西暦15世紀ごろ、ある土地で異変が起きた。 今までに見たことがない、不思議な生き物が舞い降りたのだ。 その生き物は、その地から離れ、ふもとの村へと降りていった。 村人はみなその生き物を見て、驚くものもいればその場に倒れてしまう者もいた。 勇気を振り絞りその生き物へと立ち向かっていく者もいたが、 不思議な力によって無残にも殺されていった。 その姿を見た村人たちは、みな悲鳴をあげ、逃げていった。 だが、その生き物は逃げていく人々を片っ端から殺していった。 まるで、人を殺すよう命令された機械のように・・・
一夜明け、その村にはもう人はいなかった。 運悪く逃げ遅れた者たちは、道端に死体となって転がっていた。 その生き物は、村の広場にいた。まるで誰かの迎えを待っているかのように。 それから少し時間がたったとき、その生き物は急に動き出した。 今までは、まるで死んでいるかのように動かず、じっとしていたのに。 その生き物がある一点に目を向けた。そこには、フードをかぶった人が立っていた。 その者は、その生き物に近づいてこう言った。 「君は少し凶暴すぎてしまったね。もう少し大人しくさせた方がいいね。」 そう言うと、その者は左手をその生き物にかざした。 まばゆい光が左手から、その生き物へと移っていった。まるでその生き物を光が包み込んでいるかのように・・・ 光が消えたと思ったら、その生き物が、さっきまでの姿とは違っていた。 今までは、人家の大きさとあまり変わらなかったのだが、光が消えた後にその場にいたのが、森の中にいそうな動物の姿になっていた。 その姿を見て、光を放った者は、 「うん。これなら人間の世界にいても大丈夫だね。これからは、この姿のものを増やしていったほうがいいかもね。」
その者の言葉の通り、それから世界中の森には今までに見たことがない動物が繁殖をしていった。その動物たちは、ほかの動物たちとは違い、少しだけ魔力を持っていた。王宮では、民に不安を抱えないで済むように、その生き物は王宮にいる魔道士が作った、魔物だと嘘の発表をした。
その発表以来、この世界では人間と魔物が共同して生きるようになっていったのである。
それから数百年。 相変わらず、この世界では、人間と魔物が共同して生活をしていった。
「ふぁ〜・・・よく寝たなぁ。」 普段と変わらずに目を覚ました。 今日はお祭りの日だったので、いつもより少し早めに身支度をしていった。 「今日はミティア国で開催する年に一度のお祭りだよぉ。王様も今日はいらっしゃるって言ってたから、おいしい料理を作らなきゃ!」 私は前々からこのお祭りを楽しみにしていた。 なぜなら、彼女は王宮のコックと一緒に料理を作ることになっていたからである。 料理の腕は王宮の料理長と同じくらいの腕前のもち主であった。 私は朝ごはんの支度をしながら、鼻歌を歌っていた。 昔から、母親が私に歌ってくれていた歌だったので、ずっと頭の中に記憶されている。 鼻歌を歌いながらふと時計を見ると、すでに出発しなければならない時間に迫っていた。 「うそ!後15分で食べないと遅れちゃうよ!」 私は急いで朝ごはんを食べ、身支度を済ませ、急ぎ足で家の扉を空けた。 不意に上を見上げた。すると、空は雲ひとつない快晴だった。 「うわぁ。きれいな空だなぁ・・・はっ!こんなことしてたら完璧に遅刻だよぉ。」 私は急いで王宮へと走っていった。
シエル・フィアルードは17歳。王宮の手伝いをするのには訳があった。 シエルが8歳のころにはまだいた家族との約束を守るために王宮へ行く。 そして、家族がいなくなった原因の真相を暴くためでもあった。
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