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WISHES to The WORLD〜星に願いを〜上巻 作者:キラ

第4回   第3話〜初戦〜
                 一

 しばらく2人は昼寝をしていた。その時、銃声が聞えた!
<パン!パン!ドーン!!!>
「な、なんだなんだ!?」
次に10数メートルしか離れていない海面が、水しぶきを上げて爆発した。
<・・・ドバシャーン!!!>
「きゃあぁぁ!!!」
そして最後に中年の怒り声が聞えた。
「威嚇弾用意!睡眠銃準備!あの男に睡眠弾を当て、威嚇弾で行く手を拒め!全員、一斉攻撃!・・・って、コ、コラー!勝手にやるなー」
「おっと!と、とりあえず下水処理地に逃げよう!そこで作戦を練ろう」
「きゃ!お、御嬢様抱っこ・・・・・・・・・・」
サフィアは弾をかすりながらも命辛々下水処理地の中に滑り込んだ。

                 二

 この下水処理地は無人の工場で人が入れるスペースは少なく、一番広い所でもたった2畳しかない。今は何も動いていない。
「ふう・・・とりあえず此処は安全だ。そういえばこの工場が壊れていて汚水が直接直接海に流れ込んでいたのか。あれ?これ、ただスイッチが押されて無いだけだ。ポチッとな・・・よし、動き出したぞ」
「サ、サフィア・・・」
ソフィヤが呆れた声で言った。
「何〜?」
「私達あの人たちに命を狙われてるのよ。なのにサフィアったら海のこと心配して・・・とても優しいのか鈍感なのか・・・」
「え?なんか言った?」
「<ど、鈍感の方だったわ>いや、あの・・・あの人は、あの人は最近わたしを追ってるのよ、そしてその指揮を取ってるのがパララ軍曹よ」
「あ、あの中年親父みたいなの?・・・で、そいつのせいで君が海にいたのか」
「そう、鳥人王国から飛んで逃げようとしたら威嚇弾に当たってバランスを失って…でも今回は違った。今はサフィアが狙われてるんだと思う。だって私がこのトライブレスをお父さんから貰う前はこんな事無かったし、このトライブレス…お父さんが言ってたけど3つの力が宿っていてその力を利用すれば世界征服なんて簡単よ」
「世界征服・・・へッへ・・・オ、オホン、えーッと、その3つの力って?」
「・・・3つの力はね、えーッと・・・あまり知らないけど聖書では『神のごとく空を舞い、主を守護致し、火・冷・電・光・波の五つの力を呼び起こし候』って書いてあった・・・そして風・護・超と叫ぶとその力が手に入るって」
「へ〜・・・じゃ、風(カゼ)!」
・・・しかし、何も起こらない。
「あれ?おかしいな・・・」
「読み方が違うのかもね」
その時、外が騒がしくなって来た。
<カチャカチャ・・・ガシャッガシャ!・・・おい、いっせーの、せ!でドアぶっ壊すぞ!・・・了解!・・・コラー勝手に命令すなー!>
「・・・・・・ソフィヤ、身を潜めて!俺が戦うよ」
「サフィア、無理よ!」
「何でだよ!」
「だって・・・相手は兵器を持ってるのよ。それに数も相手の方が何十倍もいる。更にサフィア、武器もってるの?」
「・・・確かにな。でも、手刀でも何でもただ突っ立ってるだけで撃たれて殺されるよりはマシだろ!そうじゃないか?ソフィヤ」
「う・・・うん。。。」
その数秒後、<いっせーの、せ>の掛け声でドアが壊れ、数人の兵士が入ってきた。
「ブレスレッドは何処だ!そして持ってる男は何処だ!出て来い!」
「オ・・・オイ、あの男なら目の前で突っ立ってるじゃないか!」
「お前ら・・・ソフィアには指一本触れさせない!」
「あの女にはもう要はねぇ。今はお前だ!」
<やっぱり・・・>とソフィヤは思った。
「お前のブレスレッドを渡してくれたらすぐ退散してやる。それかお前がこの地軍隊(デスフェニックス)最強の銃『零座式鉄砲第一号(レーザーしきてっぽうだいいちごう)(後零座式鉄砲…と略)』に撃たれてサイナラしてからブレスレッドを頂く。さあ・・・どっち!」
「・・・」
「答えろ!」
「俺は・・・このトライブレスとソフィヤと一緒に鳥人王国に行く・・・お前らを倒して!」
「言ったなぁぁぁ!!一斉こ・・・」
「待て!未だ早いぞ、兵士@!いいか、まずはアイツに『いい度胸だ。皆の者、この男に一斉攻撃!』と、いうのだ」
「サ、サフィア、これは計算内なの!?」
身を潜めながらソフィヤが囁いた。
「思いつきでカッコいい事言っちゃった・・・」
しかし、もう攻撃は止まらない。たった2畳のスペースのここでは、ただレーザーを交わすことしか出来ない。このままだと100%当たる。
「・・・?サフィア、このベルトに刺さってるのは?」
「これは・・・おっと!・・・し、しめた!フェニックソードが有ったんだ!よ〜し、フェニックソード、これが初戦だ!がんばろう!!!」
「は、初めてェ〜!?<な、なのにこんなにレーザーを交わせるなんて・・・きゅ、救世主以上だわ!>」
剣を持ったサフィアはさっき以上に素早く、コンパクトにレーザーを跳ね返し、地軍隊兵を1人・・・2人・・・と、切り付けた。それにひるんだ兵士を外に追い出し、ドアを戻し、カギを掛けてドアの取って、壁の順に剣を差し込んでドアを完全にロックした。

                 三

 「ふう・・・」
息を切らしながらサフィアが言った。
「サフィア、凄いわ・・・」
「まぁね・・・そういえばあの人たち翼が生えて無かったよ」
「え・・・え、えええ!?」
「え?だって普通の人には生えてるんでしょ?翼」
「あ、あの・・・貴方には翼が無いわよ」
「それが?」
「そ、それが・・・だって、だって・・・<も、もうだめこの人の世間知らずは度が過ぎてる>」
「俺、川を下ってここまで来たけど、見たのは剣とサルとチュンチュンって鳴いてる人だけだよ。」
「・・・呆れた。本当に常識知らずの鈍感ね。ホントに貴方何歳?そのチュンチュンって鳴いてるのはただの鳥よ。私達の祖先」
「祖先?」
「そう、大体160年前の私達の半分の姿。私達は創られたのよ」
「創られた・・・俺砥乎納璽琥論者拿鋳霞・・・」
「???どうし―
ソフィヤが話そうとした瞬間、不気味な声が聞えた。
「クックック・・・・・・残念だったな。ソフィヤ・ブルースカイ・・・・・・と、男」
「お、お前は・・・パララ軍曹!どうしてここに・・・工場の中に居るんだ!入口は完全にロックしたのに!」
「ドアだけじゃなく、床も強くしておかなきゃな」
「ああ!」
なんと、サフィアとソフィヤが話している間にぱらら軍曹とその兵士達が外から穴を掘って工場内に入ってしまったのだ!
「この!パララめ!覚悟!」
「おっと、待て・・・動くな。動くと我輩の自慢の愛刀『日本刀』でソフィヤを解体いたす。いくらアホな御主でも分かるだろう。ソフィヤを殺す、と言う意味だ」
そういうと一人の兵士がソフィヤを縄で縛った。
「や、やめろ!!!」
「分かっているさ、まずゆっくりそこに座れ。・・・よし、これから御主に質問をする。正直に答えろ。まず、御主の名前は?」
「・・・サフィア」
「こいつとは何時、何処で、何故あった?」
と、ソフィヤの髪を引っ張った。
「痛い!」
「クックック・・・これ以上こいつに痛い目に合わされたく無かったら大人しく質問に答えな」
「ク・・・そ、ソフィヤ。・・・分かった。言う。数時間前、この海岸で、・・・えーッと、何であったんだ?」
「ちゃんと答えろ!!!」
「ウミニウカンデタノヲタスケタンデス」
「・・・フン!まぁいい。次の質問だ。ソフィヤから何を貰った?」
「え、え〜ペ、ペンダントだ―
「正直に言え!?トライブレスと!」
「ハイ、トライブレスデス」
<サ・・・サフィア、嘘だけは言わないでよ>と、ソフィヤは心の中で叫んだ。
「そうかそうか・・・では最後の質問だ。我輩にトライブレスかちょうじ―ソフィヤの翼・・・どっちかを我輩に渡したまえ」
「トライブレスか・・・ソフィヤの翼!?」
「そうだ。どちらとも無駄にはせぬぞ・・・どっちだ!!!答えろ!!!」
<トライブレスは、パララに渡してはいけない。世界が征服されるから・・・でも、ソフィヤの翼!?どういう意味だ?何かの力があるのか?どんな感じで持っていくんだ?抜く・・・これは痛いよな>と、サフィアは思った。
「さぁ、早く決断をしなされ」
「ト・・・・・ヤ、ヤッパ・・・・ソ・・・」
「どっちだ!」
「私の翼で良いわ!」
「な、何!」
「ソ、ソフィヤ!い、良いのか、本当に!?」
「良いわ。だからブレスレッドは渡さないわ!」
「クックック・・・本当だな?よおし、1度やってみたかったのだよ」
パララ軍曹はまず、兵士からソフィヤを受け取り、またうつ伏せにした。そして数人の兵士が縄を持ってきて首と脚と翼を縛り、脚と首の綱は横に引っ張り、翼の綱は屋根に吊るした。そしてパララ軍曹は自称愛刀の『日本刀』を出し、構えた。
「な、何をする」
刀を出した時にサフィアが叫んだ。
「いやいや、『イアイギリ』をやってみたくてねぇ。初めてだからこうするのさ」
「な・・・」
「クックック、何も言えないか。では行くぞ」
「い、今よ!サフィア!パララを殺って!」
「・・・アハハハハハ!!!残念だが、サフィアが動いたら我輩の部下によって蜂の巣になるぞ!」
よく見るとパララ軍曹が入ってきた穴から零座式鉄砲…が覗いてる。
「ガハハハハ・・・今度こそ何も出来ないな!では行くぞ!1・2・3・GO!」
<ブシャァ>ッという鈍い音が工場内に響いた。そして翼は切断された。更に翼と一緒に背中の一部が翼と一緒に削ぎ落とされた。大量出血だ。
「イヤァァァァアアアァァァァァァァアアァァ!!!」
「フフフ、これでまた1歩近づいた」
「パ、パララ!お、お前、よくも!背中まで斬るとは言ってなかったぞ!」
「いやいや、初めてだったもんでなぁ。。。さて、ではトライブレスを頂くぞ!」
「何だと!」
「我輩には未だ部下が何百もいる―
ここですかさずソフィヤは”ヘリム”と叫んだ。
「たとえ1人1人が弱くても・・・ん?お?ア、アリャリャ、なぜ我輩の身が宙に浮いているんだ、ソフィヤ!何やったんだ!」
「ハァ・・・ハァ・・・わ、私の力、”ヘリム”これは物体を浮かせることが出来るの。これで私達に貴方の攻撃が効かないわ」
「何!!ま、まあ良いだろう(良いのか?)わが部下達よ!特攻せよ!」
そういうとパララが掘った穴から兵が、ロックして有ったドアを打ち壊して兵達が押し寄せ、工場は兵で一杯になり、零座式・・・をサフィアたちに向けられた。今度こそ絶体絶命だ。
「サフィア、貴方は逃げて!貴方が死ぬことは全宇宙が死ぬのと同じよ!ここは私が食い止めるから…」
「何言ってんだ!確かに今、翼がなくて身軽かも知れないけど翼が無いからこそ大量出血でいつお前が倒れるか分からないんだぞ!それにあの時・・・ここで仲間に会えるって予知したんだ。ソフィヤ、きっと君のことさ」
(雰囲気が壊れるが、この時ここは兵で埋め尽くされて居るので逃げることは不可)
「ありがとう。でも、そうすると2人とも死んじゃうよ!」
「知ってる。でも大丈夫・・・きっと」
と、少し難しい表情をする。

                 四

 この時、誰かの声だろうか、遠いような近い所か、耳の奥なのかは分からないが、とにかく声が聞えた。
「サフィア ウデダ ウデニ『キ』ヲシュウチュウサセルンダ トライブレスノ『アルジヲシュゴイタス』チカラ
―――――――――護トイウチカラ!!!!」

 「全員、一斉攻撃!!!」
「サ、サフィアァァァ アアア ァ ァ  ァ」
<ダダダダ ダ ダ ダ  ダ  ダ>

 時間が止まった?いや、サフィアだけそう感じたのだろう。
「トライブレスの力・・・守護の力・・・!」
.              バリス
―――――――――!!!!護!!!!―――――――――

サフィアが唱えた。すると、トライブレスが白く光り、しゃがんだ人1人が隠れるくらいの大きな盾と成った。
<キン!,キン!,カキン!>と、レーザーを跳ね返し虚しく先頭に居た兵が数人そのレーザーに当たった。
「な、何!卑怯な・・・」
先頭に立つ1人の兵が言った。
「卑怯なのは君達がこの工場に押し詰めてきた方じゃない?」
「グ、良いこと言うな」
「す、凄い・・・これがトライブレスの1つ目の力、護(ゴ)なのね」
「こうなりゃ俺達も零座式鉄砲・・・の秘力『銃口から刃を出す力』!」
「センス無いわ…」
「ヤバイ、こうなると盾じゃ防ぎきれないし剣じゃ数で負けるし・・・」
すると、またあの声が聞えた。
「ツギハ トライブレスノゴシンヲツカオウ ゴシンノナカノ ヒシンノチカラデモカリルカ コンドハ『超』トイッテカラ『SKファイヤー』トサケベ!」
「分かりました」
「何独り言言ってんの?」
どうやらこの声はサフィアしか聞えないらしい。
「ワァ〜〜〜」
「い、行くぞ!」
.             サイキ・エスク
―――――――――!!!!超・SKファイヤー!!!!―――――――――

サフィアが唱えると今度は兵の軍勢の真ん中から火柱が立った。その勢いはここまで熱風が来るほどだ。そして無残にも数10人の兵が犠牲になり、屋根を伝って工場中に燃え広がった。
「サアニゲルゾ コノホウホウハ スコシアライガマアイイ ツギハサイゴノチカラ『カザノゴトクソラヲマウ』チカラ『風』ダ!」

 「よし、じゃあ逃げよう」
「この火の中を?」
「これしか方法は無い・・・と思う。時間が無い、しっかり捕まって!」
.              フーリ
―――――――――!!!!風!!!!―――――――――

すると、トライブレスはまた大きくなり、ソフィヤを助けた時と同じように水平に成って2人を乗せた。
「じゃあ行くよ!火の中を!」
「ハイ!」
「お〜い!待て〜ちゃんと工場の火を消して我輩のこの『へりう』とか何とか言う奴を解除してから逃げろ〜!」
この叫びを聞き流し、壊れたドアの脇に有る剣を取って見事工場を脱出したのであった。

 数分後 鳥人(バーダー)王国まで後数100m
「あ、熱かった」
「そう、ね」
「あ、そうか!その・・・血まだ出てる?」
「うん。あと、斬られて何分経ってる?」
「もう・・・10分位か?」
「そう、あっ目眩が・・・」
「元気出せ、もう少しで着くから…な?」
「サ、サフィア・・・いきなり成長し――ガク」
「オイ!しっかりしろ!」
その時、近くに<チュンチュン>と言う鳴き声が聞こえた――小鳥だ。
「ほら、お前の先祖が頑張れって言ってるぞ」
サフィアは励ましのために言った。しかしソフィヤは…
「本当だ・・・え!出血を止めてくれるって!?」
「エッエッ!?」
なんと本当に言ってるらしい。そして驚くことに小鳥はいきなり何十匹にも分裂し、ソフィヤの体に纏わり付き優しい光を放った。そしてソフィヤは”ケイヤ”と唱えた。
「ありがとう、これで傷が癒せたわ」
分裂した小鳥がまた1匹に戻った。ソフィヤの傷は治ったというか無くなった。
「へぇぇ君ってあの時もそうだけど不思議な呪文を持ってるんだね」
「私だけじゃなく鳥の人(バーダー)なら鳥と話せるんだよ。前にも言ったけど鳥は鳥人の半祖先でしかもたった160年前は私達は同じ種族だったんだから話せて当たり前でしょ?それに軽い傷を癒すことは私達の中では常識なの。でも重症だと自然の力の強い普通の鳥が必要なのよ」
「ス、スゲェェ」
「サ、サフィア・・・これからも・・・宜しくね☆」
「あっおっうっあっああ・・・こ、こちらこそ・・・宜しく」
(きっと・・・きっと俺はこの子と出遭う為にここに来たんだ。そして…もう俺の運命は変わらない。俺はこの地球、いや、全宇宙を救うんだと。でも、何でそんなことが予知できるんだろうか…俺も、ソフィヤもその御爺さんも生まれて無かった時の聖書に・・・)

 「さあ着いたわ。ここが鳥人王国の首都『エベレストランド』よ」


フウ、やっと終わった〜。だんだん長くなるなぁ〜・・・これ
さてさて、ここで新しい武器『トライブレス』の威力とソフィヤの呪文の一部、そして巨大なる敵が出てきました。
この3話は人間の成長と大切な者を護る事をテーマに書きました。少しでも分かって貰えれば幸いです。
自作からいよいよサフィヤが一生やる職業と沢山の登場人物が出ます。お楽しみに〜☆
(いやはや、これでも約6600文字か・・・)

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Novel Editor by BS CGI Rental
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