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わたしは きらわれっこ 作者:綺依 憂倭

第4回   英美さんからの忠告
数日後
英美さんもあたしに呆れて来たらしい
態度が あからさまに

 違 う 。


「英美さん」
「んだよ、うっせぇな」

… 恐 い 

「英美さん、恐いね」
「あ゛ぁ?あたしが恐いってえ??」

十分 恐い
人に見捨てられるって
こんなにも こんなにも
悲しく て
恐く て
辛い んだ

「木崎の方が、恐いから」

そう言って 英美さんは笑った
笑った 嘲笑った
罵った ような
笑い


氷美もその様子をにやにやしながら見てた

「ねえ、木崎」

いつもの冷ややかな声で言った
恐い 恐 すぎる

「みんなあんたの事、嫌いだって」

――――・・・ 何時だったろうか?
英美さんに
― 木崎なんて 大嫌いだから 今も 昔も
って笑って言われたのは
何時だったろう
何時だったろう

あのときは あたしも 英美さんが
大嫌いだった
でも今は こんなに好き

「―黙ってないでなんか言えやあっ!!!」

思い切り 殴ってきた氷美の手を
がっちり掴む

「…自己中」

そう言って 手首を掴む手に
力を 込めた
すると氷美は
以外だと言うような顔付きをし
ふ と笑んだ

「…全ては あたしが勝つように出来てんのよ」

そう言って 大きく氷美が息を吸った

「いやあああああああああああ――――・・・!!!」

何を言い出すか、と思った
いきなり叫んで
お前 誰だよ
吃驚するじゃない

「木崎さんが、木崎さんがああああああああああ…っ!!!!」

嗚呼、こういう意味なんだ
氷美が言った
あたしが 勝つ
と言う 意味

みんなが集まってくる
英美さんもいる
木崎、やめなよ
って言う声が飛び交う
あたしは素直に手を離した
氷美は 嘘泣きをしたまま
床に 崩れ落ちる

「…痛かったよお…」

傍に寄っていた 英美さんに
氷美が媚を売るように
言った

―― 気持ち、悪い

英美さんが
氷美の手首を掴んだ

     何事かと、思った

「ねえ、舞…」

英美さんが
くすり といつものように
冷ややかでおしとやかで静かで
――――・・・でも 何処か 恐怖感を憶える
笑みを 零した

「止めようよ、木崎悪者にすんの」

不敵にも英美さんはにこにこしていて
氷美はあっけに取られていて
嘘泣きだったことがばれた

「…ねえ、知ってる?」


        
 
 
 
   英美さんはまだ ニコニコしたまま
 
 
 
 
 
 


 
 
 
 
   まい より

   きさきのほうが だいぶ ましだから
 
 
 
   そういうことしてると

 
   きらわれるよお…?
 
   ああ、そっかあ

 
 
   もう きらわれてるもんねえ… 
 
 
 


そう言って 英美さんは
もっと 笑んだ

「貴方、何がしたかったの?」

… 分からなかった
英美さんの 意 図 が

恐すぎる 英美さんの威圧
其処にいた 人達が
みんな 凍った

先生が来た

「何してるんだ!」

先生は黙ってください

また 英美さんの冷ややかで艶のある声が
響く 響く 流れ落ちる

「虐めによる、快感?
 其れとも 八つ当たり?
 其れとも――――・・・」

あたしをちらり と見る

「    もしかして   木崎が 羨ましいの?     」

そう言って 不敵に笑んだ
背筋が 凍る

「全く、もう」

首を振る いかにも楽しそうに
教室に入っている生徒も
こっちを、見てる

「子供なんだから、ねえ」

先生も凍ってる
みんな凍ってる
英美さんの威圧に負けてる

英美さんは
はあ と楽しげに溜息を付いて
ゆっくり 教室に戻っていった

みんな 呆気にとられて
英美さんの後ろ姿を見送った

「…お前等授業するぞ!」

先生が はっと目が醒めたかのように言った
英美さんは
教室で 本を読んでいた

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Novel Editor by BS CGI Rental
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