ああ・・こんなに近くに居るのに君は気づいてくれないんだね。
触れ合えるほど近くなのに、君はいつもすり抜けてどこかへ行ってしまうんだ。
僕は君が気づいてくれるまで、その時までずっと君の傍にいるよ。
いつか・・・気づいてくれるって信じて。
+紫陽花の記憶+
ざぁあっぁぁ―――――
「毎日雨だね」
「ああ・・・完全に梅雨だな。」
かれこれ一週間以上ずっと雨はやむことなく降っていた。
「ねえ、今日も放浪行くの?」
「もちろん。嫌か?」
そういうとケマリは珍しくニヤリと笑った。
「あはは、こういうこともあるかと思って・・」
何かを取り出した
「こういうものを・・」
紺月はそれを見て半分あきれ半分感心した
「創ってみたんだよ・・っ」
それはリヴリーサイズの傘だった。
人間サイズならともかくリヴリーサイズは結構器用ではなくては作れない。
妙に手先の良いケマリである。
二つ傘はあった。
「・・コレを差して放浪するってか?」
「うん」
自信満々に頷いた。
「・・・・・私はいいよ」
「ええーっ折角創ったのにぃ」
「私よりコレを必要としてる奴がいるだろ?」
「へ?・・ああ!」
ケマリも気づいた。
そして二匹が行ったのはギュニアモデルの島。
ブラドがそこに生えている木に雨宿りしている。
が、その木はブラドにとっては小さかった。
上手く雨を避けようとするがどこか体の一部分が出てしまうのだ。
ブラドが二人に気づいた。
「ああ・・・なんだ、お前等か。」
まだその額には傷が残っていた。
このブラドは二匹が雨の振る中放浪しているときに熱で倒れているのを発見したのだ。
結局その倒れてるのを助けたり、モンから守ったりと色々縁があったりした。
また無茶したらいけないので二日三日に一度、様子を見に来ている。
「悪いな、期待させて。」
ブラドはある親友をずっと待ち続けている。
いつか・・・戻ってくると信じて、今も島を離れること無く待っていた。
「いや・・というより何しに来たんだ?」
「えへへ〜プレゼントだよっ」
ケマリが傘を差し出した。
「・・・傘?」
「だっていっつもどっか一部分が雨に濡れちゃってるでしょ。
でもコレだとちゃんとふぃっとするんだよ?」
「・・・お前はいいのか?」
ブラドは紺月を見ていった。
「全然。傘もやくに立てる方に使ってもらうほうがいいだろ」
「・・・貰っとく。」
このブラドは妙に意地を張ってしまう性格だった。
「まだ、待ってんのか?」
「ああ。俺はこれからもずっと待つよ。
自分でも馬鹿なことしてるって分かってんだけどな・・・
でも俺は諦めねえ。
信じたい・・・もし裏切られる結果になったとしても。
まだこうして信じられる自分が居る・・・
・・・それだけでいいんだ―――」
「そうか・・まあ私は別にお前を止める権利も資格もねえからな。」
「例え権利も資格も持ってたとしても俺は諦めねえよ。
他の奴がなんと言おうと、なんと思おうとも。」
「まあ僕達もたま〜に来るし・・・
じゃ、くれぐれも一人で無茶しないでね?」
「お前に言われなくても分かってる。」
つっけんどんに返されてもケマリは嬉しそうだ。
「ま、また風邪ひかないよう気をつけろよ。またな」
二人は放浪に戻った。
「ねえ紺月ちゃん本当に傘いらないのお?」
「いらねえよ。
ところでお前、なんでそんなに濡れるの嫌なんだよ?」
「ええ〜っ紺月ちゃん知らなかったのお?」
「しらねえよ」
「だってよく考えてみなよ。僕は毛がフサフサしてるんだよ?
で、濡れてみたら―――毛が重くなって下に落ちて
マリモみたいになっちゃうんだよ〜」
その回答に紺月は噴出しそうになった。
まさかそんなので濡れるのを避けていたとは・・・。
「だから、オオツノワタケとかも濡れるの嫌なんだよ〜」
「ふ〜ん」
空は相変わらず真っ黒な厚い雲に覆われている。
そしてしとしとと大地を濡らしている。
雲でよく分からないが、多分もう太陽が真上にあがりはじめた頃。
「いい加減でてきなよ〜」
不意にケマリがそういった。
何のことか紺月は分からない。
ただケマリは後ろ―――自分が通ってきた方向を向いて、言った。
「追跡してるのは分かってるんだから。」
「・・・誰かが追跡してんのか?」
「うん。ブラドさんの島に行ってからずっとだよ〜」
紺月は驚いた。ケマリは妙に鋭いところがある。
「やっぱり気づかれちゃいましたか」
声がした。
そして出てきたのは―――水色のスナイロユンク。
「ねえ、もしかして君は」
そのスナイロユンクはケマリが言い切る前に言った。
「ああ。あのブラドの親友だよ」
「なっ・・・」
紺月は絶句した。
だが――ケマリの方は予測していたらしい。
「ね、良かったらなんで彼に会わないのか教えてくれない?」
「・・僕も丁度聞いて貰おうと思っていたんだ。
場所を変えてもいい?」
紺月はケマリを見た。
ケマリは頷いた。
「いいよ。どこ?」
二匹はユンク(スナイロユンク)についていった。
二匹が着いたのは、紫陽花の花が咲く空き地だった。
紫色の紫陽花は雨に打たれ気持ちよさそうに揺れていた。
「ここは、僕とアイツが―――創った場所なんだ。」
「・・創った?」
場所を見つけたならともかく創った、というとおかしな話だった。
「そう、創ったんだ。」
ユンクは遠い目でその紫陽花を見た。
「何も無かった空き地に自分達で紫陽花の種を撒いた。
僕もアイツもこの季節・・梅雨が好きでね。
紫陽花の種を撒こうってことになったんだ。」
少しユンクは笑った。
「もうアイツは覚えてなかったみたいだけど。
まあそのおかげで僕は此処に来て休めれるんだけどね。」
「休めれるって・・・旅で疲れた時ですか?」
「そうだね。僕がやってるのは普通の旅じゃない。
言わば旅というより―――修行なんだ。」
修行・・・?
その言葉で紺月は少し彼が旅に出た理由が分かったような気がした。
「実はこの間モンが来たけど、あの島にモンが来たのは初めてじゃないんだ。
僕が旅に出る前、オオカマキリが来たんだ。
その時――追っ払おうとして全然歯が立たなかった。
止む終えず逃げて、モンが自然に帰るのを待った。
悔しかった―――――!」
そしてユンクは微笑んだ。
「だから、彼を一人で守れるように旅にでた。
自分の自己満足っていうのは分かってるし、彼を結果苦しめるようになってるのも分かってる。
でも、僕は旅にでることにした。
このままじゃ、未来自分は絶対後悔することになる。
だから、僕が彼を守れるようになって自分があるべき居場所に戻る。」
それは、強く、意思がみなぎっている瞳だった。
「他の人から見ると僕は愚かかもしれない。馬鹿かもしれない。
でもこんな自分を信じて待ってくれる人がいる。
だから僕はがんばれる。」
酷い話だった。
確かにコレは自己満足のための我侭だ。
でも―――同時にすごいと思った。
たった一人のためにここまで自分をはれる、その姿に圧倒された。
よく見ると、ユンクの身体は傷だらけだった。
ユンクは優しく微笑んだ。
「こんなくだらない話に付き合ってくれてありがとう。
僕はもういくよ。
早く強くなって自分のいるべき場所に戻るために。」
そういって彼は去った。
二匹はしばらくして、口を開いた。
「なあ。」
「なあに?」
「・・二人とも似てるな」
「そうだね。
二人とも自分で抱え込んで無茶して。」
ケマリは少し笑っていた。
「なあ、あの二人―――いつか会えると思うか?」
紺月は聞いた。
「どうだろうね・・・」
そしてケマリは言った。
「想いは正しく伝わらない。
でも―――その想いがホンモノならいつかきっと、伝わるよ」
紺月は静かに笑った。
「そうだな」
雨が降っている。
静かに大地を、そして紫陽花の花を濡らしていた。
空から降ってくるその雫は、冷たく、暖かかった。
++++++++++++++++++++++++++++++++++ この小説は意味不明な詩と、支離滅裂な本文と、自己満足のあとがきで構成されてます(ぁ
ども〜、小説更新です。 ああなんかどんどん意味不明になってく・・・(倒 微妙に前作とつながってます。 短編でも読めるし前のとつなげて読んでもokって感じで書いたんですけどね(意味不明 読み直してみると・・やっぱりケマたん(ヤメロ)パワーアップしてる(謎 いつの間にこんなにグレートアップしたんだよw(貴様のせいだ こんな小説に感想くれる方、ほんとに有り難う御座います(感涙 引き続きこんなのに感想くれる方は遠慮なくぶちかましてください(? でわまたお会いしましょうw
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