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その言葉を待っていた 作者:綺依 憂倭

第7回   7
・・・あのあとから黙ってるまま
雄二の手の平に汗が滲んでるのが分かった
「雄二」
「華那恵」
急に糸が切れたようにいきなり抱きついてきた
「あ、あ、ああっ、ちょっと・・・」
「吃驚したんだ・・・俺」
「え?」
「彼氏居るのかと思って・・・」
「あたし雄二に嘘つかないよー?」
「良かった・・・」
さっきいった自分の店ってのが気になるって?
あ、うん
叔父さんが急に病気で入院してるから
その店の跡継ぎ。
経済とか色々中学生の時から教えられたしね。
バーなんだ。
【Misumi】
あたしが継いでからおじさんが変えた名前。
前は
【Masumi】
だったからねー
「・・・俺雇ってくんない?」
「へ?」
「バーに」
「は・・・はあ。」
「うん。宜しく。華那恵」
「あ、はあ」
「帰るか」
ぶんぶんつないでいる手を上下に振る
「そうだねー」
「眠いし」
「そだねー」
にこ、と微笑んだ
「てかさ、華那恵ってキャバ嬢だったんだ。意外」
「はっ!?意外ってひど!!」
「はは」
そういえば・・・
マンションの管理人に言わなきゃな
「雄二」
「ん」
「同居って、真面目に?」
「俺はいつでも本気だっつの」
「ん・・・はいはい。じゃあ明日同居のための準備するから部活早く切り上げてね」
「本気に?」
「・・・冗談だったの?」
「いや、違うけど。いやー馬路嬉しい!!華那恵ありがとー」
「それはいいから路上で抱きつかないでよ。彼女って思われるじゃん」
「やなの?」
やじゃないけど
いや、てか好きなんだけど
てかね、冗談とかだったらあたしあんたのこと
ぶっ殺すわよ?
「・・・ノーコメント」
「はー?言えよ」
「やじゃない」
「よしよし。よく言った」
満面の笑顔であたしの頭を撫でる
「やめて」
「い・や」
「いーやーだーッやーめーてー」
「いや」
そしてなんか戯れながら部屋に帰ってきた
「お、カクテル飲みかけだった」
「カクテルて」
「ん?あたしの酒の強さを知りませんね」

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Novel Editor by BS CGI Rental
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