?やめて!!!!」
「・・・ウッフン、残念だけどぉ・・・・・・あなたのお母さん、マグに寄生されちゃったみたいなの」 リチェが、哀しげにウィンクしながら言う。 「・・・・・・・マグ・・・・・・・・・?寄生・・・・・・?お母さんが・・・・?・・・・・・・ウソだ嘘だ!!!」 「・・・・・本当よ。だからアタシの妹はアンタの母親を撃ったのよ」 「嘘だ!!!!嘘だ嘘だ嘘だ!!!!うああああああああああ!!!!!!!」 「ちょっとっ、落ち着きなさい!!!」 リチェがフランツを抑えても、フランツは泣き叫んでいた。
「・・・・・・・・・・・・・・・・止めを刺すか」 「まって、ユリアさん!!!」 「?」 エルがユリアの前に立ち、そしてフランツの母に向けてこう言った。 「あのっ・・・フランツ君のお母さん!!!自分を見失わないで!!!!マグに飲み込まれないで!!!!」 「・・・・・ミスター・オリヴァー。何を言う?」 「・・・・・・・・マグに・・・・飲み込まれて自分の子を食べようとするなんて・・・やめて!フランツ君は・・・・お母さんのことが好きなんです!!!!」
『・・・・・フラ・・・ツ・・・・・・・ンツ・・・・・・・・』
【ツゥ・・・・】 《!!!!》
驚異的だった。 フランツの母の目から涙が零れ落ちた。 感情を持たないはずのマグに寄生された人間から涙など・・・考えられなかった。
「・・・・涙・・・・?・・・・・心を持たないマグが涙だと・・・・?」 「・・・・・・・・・・・フランツ君のお母さんが戦ってるんです・・・マグと!自分と必死に戦ってるんです!!!」 「・・・・・・・・・・・フゥ・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・エル・・・・・・・・」 クレアが何かを感じ取ったように呟く。
―――ボクの両親はマグに殺されました―――
エルの哀しげな言葉。 さっき、寄生された人間を説得したわけは・・・・・・・・・・・・・
【ドグンッ!!!】 『!!!!!・・シャ・・・・シャアアアアアアァァァァアアア!!!!』 「!!!」 フランツの母がエルに襲い掛かる。
「エル!!!!」
(・・・・・・・・・・!!!)
『・・・・・・・・・ウッテ・・・・・・・・・・・・・・』
(・・・・・・・・・・・・・・・・え?) エルには全ての動きが止まったように感じられた。 今一瞬声が聞こえた。それは、マグと言う怪物の声ではなく、優しい、フランツの母の声だった。
『・・・オネガイ・・・・・・・・ワタシヲ・・・・ウッテ・・・・・・・・オネガイ・・・・・!コノママダト・・・・・・ワタシハ・・・フランツヲ・・・・タベテシマウ・・・・!!ダイジナダイジナフランツ!!・・・オネガイ・・・ウッテ・・・』
(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・!!!!)
【ドギュウウウウウウウウウウウウウウウン!!!!!!】
クレアのくれた弾で、エルは撃った。
『・・・・・・・・・・・・・・・・・アリガトウ・・・・・・・・・・・・・』
【スゥウッ・・・・】 フランツの母の体から何かが抜け、体は一気に腐敗した。 「お母さん!!!お母さん!!!!ウアアアアアアアアアアアア!!!!!!!よくも、よくもよくもよくもぉ!!!!ウアアアアアアアアアアアアア!!!!!!」 フランツが、母の亡骸を見て泣き叫ぶ。叫び叫び・・・・・狂ったように叫ぶ。
「・・・・・・・エル・・・・・・・」 クレアは、エルに話しかけようとして、ハッとした。
エルが泣いていた。
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