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その言葉を待っていた 作者:綺依 憂倭

第5回   5
「ふ・・・」
電気を消して
月明かりに照らされながらレモンサワーを呑む
「涼しい」
風に身を任せていると
電話がかかってきた
「もしもし、華那恵です」
「あ、華那ちゃんん?」
「・・・麻帆ちゃん・・・」
南麻帆。
可愛いと評判な女の子だ。
「華那ちゃんっ・・・あたし・・・哉田くんに告白したよ」
「知ってる。雄二から聞いた」
「・・・・・・・・・・・・・・・仲良いのね・・・・・・・・・・・・・・・妬けるわ」
「別にそんな」
「いいのよ・・・あたしそのくらいで怒るような性格じゃないし」
・・・・・・・・・・・・・・・今話したくないな
「で?どうしたの?」
「・・・・・・あたし振られそうなんだ」
「な・・・なんで・・・?」
「・・・好きな人居るから、って言われたのに無理言ってさ・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・そんな・・・
無理に自分の気持ちを押しつける気じゃ振られるはずよ
「何て言ったの?」
「うん・・・その子、哉田君のこと好きなの?って聞いたら」
「うん・・・」
「分かんないって・・・、でね、じゃあその子諦めてあたしにしない?って言ったの」
「えっ・・・」
「そしたらね・・・それは無理だ、って。だけど考えておいてよ、明日までにって言ったの・・・それだけ」
「そっか・・・」
麻帆ちゃんには言ってない
あたしが雄二のこと好きだって事
「どーしよ・・・振られちゃったら嫌がらせでもしようかなー」
「な・・・・・・・」
「何かいいアイディアない?華那ちゃん」
「嫌がらせとか・・・雄二に迷惑かかるじゃん・・・やめて!!!」
「ちょ、なにムキになって・・・」
「そういうこと考えてたら・・・ッ・・・」
「ねえ、華那ちゃんさあ、哉田君の事好きなんじゃないの?」
「は・・・?何言ってん・・・」
「もう良い!!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・切られた
「・・・・・・ッ・・・・・」
声を出さずに泣いた
「華那恵・・・?」
「ッ!!」
泣き声で起きたのかな・・・
傍に居たゆうを抱きしめて言った
「あっちへ行って」
「え・・・だって華那恵泣いて・・・」
「お願い」
「・・・・・・・・・華那恵」
「麻帆ちゃんが・・・酷い事言うから・・・・・・」
くん、とゆうが鳴く
ぺろぺろと涙で濡れた頬を舐める
「華那恵」
肩をつかまれる
「ッ・・・・・・・・・・・・・・やめて・・・」
「やめない」
きゅっと後ろから抱きしめる
「泣かないで・・・俺も悲しくなるッ・・・・・・・・」
なんで?
なんであたしの事をそこまで気遣うの?
分かんないよ・・・・・・

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Novel Editor by BS CGI Rental
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