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その言葉を待っていた 作者:綺依 憂倭

第23回   23
「…ほら、泣かない」
櫟の優しい声になだめられて。
やむ事のない涙は、溢れるばかりで。
「…あーっ!困った」
「ごめ、御免櫟…っ」
「何に対して謝ってるの?…僕は別に怒っても居ないけど?」
「迷惑、でしょ…?」
「大して迷惑じゃないよ」
あはは、と櫟は笑って答えた。
櫟は優しい。
本当は迷惑なはずなのに、笑って許してくれる。
あたしがこんなに優しくして貰って良いのだろうか?
「…水澄さん、バーさ、何時から?」
「10時からだよ」
そっか、と笑った
自然とつられて笑みがこぼれた。
…雄二、好きだよ。
いつかちゃんと伝えるから。
…待っててね、今は未だ言えないけど。
「櫟、…有り難う」
「いえいえ。御礼を言われるほどじゃないけどさ。」
そう言って照れるように櫟は頭を掻く。
「いや、ほんと迷惑掛けたね」
「…普通は好きな子の傍にいたいと思うものだけどな」
「〜っあ!」
「今思い出したって顔だね、さっきも言ったじゃん、水澄さんのことが好きだから幸せになって欲しいって」
人の気持ちを利用した?…そうだね、そうなるんだろう
あたしは最低な事をした、筈だ
「櫟、御免」
「え?」
「なんか、気持ち利用するような事して」
「ああ、…別に、好きな人なら利用されても良いと思うけどね、そういうもんだよ」
櫟は悲しそうに笑った

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Novel Editor by BS CGI Rental
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