何もなかったように 授業は進んで 時間は 流れた
只 違うのは
――――・・・ 英美さんの 怖さに 怖じ気づいた あたしたち
「英美さん部活一緒に行こう」 「え、めんどい」
何時も通りの英美さんだ。
「ええ、そんなこと言わずに〜」 「仕方ない、待っててやる」
軽い足取りで てんてん と 鞄を取って 英美さんの隣を歩く 彼女は心なしか 嘲笑っている様な気がした
あたし達は美術部 あたしは美術部の先輩にも嫌われてる
「ねえ、英美ー。なんで英美が木崎となんかと一緒にいんの?」 「えー、こいつついてくるから」
そういって英美さんは笑った 部長にも悪口言われてる 英美さんもあたしのこと嫌いなんだろうなって思う でもみんなみたいに 影で言わないで あたしにはっきり言ってくれるだけ ましだと思う
「木崎仕事しろよ、只でさえ足手まといなんだから」
三年生の先輩が言った 英美さんが笑った
夕暮れ 時 美術室は 夕陽で オレンジ色に 染まってて あたしと英美さんは 美術準備室に居て。
「ねえ、」
不意に掛けられた言葉で 少し 驚く
「あんた、嫌われてるよ」
口元には 物凄い笑みがあって。 不覚にも どきり と胸が張り裂けそうになる
「…知ってるよ?」
余裕げな笑み浮かべて言ってみた これが 精一杯
「…あたし、木崎嫌いだよ、大嫌いだよ」 そう言って 爆笑している …本当、分かんないな英美さん
「知ってるよ」 今度は声が震えてた 困った…なあ 涙 堪えきれない
ぼたぼた ぼたぼた ぼたぼたぼたぼたぼたぼたぼたぼた
涙 こぼれ落ちる
あー… やだなあ
「木崎、泣き虫だし」
そういって英美さんが笑った 笑ってあたしの涙を拭ってくれた
「えい、みさ」 「泣き虫一子」
そう言った後 あたし達は 一言も話さなかった
――――了
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