■ トップページ  ■ 目次  ■ 一覧 

The LAST WORLD WARS〜最後の戦い〜 下巻 作者:キラ

第4回   第26話〜ソーラーの戦い撃沈篇〜
26話 ソーラーの戦い撃沈篇



今地球から夜空を見るとそれはそれは美しい光景だ。
二つの満月に色とりどりの流れ星が何百も。
しかし、宇宙から見るとそれはみるからに惨たらしい光景だ。
第2の月に見えたのはスペースステーション。何百もの流れ星は飛び交う光弾。それに当たって失速する戦闘機、火の玉になって爆破する戦闘機。それにより木っ端微塵に飛び散る機体や放り出されて凍りついた死体が宙に浮いている。
その中をSPSの戦艦から出てきた]・スペースファイターがジグザグ移動をしながら第2の月向かって突っ走っている。
その戦闘機はSPSとスターランス連隊にとっては敵機に見える。もちろんSPSの戦闘機はそれを撃ち落とそうと奮闘する。だが、乗組員と操縦士はもっぱら彼らの味方である。
操縦士はリン。副操縦士はブラット。そして]翼の先に付いている臨時砲手はサフィア、ソフィヤ、ロッジャー、そしてネオン。戦闘機前方についている主砲手はスー。後部見張りは目の良いシャスナ。戦艦脱出前に急いで決めたのだ。
ただし敵機(この場合は味方のSPSの事だが)を撃ち落とすためでなくDDDの戦闘機に変装するためである。これでDDDからの攻撃は無くなると思われる。
「みんな、無事?」ブラットが機内放送用マイクに向かって言う。
「こら、ブラット。まだ敵弾が当たってないんだから無事よ。事故もないし」とリン。
“こちらシャスナ。後方からSPSスターファイター3機が追跡中”シャスナの緊張した声が操縦室に響きわたる。
「了解。みんな、少々揺れるのでしっかりつかまって下さい」リンが乗組員に伝える。
言い終わったか終わらないうちに機体はまるでジェットコースターのシャトルループの様に1回転した。前方にSPS戦闘機が見え、それらもこの機と同じように回った。リンはそれを見ると左に迂回した。
見失ったのだろうか、SPS戦闘機はもう追ってこなくなった。
そんな事が2、30回あった。
気がつくとステーションは目の前にあった。
「リン、そう言えば機体が斜めになってるよ」ブラットが不意に言った。
「…本当だ。水準器の泡が右側にある。おかしい…水平操縦は得意なのに…」
リンはチラッと右を見た。不気味なほど大きいステーションがあった。
「リ、リン!大変だ!戦闘機がステーションの吸引ビームに引っ張られてるよ!」ブラットがレーダーを見て叫んだ。
「脱出は?」リンが聞くと彼はすぐさま応答する「無理だ。強引にやりすぎるとエンジンがイカれてビック・バン起こしちゃうよ!」
リンの顔がサーッと青くなった。ブラットはそれを見るとため息をついて言った。
「やれやれ、機長がそんな顔しちゃ元も子もないね。僕が対処しておくよ」ブラットはエンジンを切り、機内放送用マイクのスイッチを入れた「えーっと、只今からステーションに乗り込みます。シールドを解いてくれる事を願って、合掌しましょう」
ブラットは冗談を言ったつもりだったが、隣にいるリンだけは真剣に手を合わせて何かを唱えている。そんなリンを無視して言う「あと、ステーション内に入ったら僕の指示があるまで絶対にそこから動かない事。シャスナとスーは…]翼のどこかに隠れて。怪しまれるからね」
ブラットはスイッチを切って前を見た先ほど以上に第2の月…灰色の表面が視界に膨らむ。
「リン、席を変わって。今のリンじゃ格納庫に止める事さえもままならないよ」
リンは何も言わずに彼女の使え魔に従った。ブラットは彼女がガタガタ震えているのが見なくても分かった。リンはDDDに再開するのがとても恐い事はブラットには良く分かった。よっぽど向こうにいた時が怖かったんだろう…と彼は思った。
ブラットはリンの一番の良き理解者なのだ。



ステーションを覆うシールドはリン達が乗る戦闘機が入る瞬間だけ解除されたが、後部のエンジンが過ぎた0.1秒後にはスーパーシールドはまたステーションを覆っていた。
副操縦士と機長はステーション格納庫の地に降りた。コンクリートと金属が合わさった様な床が壁、天井にまでつながっている。
しばらくして一人の死神と使え魔がリンの元にやって来た。
「…エケトリックがここに何の様だ」開口一番、死神界一の差別用語がとんできた。
「ちょっと前方部分のレーザー燃料が切れ掛かっちゃって…」リンの変わりにブラットが嘘を言った。
「…ブラック・ウィング・キャット、コイツにはもったいない位、名妖魔じゃないか」暗くて低い声が格納庫に響く…。
「エネルギー・タンクを持ってきて下さい」ブラットは黒い死神を無視して言った。
「…気に入った。ダラゴ(この死神の使え間の名)、彼の言う物を」死神は彼の使え魔に向かって命令した。
「かしこまりました。ミスターデルベス(死神の名)」使え魔はそう言うと、リンを睨み、きびすを返し、飛んでいった。
数分後、使え魔ダラゴは巨大なエネルギータンクをリンの目の前に…いや、足の上に置いた。彼女は小さな悲鳴を上げて足を引いた。
「やあやあごめんなさい。そこに誰がいるのかわかりませんでしたから…」ダラゴは皮肉ったらしく言った。
「どういたしまして。かわいいドラゴンさん」リンは優しくダラゴに囁いた。彼は少し固まった気がする。
「…まあいいや、ありがとう。じゃあ少したったらまた戦いに行ってきます」ブラットが話題を変えて言った。
「ウム。死と闇と恐怖を我が宇宙へ」死と闇と恐怖を我が宇宙へ…と言うのはDDDの標語である「そこのエケトリックに伝えておけ。くれぐれも標的を間違えてこのステーションを破壊するな…とな」
黒き死神とその使え魔は高笑いをして去っていった。
「…実はこのステーションを破壊するのが任務なんて言ったらヤバイだろうね」ブラットがリンに囁いた。
「そりゃ当たり前でしょ。もう彼らを戦闘機から降ろしても良いよね?」リンがブラットに囁いた。
「いいと思うよ。それに、これはチャンスだよ。内側からならシールドを破壊しなくてもいいからね」
ブラットはテレパシーを使ってサフィア達に下に降りるよう命じた。
数十秒後、彼らが搭乗口から降りてきた。降りてきたと同時にロッジャーが嬉しそうな声で言った。
「これは運が良いと言うか奇跡と言うべきなのか…とにかくマスーDrがやってくれたじゃんよ!」
ロッジャーは話したくてうずうずしているのか、すぐに一部始終を語った。
「]翼で待機してたじゃんよ、そしたらマスーから電話が来たじゃん。このハイテク腕時計に…。それでなんて言ったと思うじゃんか?最強のコンピューターウィルス『コード連鎖式ボム』を発明したじゃんよ!それはどこかの端末に仕掛けると数分後には端末につながっているコードや周辺器具が大爆発するじゃん。簡単に言えばこのステーション丸々1個爆破するのも訳ないじゃん…って事らしいじゃんね」
ロッジャーは自慢げにそのウィルスが入っているカプセル状の物を見せた。
マスーってそんな危険な物を作れるの…とシャスナは思った。
「じゃあ…端末さえ見つかれば高い確率で作戦は成功…か」サフィアの顔が…いや、みんなの顔が信じられないと言う表情だ。
「じゃあ探しましょう。端末」ソフィヤがみんなに言った。
「見つけたよ!」シャスナが足元を指差して言った(文字数の問題でここら辺は簡潔に…)。
「じゃあ…装着!」ロッジャーが勢いよく端末にウィルスのカプセルのプラグを挿した。
「…できた?なら戦闘機に乗り込みましょう…急いで」リンが急かした。
数秒もしないうちに彼らはポジションに就き、ブラットはシールド解除の許可を申請している。
「…許可が下りたよ。さあリン、出発!」ブラットが電車運転士のように前を指差した。
]・クロスファイターは轟音をたてて宙に浮かび、そして…ついにスペース・ステーションを脱出に成功したのである!
「良かった…あ、そうだ。SPSやスターランスにこの事を伝えないとみちずれになる可能性が…」リンがひと息つく間に気がついた。
「そうだった…」ブラットは機外放送用マイクのスイッチを入れ、周波数78.3(SPS隊)と1242(スターランス大隊)にあわせた「こちらSPE、只今…えーっと、ステーション内に強力な起爆装置を設置した。直ちに撤退して下さい」
ブラットは一息つくとチラッとステーションと苦戦するスターランス連隊を見た。あらゆる方法を使って撤退している光景が見える。
その瞬間、スペース・ステーションは大爆発を起こした。衝撃波で機体が揺れる。
ついに…ついに勝った…。サフィアはホッと胸を撫で下ろした。
そしてチラッとSPSの戦艦を見た。が、その光景を見た時、彼は息を呑み、目を疑った。
サフィアが驚くのも無理は無い。なにせ、SPSの宇宙戦艦パワーバトロイヤー『ナイト・フェンサー号』が炎をあげ、爆音を轟かして散り散りになっていくのだ。
そして、最後の大きな爆音を上げて戦艦は宇宙のゴミとなった。
彼は絶望した。未来の光を失った気がした。勝ったはずだろ?なのに…。
あのエーレ防衛長さえも…戦艦と運命を共にしたのだろうか…いや、彼が死ぬ訳ない。死ぬ訳が…。
サフィア以外の乗組員も彼と同じような気持ちであろう。
こうして、事実上サフィアの最初で、最後の宇宙戦が終わった。まだ敵機はあるが、スターランス連隊が倒してくれるだろう。どっち道、両軍の旗艦は撃沈した。
この様子を遠くから、ナルクワ・アパテルが見ているとは、誰も気がつかなかった…いや、見る気などあるはずが無いだろう。


アトガキ
あ〜…いつかこれをNovel Collectionsに送ろうか…と迷っている今日この頃です。
あ、失敬、ドも、ノベリスでぃす。
ウーム…悲惨ですね。どうしてこんな物しか書けないのだろうか…。たまにそう思う事もあるが悲惨が重なるほどエンディングは感動できる…と思う(何
ああ、最後の最後までリアルな宇宙戦を描けなかった…。
エーレさぁぁぁぁん!コーヒー飲ませてくださぁぁぁぁい!(爆
アパテルさん…いつか活躍する日が訪れるのだろうか…(何
何言ってんだ…自分…(泣
次は帰還。またしても悲惨に…なってしまうのか!?次回に期待。

← 前の回  次の回 → ■ 目次

Novel Editor by BS CGI Rental
Novel Collections