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幸せの光 作者:ぷにっつ

第5回   +雫の波紋+


緩やかな優しい流れよ。

どうか私を正しい方向へ導いてください。


+雫の波紋+


ざぁあぁ――――――


「すごい雨だねえ」

ケマリが言った。

「まあもう梅雨が近いからな・・・」

そして紺色のピグミーが言った。


ざぁぁあ――――――


今二匹はヤシの実の葉っぱの下にいた。

ケマリは元々小柄だし、ピグミーである紺月もいつもケマリの横にいて分かりにくいが

普通のピグミーよりもはるかに小柄である。

この小柄な二匹で普通入りきらない雨宿りをこなしていた。


「梅雨かあ・・・ってことはコレが終わったら夏だねえ」

「確かにそうだけど、まだまだ梅雨の始まる前じゃねえか。」

「そうだけど〜・・春もまだ満喫したかったけど、夏は夏で楽しいしね。」

「まあ・・否定はしねえけど。のんきな奴だな・・。」


ざぁぁぁぁ―――――


雨は一向に止む気はないらしい。

「なあ」

紺月が呼び掛けた。

「なあに?」

答える。

「このままずっとこうしてんのか?」

「だって濡れるのいやだよう」

「でもこのままぼーっとしててもどうしようもねぇだろ。」

「そーだけど・・・」

「たまには移動したほうがいいんじゃねえのか?」

「風邪ひいたら大変だよ?」

はあ・・・と紺月はため息をついた。

「リヴリーは滅多に風邪とか病気とかなんねえよ。

 なったとしてもほとんど大したことないし。

 まあ弱ってるときなら風邪とかになるかもしんねーけど・・・

 私等は別に大丈夫だろ?」

「そーだけど〜・・・」

どうやらよっぽど濡れるのが嫌らしい。

「ったく・・まあ私は行くから嫌ならそこにいな。」

「ええ〜っ・・ずるいよう」

どうやらコレを利用されているのは本人も自覚しているらしい。

「ずるいも何もねえだろ!とにかく私は行く。」

「うぅ〜」

結局ケマリは嫌々ながらも放浪することになった。


まだ放浪しはじめた頃。

二人は何にもない、ギュニアモデルの島にたどり着いた。


まだ雨はしとしとと降っていた。


あまり視界の利かない中で紺月は一匹のリヴリーを見つけた。

真っ黒なブラド(ブラックドッグ)だった。

そしてそのリヴリーは苦しそうな息をして倒れている。


「おいっお前大丈夫か!?」

「う・・・うるせえ・・余計なお世話だ・・・・っ」

心配したのに酷い返し方だった。

ただ、珍しく紺月は珍しくむかつかなかった。

「余計なお世話だとしてもほっとけないよう」

ケマリがそういう頃にはブラドは気を失っていた。

「まずいな・・相当弱ってる。」

「このまま雨に濡れてるのはきつかもね〜」

そういってケマリは紺月を見上げた。

紺月はその意味を察知して、そしてため息をついた。

「まったく・・・普通逆だろ・・」

そういいながらブラドをひょいっと片手で持ち上げる。

「紺月ちゃん、力持ち〜」

そんな情けない親友を見て、また紺月はため息をついた。



とりあえず二人はやしの実の葉っぱの下にブラドを置いた。

「で、どうするよ?多分濡れたままだったらあんまり意味ないと思うんだけど・・」

「そっかあ・・ちょっと待って。」

ケマリは羽毛の島に変えた。

羽毛でブラド、ついでに自分達も身体を拭いた。

そして再びやしの実に替え、葉っぱの下で雨を凌ぐ。

葉っぱの下は狭いので一匹しか入らなかった。


「う〜ん・・・でもこれじゃ熱もだしてるし寒いよね・・・」

確かにそのままでは寒かった。

「だけど羽毛の島じゃ濡れるだろ?」

「う〜ん・・・技とかでなんとかならないのかな?」

そういって考え込んだ。

紺月も考えたが、自分で自覚するぐらい頭は良くない。

多分考えただけ無駄だろうな・・とか思う。


それから一分ほどたった。


「・・・そうだ!」

やっぱり先に思いついたのはケマリの方だった。

「紺月ちゃん、/feather(羽毛)は覚えてるよね?」

「あ・・なるほど」

/featherとは限定技で、身体を羽毛に変身することができる。

ケマリはブラドの上に乗って、技を発動させた。

紺月も技を発動させブラドの上に乗る。

二人が変身して毛布の代わりになった。



「・・・?」

ブラドの目が覚めた。

「あっやっと起きたあ」

羽毛に変身していたケマリが変身を解いていった。

「熱は下がってるな」

同じく紺月も変身を解いた。

「え〜っと・・その・・・っ余計なお世話だッ!」

どうやらお礼を言おうとして恥ずかしくてやめたらしい。


その時何故初対面であんな事を言われても怒らなかったのか紺月は分かった。

つまり自分と似ているのだ。

素直になれずつい反発してしまう、そんな性格。

しかし意地っ張りなのは自分より上だが。



「熱下がったばっかりだからあんまり雨に濡れたり無茶しちゃ駄目だよ?」

「お前に言われんでも・・」

「だってちゃんと言わないと絶対雨に濡れたりするでしょ?」

「ぅ・・・」

図星らしい。相変わらずそういう事はよく分かってるのがこのケマリである。

「まあ、また様子見に行くから無茶しないでよ?」

「来るな!」

「そんな事言ったって勝手に行くもん」

「ぐ・・・」

「じゃあね〜」


ブラドは去っていった。

その様子を紺月は見ていてやっぱりアイツには敵わないな、と思った。



次の日―――――



今日も雨がしとしとと、降っていた。

「雨多すぎだねほんとに。」

「まあ、しょうがねえだろ」


「ちゃんと雨宿りしてるかな?」

葉っぱの下でケマリは言った。

「さあな。てかお前アイツんとこ行くんじゃねえのか?」

「ん〜・・もうそろそろ行こうかな〜」


相変わらずギュニアモデルの島に二匹は行った。

が、様子が違った。

そこには――――――モンスター。

Lv10の女郎蜘蛛がそこにいた。


そして蜘蛛の足元には傷ついたブラド。

すでに2怪我までしているようだった。

「紺月ちゃん!」

ケマリが呼びかけた。

「ん・・・やるよ。よっ、と」

紺月が答え、二人はほぼ同時に竜巻を繰り出した。

その後適度に竜巻を出しながらも雷で隙なく攻撃する。

モン(モンスター)に反撃する暇は無かった。


元々レベルが高い二匹で攻撃したので、すぐにモンは気絶した。

「大丈夫?」

ブラドに聞いた。

「・・俺は大丈夫だが・・・・お前等強いな。」

「確かにいつものんびり気楽なコイツが強く見えないよな・・・」

そういってひどいよぅと言ってくるケマリを見る。

「にしてもなんでお前戦ってたんだ?別に動けなかったとしても

 島モンは刺激しなかったら攻撃してこないだろ?」

「・・うるせぇな、別にいいだろ」

血を流しながらもブラドはそう言った。

「まー、どうでもいいけど」

紺月はそれ以上追跡しなかった。

「あーっと・・なんだ、お前等には二回も助けられたし・・その。」

何かを言おうとしている。

また意地張らなきゃいいけどと紺月は思いながら言葉を待つ。


「・・今の時期しか見れないとっておきの風景見せてやるよ。」

そう言った。

以外な言葉にしばし驚いていたが、

「わ〜い!」

と無邪気に喜ぶケマリを見てため息がでた。

「・・・。付いてきてくれ」

紺月達は素直にブラドに付いていった。




「ここだ。」



着いた所は大きな湖。

その真ん中から湖の底から根を張っているのか、巨木が生えていた。

その木にしたたる雫が、湖に落ち波紋を静かに広げていく。

雫な何個も落ち、同時に波紋もいくつか広がった。


「すごい・・・綺麗・・・・・。」

その言葉にブラドはそっぽを向いていた。

その光景に苦笑しながら湖に見惚れる。

「・・・―――ここは俺と、親友が見つけた場所なんだ。」

ブラドは湖ではなく、どこか遠いところを見つめていた。

「俺はさ、ずっとこれからも一緒だって思ってたんだ。

 でもある日――島に帰ったら居なくて。

 一日中待ってても帰ってこなくて・・掲示板見たら

 『僕は旅にでるけど、いつか戻ってくるよ』

 って書いてあって・・・。」

ブラドは少し哀しい微妙を浮かべた。

「だから俺は待ってんだよ、ずっと。

 アイツが・・・いつか帰ってくるって信じて・・・・。

 だから俺は島に居れる時はいつも島に居るんだ。

 例えモンが来たって―――俺とアイツの場所を譲らせはしない。

 まあ結局餌屋とかにもいかなくて餓死しかけたり

 モンと戦って死にかけたり、馬鹿なことを自分でしてるってのも分かってんだけどな。」

その話を聞いて、紺月はふとケマリを見た。

コイツなら勝手に旅に出かけそうだな、と。

いつか・・・二人じゃなくなる時が来るのだろうか?


「大丈夫だよ〜」

と、不意にケマリが言った。

そして自分がずっとケマリを見つめていたのを気づいてそっぽを向いた。

そんな紺月を微笑ましく思いながらも続ける。


「僕の居場所は――――――紺月ちゃんの隣だよ?」


「ん」


そんなこっぱずかしい台詞にどこか心が落ち着いていくのが自分で感じた。





ヒトツ雫が闇に堕ちた。

そこから明るい世界が、広がった―――。





+++++++++++++++++++++++++++++++++++++
遅くなってごめんなさい(滝汗

ども〜、今回は梅雨にもう入っちゃいましたw
にしても・・最近ケマちゃんキザ度あがってない?(なにそのキザ度って。
ついにモンでちゃったwてか出しちゃったw
母に聞いてみると「モンスターって蜘蛛のイメージよね」
と言われたんで女郎蜘蛛に(なんて理由・・・
ちなみに今回のブラドサンはリクエストだったりするんですが・・・
あれ?性格変わってない?リクエストは「ちょっと悪めででも優しい」じゃなかったっけ?

うあ〜・・性格変わっちゃったよ・・・(殺)御免なさい(×100
こんなヘボ小説でよければ感想・リクエストばんばんしちゃってくださいw(けして迷惑じゃありませんよ
もう貰うたびに嬉々読んでますw

でわまたお会いしましょ〜

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Novel Editor by BS CGI Rental
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