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WISHES to The WORLD〜星に願いを〜上巻 作者:キラ

第9回   第8話 〜二人の挑戦〜 ちなみに↓は第7話〜新たなる始まり〜
初めに…送れてスンマヘン。
ドも、ずっと前から名前変わってたのに前回までギ〜ガスと名乗っていたとりがーです。
この章の見所はただ1つ!ロッジャーVS新人、サフィアVS軍士長のバトルです!
…って、2つじゃん、見所_| ̄|○
ついでに今回も目次に載っていた『修行』は前篇後篇に分けるつもりです。
それでは『修行』の前篇『二人の挑戦』どうぞご覧になって下さい。


                                 一

 3459/7/12 鳥人王国中心塔 王族ノ間 SPEノ畳 訓練ノ部
今日もサフィアたちSPEはいつもの通り訓練ノ部に行きウォーミングアップをした。
ただしみんなの顔にゆとりの顔をしていない。ピリピリしている者もいれば緊張しすぎて今にも倒れそうな者もいる。
 何故そうなのかと言うと昨日の夜からこんな噂が流れた。『明日の訓練で今までに無いほどキツイ、地獄の6時間が待っている』と言うものだ。
 今サフィアはその噂の全貌をみんなに向かって言う。
「みんな、ウォーミングは終わったか?それでは今から俺が1週間かけて考えたスケジュールを行う。まず今までの練習に加えて3時間の1VS1の勝負を見込むバトルを取り入れた。ルールはノックアウト戦、武器にはあらかじめ峰撃ち呪文をかけて有るから死ぬ危険は無い」
SPEはやや落ち着きを取り戻した。そんなに危険な訓練では無いとみんな思ったからだ。
しかし、それもすぐにざわめきになってしまう。
「ついでに下位の者は上位の者に勝負を挑み、下意の物が勝ったら上位の位に交代してもらう」
「何だって!?」と高階級の者が言い『ヨッシャー!』と低階級の者が言った。
サフィアが続ける。
「――これだと高階級の者が不満を漏らすのは分かる」
「そうだそうだ!」
「なので高階級の者が勝ったら給料を1万〆ずつ増やそう」
〆とは、今で言う〆切ではなく、お金の単位なのだ。ついでに1万〆=1万円と考えてよい。
とてつもない歓声が上がった。しょせん人間はいつまで経っても変わらないものだ。
「静粛に!言っとくがこれは修行だからな。負けたら位が下がる事を忘れるなよ…次に団体戦を想定した戦いを3時間やる。リィナに頼んであのホログラム兵(あの仮面を付けた兵士)のLvMAXの10倍まで高くした敵と戦う。それでは始めよう」

                                 二

 数時間後…SPEは新しいスケジュールの1つ、『個人戦』の最中だ。
下位の者は上位の者に勝負を挑みたいていは高階級の者が勝っていたが所々で低階級の者も勝っている所が見えた。
ただし、その戦いのほとんどは軍士長から下だけで副隊長と隊長の人々はとてもほのぼのしている。
「いやー誰も来ない」サフィアが今日6回目のため息が出た。
「この修行は元隊長の穴を埋めるためにSPEに隠れている‘宝’を見つけ出すことなんだが…」
その時、遠くから声がしてきた。
「サフィア‐サフィアーサフィア―!」ロッジャーの声だ。
「どうした?」
サフィアは息を切らしているロッジャーに向かって言った。
ロッジャーは軍士長と言う位で副隊長の1階級下の位だ。
ロッジャーとサフィアの仲はつい最近良くなったばかりだ。2人の仲が良くなった理由の中にもあの元隊長が関わっている。
「ついに…ついにオイラ、副隊長の座に就いたじゃん!」
ロッジャーが大声を出した。とても嬉しそうだ。
「おめでとうロッジャー!…で、誰と戦って副隊長になったの?」ソフィアが尋ねた。
「ネオンじゃん!」
「ネ、ネオン!?」ソフィヤが目を丸くして言った。
ネオンは今18歳の青年で、ちょうど10年前の1449年にSPEに入った、これでもベテラン騎士(ナイト)なのだ。そのネオンに勝ってしまうロッジャーは…恐るべし。
ロッジャーがネオンに勝った自慢話を話そうとした時、邪魔が入った。
「サフィアさん、お取り込み中すみませんがお客様がお呼びです」
王族ノ間で働くメイドがサフィアを呼び出したのだ。ロッジャーは少しがっかりした様子だ。
「お客様って普通『鳥神』の私が呼ばれるんじゃ…」ソフィヤがボソッと言った。

 サフィアは会議ノ畳に行き、お客様と出会った。
その人はやや色黒でまだ中1ほどの背だ。
「お久しぶりだぁ、サフィアさん。オラ数・禰絆(スウ・ナイハン)だぁ。スーって読んでくだされば結構ですと」
見た目と言い、この方言と言い、この男は山人(コクガン)…チュイスタンの民族…だとすぐに分かった。
それにしてもこの男が何故自分の名前を知っているのか疑問に思った。なのでその事を質問してみた。
「そりゃな、1ヶ月ほど前ヒマラヤ砲台の沼の側にある木の樹液を取ってたらオメと変なおっさんらが争ってたんだぁ」
サフィアはそのオッサンはパララだとすぐ分かった。空地戦争の時ロッジャーを見つける為にあの沼に行った。
「そしたらな、サフィアは何かにグイグイ引っ張られてたんだぁ」
何かとはきっとペタリガンの事だ
「命が危ない!と思ってオラはおっさんの手に向かってピスターで撃ったんだぁ」
ピスターとは、今で言う銃や鉄砲の事だ。
「そんであのオッサンが『サフィアめ〜』とか何か言ってたから名前が分かった訳だぁ。これが証拠の『ペタリガン』だぁ」
そういうとスーはペタリガンを出した。出したついでに色々な種類のピスターがドカドカ落ちてきた。
「すると…君は命の恩人なのか。あの時はありがとう。で、何でここへ来たんだ?」
「アレからオラは平和を望むようになったんだぁ。で、オラの一番得意なピスターを使って平和を築こうと思ったんダベさ。ただ、ピスターは人を殺す兵器、普通に考えて平和には程遠いと思った」
スーは一呼吸置いた。
「だが、オラは諦めなかった。そして、もっとも平和的に戦うSPEに入隊しようとした訳だぁ」
「なるほど…分かった。こっちに来てくれ」
といってサフィアはスーを訓練ノ部へ連れて行った。
「今から入隊試験をやる。君はピーストマスター(銃の達人)なんだね」
サフィアたちが歩きながら言った。
「そうだぁ。動かない物ならどんな所からでも百発百中だぁ」
2人は訓練ノ部に着いた。

                                 三

 2人はロッジャーのいる所へ行った。
「それならこっちはブーメランのスペシャリスト、ロッジャーと戦ってもらおうか――スー、こちらが副隊長のロッジャーだ」
「よろしくだぁ」
「ロッジャー、この人は数・禰絆…通称スーだ」
「宜しく。精一杯戦おう」

ザワザワ…
「なんだなんだ?」
「副隊長と新人との勝負だと」
「新人の奴…弱そうだな」
「いや、山人は意外に強いんだよな」
「ロッジャーにはかなわんだろ」
いつの間にか2人の周囲には人だかりができていた。なぜなら副隊長VS無兵(SPEの一番低い階級)以下のとても階級の差が大きい試合だからである。
「これからロッジャーVS数・禰絆の試合が始まります。審判は俺、サフィアだ。みんな、危ないのでくれぐれも半径100m以上下がって観戦して下さい。それではスタート!」
まず先々攻撃をしたのはなんと数・禰絆だった。一瞬で懐からノーマルピスター(拳銃)を出し、攻撃ロッジャーに向けて弾を撃った。
ロッジャーはそれをV字型のブーメランで封じた。
封じつつ10、20mとスーとの距離を縮めている。
今度はロッジャーの攻撃だ。ロッジャーはいきなりの必殺技『ファイナルカッター』を繰り出した。
 ファイナルカッターとはV字型のブーメランを縦に振り下げ、その時の空気の裂け目(波動)を飛ばし、相手を斬る特殊的な技である。
また、その波動は真空なので封じるにはかなりのテクニックが要る。
 「こりゃ新人じゃ手も足も出な――
「百式ピスターと三段銃発射!」
百式ピスターとは今の機関銃とバルカンを合体したような銃で威力は衰えるが、1秒間に百発撃てるハイテクピスターなのだ。
また、三段銃は銃口が3つ有る特殊な銃で1回発射するだけで一気に3発の銃弾が出る、スー曰く1番のオススメピスターらしい。
とにかくこの2丁の連射向けのピスターによってファイナルカッターの波動は砕け散ってしまったのだった。
「嘘だ…ファイナルカッターが砕けちゃったなんて…こんな奴に…」
ロッジャーはひるんだ。しかしスーはまだ攻撃の手を止めない。
シュルル…ガシャと言うつかむ音が聞こえ、それと共にロッジャーの脚には手甲鉤の様な物が掴んでいる。
「何だコリャ」
「…ペタリガン。これでオメの自由を奪った。最後は百式ピスターで蜂の巣になるか、それともここまで引っ張ってからサーヴルガンで斬られるか…どちにすんだ?」
サーヴルガンとは一見普通のピスターだが、引き金を引くとピスター本体は真っ直ぐになり、銃口から弾の代わりにビームのような、光線のような剣(有名なSF映画の武器に似ている剣)が出てくる。軟らかい物ならスパッと斬れる。
「う、嘘だ…ロッジャーが負ける…」
「…残念だけど、ペタリガンのおかげでオイラが勝った」
「な、何だとぉぉ!」
「V字ブーメランのブースター発動!そして飛びながら煙幕ミサイル発射!」
このブーメランはブースター発動中だけ2発ミサイルを撃つことができる。
バフッと言う音と共に辺りには煙でいっぱいになった。
「これで相手は視覚を失い、ピスターでの攻撃は不可能となった!」
「でもそれはあなたも同じじゃない」ソフィアが言った。
「大丈夫。オイラには元隊長の形見のゴーグルがあるんだ。このゴーグル、調べたら‘LV1透視スコープ’搭載で煙位の障害物なら透かして見える。そして空中でブースター停止。落ちながら同じブーメランで勢いがついた――ファイナルカッター!」
「そうか!たとえペタリガンに掴まれていても…たとえピスターによって砕け散られても…煙幕と落下速度がついて威力が増したファイナルカッターは――
「ひ、ひええぇぇぇ」
「まさに無敵って事。ヨッシャー!」
この試合はロッジャーの逆転勝ちで幕を閉じた。

                                 四

 数分後、スーは目を覚ました。
「え〜ペタリガンが出たとき、一瞬負けるかと思ったじゃん。え〜ここで修行すればもっと強くなるじゃん」
ロッジャーはややカタコトだが優しくスーに向かって言った。
「でもオラ、負けたから失格じゃないのかぇ」
「何言ってるんだよ。こんな凄い闘い久しぶりに見たよ。スー、今日から君はSPEの軍士長の一階級下の準士長だ」
「あ…ああ…このご恩、一生忘れません!」
「ど、どうも…私語で良いからね…は、恥ずかしい…」
「フフッお父さんみたい」
気がつけば周りから大きな歓声があがっていた。

                                 五

 スーが入隊して数十分が経った。またさっきと同じようにサフィアたちはほのぼのしている。
「イヤ〜やっぱり誰も来ないな〜」
「オイラとスーの試合を見てから来る人が増えると思ったんだけどな〜」
「増えるとちゃうわ!あんさんらが戦う姿を見て弱すぎて戦う気にもなれないんや!」
関西弁風の口調の誰かが言った。背中にはとても長い槍を持っている。
「だ、誰だ!」サフィアが振りむく。
「ネ…ネオン…」
「隊長はん、わいはS.P.E‘元’攻撃隊戦闘部隊副隊長のネオン・キーガスや。ロッジャーて言う新人がわいの住まい…副隊長の座を汚したんや」
「これはルールだ。仕方ないだろう」サフィアがぴしゃりと言う。
「知ったこっちゃ無いわ。あの時は腹がぎょうさん痛くてトイレに行こうとした時に新人が決闘を申し込まれたんや。そこで今度こそ…わいから決闘を申し込む!」
「け、決闘!?オイラ3回目じゃん…闘い」
「お前や無い。ワイが決闘を申し込むのは…サフィアや!」
「お、俺!?なぜだ?」
「ワイはフェアプレーが好きなんや…やからロッジャーとは闘わん。不公平やからな。そして、あんさんが勝ったらワイを好きな階級に落としてくなはれ」
「ど、どういうつもりだ」
「そんで、ワイが勝ったらロッジャーを永久無兵にしてくなはれ。ワイはこのままでええわ」
「エエェェ!サフィアが負けたらオイラを無兵だなんて…こんな勝負が…」
「要するに俺が勝てば良いんだろ?受けて立つさ」
「なんだなんだ?」
「今度は隊長と軍士長の勝負だと」
「そりゃサフィア殿が勝つさ」
「でもネオンもついさっきまで副長の…しかもNo3だからな」
「見物だな」
今ではSPE全員の目がサフィアとネオン向けられている。
 「これからサフィアVSネオンの試合が始まります。審判は私、ソフィヤです。それではスタート!」
「…」
「……」
始まりの合図は出た。しかし両者共に動かない。相手が動くのを待っているらしい。
「お先にどーぞ」ネオンが挑発した。
「後悔するなよ…リャアアァァフェニックスラッシュ!」
しかし、それでもネオンはまだ動かない…あと1mあと50cmあと…
――――――――ピタ
…サフィアが攻撃を止めた。怒っている。
「峰打ちの呪文が…解かれてる…」
「チッばれたか…でも安心せい」
ふぅ――ブシュウ ネオンの槍がサフィアの左腕を突き刺し、血が吹き出た。
「ワイの武器も解いてあるからな。フェアプレーや」
「は、反則!ネオンは反則負け!」審判のソフィヤが言った。
「そうだそうだ!」
群集も大ブーイングだ。
「…なんや?」
ネオンの一言で急にシーンとなった。
「隊長はんはノックアウト戦としか言ってないで。確かに峰打ち何とかとは言ったがそれは反則とは言ってないで」
「……」
「確かに…ネオンの言う通りだ」サフィアが掠れ声で言った。
「優しい隊長や。あんさんなら一生ついて行くで」
「続行だ。聞き手が生きてるから正気はある…バリス!」
左手首からバリアブレスが出てきた。
「速攻や…ワイの切札行くで!」
ネオンはなぜか砂ぼこりが出てきて見えないが微かに武器だけ光って見える。
ブゥン――バシィィン…武器の1本目、バリアブレスで防いだ。
ヴゥン――ガシィィン…2本目、フェニックソードで受け止めた。
「まだまだだな。ネオン」
「まだ終わってないで」
ブゥン――ギシィィン…3本目、バリアブレスで何とか防いだ。
「V(トリプル)か…」
「残念やが…」
ブゥン――ガッ…ネオンの武器でフェニックソードが弾き飛ばされた。
「ウッ」
「W(カルテット)や!」
ネオンの槍が変形したWソード…サーヴルガンの刃を2つ合わせた武器真ん中に柄がある…と腰に付いてあるコンパクトなWソードを両手に持った物がWソードだ。
「サフィア!大丈夫か?」誰かの声が聞こえる…
「うう…は!ネ、ネオンはどこだ?」
「う、上ですよ!」アナが言える限り大声で叫んだ。
みんなの顔色は、恐怖の色になっている。
ネオンはサフィアの頭上10mほどの高さにいる――ついにネオンの必殺技『サンダーラッシュ』を繰り出そうとしている。
サンダーラッシュとは、ネオンの槍の穂先を下に向け、一気に急降下する…とても危険だが破壊的な技である。
峰位置の呪文が解かれた今、サフィアに直撃すれば即死だろう。それと共に今サフィアはそれをかわせるほどのパワーすらない。
――絶体絶命だ。
ヒュウゥゥ―――ドコ―ン……
轟音と共に砂ぼこりが舞い、2人の姿が見えなくなった。
そして、ロッジャーが呆然と言った。
「サフィアが…負け…た…」


アトガキどぇす(何
ス、スゲェェ!
こんな、こんな事があるとは…
しかもWISHES to The WORLD〜星に願いを〜 上 は次で終わり
今後がどうなるかは次章『9話〜星に願いを(仮)〜』が出るまで待ってて下さい。

今回は約6,431文字でした。以外に少ない(オイ

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Novel Editor by BS CGI Rental
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