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灰色同盟 作者:綾音

第11回   第十章 寄生型
――とあるしなびた町。
「お母さん、水もって来るね!!!」
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』
ある少年が、病気である母親のために、何キロも先にある井戸の所まで走って行った。
『・・・・フランツ・・・・・タベタイ・・・・タベル・・・・・・・・・』

***********************************

「暑いですね〜・・・」
「そりゃ、クラーネット機関がどこにあるかなんてわからないもの!探していくしかないじゃない?ちょっと位の遠回りはあるわよ♪」
リチェの言うとおり、クラーネット機関が具体的にどこにあるかなど誰も知らない。それにたびたび場所を変えて襲うため、基本震源地までもわからないのだ。
「にしてもさぁ、エル?あんた、機関の場所知らないのによく旅してるわね?」
「ハイ・・・・・・」


「町だ」
ユリアが事務的に言う。
砂漠のように古くて砂埃が強い小さな町。
「ここで一休みさせてもらおうかしら〜〜〜?」
リチェが能天気に言う。
「・・・あの・・・でも、この町ちょっと古いですし・・・、人たちが困るんじゃないんでしょうか?」
クレアが言った。
「ミス・フローレンス、どういうことだ」
「いえ、この町、見る限り・・・こういっちゃ失礼ですけど、裕福な人がそんなにいないっていうか・・・言い方変ですね、人々が毎日困ってるような様子なので、泊まるなんて悪いんじゃ?」
クレアの言うことはあっていた。
確かに、お世辞にも格好がキレイな人はいなく、誰もかれも、貧乏で粗末な身なりをしていた。
「そうねぇ〜〜〜〜〜〜〜〜」

「・・・あの・・・・・・・、どうしましたか?」

少年の声。
振り向くと、エルより2つほど年下の少年が立っていた。
「あのっ、行く所がないのなら、僕の家に来ませんか?母も歓迎してくれます」
「あらっ、本当〜〜〜〜!!!???助かるわぁ!!」
「ちょ、ちょっとリチェさんっ!あの、無理しなくていいんですよ?」
「大丈夫です。あ、ボクは“フランツ=ドーゼル”です」
「ボクはエル=オリヴァーです♪」

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――フランツの家。
「お母さん!お客人だよ!」
『・・・・・・キャク・・・・・・・・・・・・・・・・・・キャク・・・』
「あ・・・お母さんは、最近少し変なんだ。でも、それは最近の流行り病なんだ」
「流行り病?」
クレアが聞く。
「はい。ここ最近、意識がもうろうとしておかしなことを言う病気が流行ってて・・・最終的には腐敗してしまうのですが・・・ボクはあきらめてません。死んでしまう病気でも、母は治ると信じてますから」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・姉さん、“寄生型”ね」
ユリアが言う。
「・・・そうね・・・・・これは寄生型ね」
「・・・・寄生型?それってなんですか?」
クレアがリチェに質問する。
「・・・人間に寄生するマグのことだ。寄生型マグは、人の魂を吸い取り人の体を腐敗させる・・・邪悪なヤツだ」
「えええっ!!・・・・この町に、マグが流行ってるって事?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・、ミスター・ドーゼル。この町に・・“マグ”はいるか?」
ユリアがフランツに聞いた。
「マグ・・・聞いた事はあります。隣町で騒ぎになっている妖怪でしょう?ですが、この町にはありません。この町は平和です」
「・・・・・ちっとも平和じゃない」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・え?」


そのとき。


『ギイイシャアアアアアアア!!!!』

《!!!!!!!!!》
「おっ、お母さん!?」


フランツの母――いや、フランツの母の中にいるマグが、暴走し始めた。

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Novel Editor by BS CGI Rental
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