■ トップページ  ■ 目次  ■ 一覧 

その言葉を待っていた 作者:綺依 憂倭

第20回   20
うん、そうなんだもんね
うんうん、凄いよね
李依は行動起こしてるんだもん
…あたしは、どうだろう
逃げてるだけ
自分が傷付くの恐いから
何も言えない
何も行動できない
そして、自己嫌悪で 終わる
………馬鹿野郎
そんなんでいいのかって、自分でも思う
弱虫、弱虫、弱虫――――・・・
そんなことを思っていると
もう 下校時間間近になっていた。
 
今日も 雄二を待つんだろうか
そう思いながら下駄箱を覗けば
待ってて、何て言うメモが入ってたり。
ラヴレターなら、嬉しいのに。
そんな贅沢なこと考えながら
ぼへーとした顔で
玄関に座り込む
 
…水澄、さん?
……はい?
男の子の声でふと遠くなりつつあった意識が
ふっと戻ってきた
「今1人?」
「んまあ、うんうん」
ふんふん、と言いながら彼は隣に座ってくる
多分、隣のクラスの櫟 瀬〈いちい らい〉だったような。
うん、そうだわ
なんであたしに声掛けてきたんだべか
「水澄さんさあ、雄二好きでしょ」
「ブフッ!ちょ、何――――・・・」
「早めに言わないと、マジ取られちゃうよ?南さんとか」
……分かってるんだってば、馬鹿
でも 恐いンだっつの
分かんない?振られたら
今の関係に戻れないとか思えば
告白する事なんて、出来ないよ

← 前の回  次の回 → ■ 目次

Novel Editor by BS CGI Rental
Novel Collections