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灰色同盟 作者:綾音

第12回   第十一章 涙
『ウガアアアアアアアアァァアアアアアアァァァアアアアア!!!!!!アアアアアァァァァァアアアア!!!!』
「お母さん!?ねぇ、お母さん!?どうしたの!?」

「・・・・・・・下がりなさい!」
ユリアの声。
「・・・・えっ?」

【ドギュウウウウウウウン!!!!】

『キエエエエェェェェエエエ!!!!』
ユリアの撃った弾が、フランツの母の胸に当たる。
「お母さん!!ねぇ、やめてよ!!なんでお母さんを撃つの!?やめて!!!!」

「・・・ウッフン、残念だけどぉ・・・・・・あなたのお母さん、マグに寄生されちゃったみたいなの」
リチェが、哀しげにウィンクしながら言う。
「・・・・・・・マグ・・・・・・・・・?寄生・・・・・・?お母さんが・・・・?・・・・・・・ウソだ嘘だ!!!」
「・・・・・本当よ。だからアタシの妹はアンタの母親を撃ったのよ」
「嘘だ!!!!嘘だ嘘だ嘘だ!!!!うああああああああああ!!!!!!!」
「ちょっとっ、落ち着きなさい!!!」
リチェがフランツを抑えても、フランツは泣き叫んでいた。


「・・・・・・・・・・・・・・・・止めを刺すか」
「まって、ユリアさん!!!」
「?」
エルがユリアの前に立ち、そしてフランツの母に向けてこう言った。
「あのっ・・・フランツ君のお母さん!!!自分を見失わないで!!!!マグに飲み込まれないで!!!!」
「・・・・・ミスター・オリヴァー。何を言う?」
「・・・・・・・・マグに・・・・飲み込まれて自分の子を食べようとするなんて・・・やめて!フランツ君は・・・・お母さんのことが好きなんです!!!!」

『・・・・・フラ・・・ツ・・・・・・・ンツ・・・・・・・・』

【ツゥ・・・・】
《!!!!》

驚異的だった。
フランツの母の目から涙が零れ落ちた。
感情を持たないはずのマグに寄生された人間から涙など・・・考えられなかった。

「・・・・涙・・・・?・・・・・心を持たないマグが涙だと・・・・?」
「・・・・・・・・・・・フランツ君のお母さんが戦ってるんです・・・マグと!自分と必死に戦ってるんです!!!」
「・・・・・・・・・・・フゥ・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・エル・・・・・・・・」
クレアが何かを感じ取ったように呟く。

―――ボクの両親はマグに殺されました―――

エルの哀しげな言葉。
さっき、寄生された人間を説得したわけは・・・・・・・・・・・・・


【ドグンッ!!!】
『!!!!!・・シャ・・・・シャアアアアアアァァァァアアア!!!!』
「!!!」
フランツの母がエルに襲い掛かる。

「エル!!!!」

(・・・・・・・・・・!!!)









『・・・・・・・・・ウッテ・・・・・・・・・・・・・・』











(・・・・・・・・・・・・・・・・え?)
エルには全ての動きが止まったように感じられた。
今一瞬声が聞こえた。それは、マグと言う怪物の声ではなく、優しい、フランツの母の声だった。






『・・・オネガイ・・・・・・・・ワタシヲ・・・・ウッテ・・・・・・・・オネガイ・・・・・!コノママダト・・・・・・ワタシハ・・・フランツヲ・・・・タベテシマウ・・・・!!ダイジナダイジナフランツ!!・・・オネガイ・・・ウッテ・・・』


(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・!!!!)










【ドギュウウウウウウウウウウウウウウウン!!!!!!】

クレアのくれた弾で、エルは撃った。






『・・・・・・・・・・・・・・・・・アリガトウ・・・・・・・・・・・・・』



【スゥウッ・・・・】
フランツの母の体から何かが抜け、体は一気に腐敗した。
「お母さん!!!お母さん!!!!ウアアアアアアアアアアアア!!!!!!!よくも、よくもよくもよくもぉ!!!!ウアアアアアアアアアアアアア!!!!!!」
フランツが、母の亡骸を見て泣き叫ぶ。叫び叫び・・・・・狂ったように叫ぶ。





「・・・・・・・エル・・・・・・・」
クレアは、エルに話しかけようとして、ハッとした。





エルが泣いていた。

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Novel Editor by BS CGI Rental
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