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その言葉を待っていた 作者:綺依 憂倭

第16回   16
「真相最低。はい。もう真相無視」
あたしはそう冷たく言い放った
「えええええ それやだあ!!」
「うっさいわ 黙れ阿呆」
あたしがそう言ったら 李依が苦笑していた
「まあ それは置いて置いて こんな手紙が回ってるなんてな」
雄二が苦笑し あたしを見る
「それほど 自慢したいんじゃないの?」
あたしも苦笑し 俯く
嫌なんだよ 本当は
麻帆ちゃんが 雄二の事 好きな事
嫌なんだよ
「華那恵 俺どうしよう」
「はい?」
「もしも このままじゃあ 俺と南 付き合ってるって噂になる」
「あ...」
少し 躊躇した
恐い 雄二が離れていくのが
言えないんだ 好きっていう
たった2文字が
たった2言だけなのに
恐くて 雄二を失うのが恐くて
言えない 
「華那」
「・・・っ・・・」
李依が静かな声で 言う
「言わなきゃ 駄目よ」
こそ と小さい声で囁く
ごめん 李依
言えない
「華那恵ちゃん?」
真相が気が付き 声を掛けてくる
「・・・っ・・・何でもな・・・っ」
嗚咽が漏れそうになり 困る
その時 真相が あたしを抱きしめた
「・・・!?」
「何があったかは分かんないけど...見られたくないんだろ?泣いてるとこ」
雄二も あたしを見ている
真相の言葉が 男言葉になり
嗚呼 男の子なんだな と実感した
「真相 大丈夫だから 放して もう移動教室・・・!」
真相は あっさりと 放してくれた
「まあ 頼れよ 俺等の事 何時までも俺が男言葉話さない訳じゃねぇんだよ」
そう言い 微笑んだ
そしていつもの口調に戻った

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Novel Editor by BS CGI Rental
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