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その言葉を待っていた 作者:綺依 憂倭

第6回   6
「・・・雄二・・・良いのもう・・・いいよ」
「良くない」
ぎゅ、とあたしを抱きしめる手に力が入る
・・・・・・好きでもない人によくこんな事出来るね
「・・・お風呂湧いてるよ・・・入ってきたら・・・?」
「・・・・・・・・・・・・・・・うん」
お風呂に雄二が入ってる時あたしは麻帆ちゃんに電話した
「もしもし・・・華那恵ですけど・・・・」
「華那ちゃん・・・・・・?」
「ごめんね!!さっき・・・」
「いや、あたしもなんか言い過ぎた・・・それになんかカッカしてたかもあたし・・・華那ちゃん雄二くんのこと好きだ、なんて言ってないのに勝手になんか言っちゃってさ・・・」
「ゆ・・・許してくれる?」
「うん・・・あたしのことは許してくれる?」
「うん。もちろん」
「よーっし!」
「うん?」
「振られるんだったら正々堂々振られてくっぞーっ」
「・・・元気だけが麻帆ちゃんの取り柄だね」
「そんな所よ」
ふ、と電話越しに微笑んだのが分かった
麻帆ちゃんは唯一仲良い友達なんだけどね。
みんなとは仲良くしてるけど、
一番仲良いのは麻帆ちゃんなんだよね。
麻帆ちゃんと絶交したらあたしは―――――――――・・・・・・・
「んじゃねー、今からバイトー」
「はーい。バイバーイ」
・・・・・・・・・・・・・・・バイトね
ん?!今何時っ・・・・・?
げ、9時じゃん
あたし10時からキャバクラいかないとー
キャバ嬢なんです。あたし;;
お風呂のドア越しに叫ぶ
「ゆーぅじー」
「あーい」
「今からバイト行ってくるからー」
「はいはーい。帰る時電話くれよー」
「はーい。行ってきまーす」
とんとんッ・・・・・・
ヒールを履く。
制服は置いてあったよね・・・
キャバクラ【未陶】
「こんばんわー」
「こんばんわ華那ちゃん」
「あ、美依さん」
夜のあたしの名前・・・華那。
「今日も指定きてるよ〜華那ちゃんー」
「マスター」
「こんばんわ。10時半に大塚御一行」
「御一行て」
マスターはまだ若い
22歳だ。
「ん?香水臭い」
「へ?」
「華那ちゃん香水付けなかった?」
「あ・・・」
「付けてるの?」
「付けてないけど・・・なんでだろ」
「まあ良い香りだから良いとして。ばりばり付けるのは駄目だよ」
雄二が付けてたんだろうか
いや、雄二は何て言うかローズの香りがするんだよね・・・
別になにもしてないのに
凄いよねー
・・・仕事が終わって。
「はぁ・・・。疲れた・・・」
「華那ちゃん」
「あ、マスター」
マスターは車の窓を開けてあたしに手を振っている
「乗ってかない?遅いし」
「いいですよ。ちょっと今友達が迎えに来るんで」
するといきなり腕を掴まれた
「華那ちゃん・・・俺、華那ちゃんに恋してるんだけど」
「なっ・・・」
「華那恵!?ごめん遅くな・・・・」
「雄二・・・・・・・」
「彼氏?」
「ちっ・・・違っ・・・」
「あ、あの・・・華那恵返してもらえます?」
・・・・・怒ってる雄二
「マスター・・・放して・・・」
するとマスターは素直につかんでいた腕を放した
「マスター・・・あたし・・・仕事やめますね・・・自分の店もあるし・・・」
「そっか。退職金は明日送るね」
「はい・・・」

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Novel Editor by BS CGI Rental
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