24話 予感
1
1460年 6月12日 DDD星 パビリオンオブエンピラー DDD星は漆黒の闇に包まれていた。 そして、3つの影が浮き出てきた。 「あいつらはウザッたい。必ずや俺様が息の根を止めてやる」一つの影が言った。 「…フフフ…痛めつけてやりたい…」もう一つの影が言った。 「燃やス…燃ヤす…焼いテシまえ」更にもう一つの影が言った。 その時、にわかに雷が轟き、3つの影の正体が露わになった。 最初に言った影は無感情そうなで邪悪に満ちた人。彼は皆からアストロD(デビル)と呼ばれている。なぜデビルなのかと言うと彼は最強最悪の帝國国家DDD帝國連邦の皇帝なのだ。DDDは多くの星を植民地とし、フェリスターなどの発展途上星をU-Pu2と言う砲弾で死の星と化された。また彼はDDDの幹部からはDTとも言われている。 2つ目の影は冷静冷酷な女であった。彼女は皆からウルフD(デザート)と呼ばれている。なぜデザートなのかと言うと彼女はサバンナの狼の様に渇き、餓えているのだ。それを癒すには人の命を狩る事だけである。また彼女はDDDの幹部からDUとも言われている。 最後の影は機械的な動きをする人間であった。彼は皆からブレインD(ダイ)と呼ばれている。そして彼はただの人間では無い。地球に住むDrハカセと言う博士に作られたクローン人間なのだ。また彼はDDDの幹部からDTと呼ばれている。 「さて、俺様達に恥を掻かせやがったあいつらに何とか仕返しをしなければならないな」アストロは雷の音にひるみもせずに淡々と言った。 「フフフ…そんな事簡単にできるじゃない」ウルフが冷ややかに言った「地球を征服するのよ…それが一番あの子達に絶望を与えるわよ…」 ブレインは何も言わずに立ち上がり、銀河地図の方に行った。 「そレニダ、地球を征服すレば我々ノ宿命のライバルでアるS☆Pを一つ壊滅サセる事ガデキる訳だ」ブレインが地図の地球辺りを指して言った「そシテソこを我々の国ニスレば周りのムシケラ惑星を10個楽々征服できる」 「なるほどな…レミオ星、カリョム星、エルタスター…確かにまだザコい星ばっかりだ。よし、すぐに地球に援軍を送ろう」 アストロはニヤッと顔をゆがませた。 「フフフ…なら、その星を征服してからでも遅くはないんじゃない?」ウルフがクスッと言った。 「いや、俺様は早くあいつらを潰したいのだ。それに、いくらS☆Pだと言ってもまだまだ新しい。そして闘っただろ?あんなザコがリーダーなんだから小指だけでも勝てるさ。地球軍なんて」 アストロが見下して言った。 「そう…じゃあデス・スターからスペース・ステーションを発動させなければいけないわね」ウルフが自分の武器、デザート・苦労を触りながら言った「それに、こちらから](クロス)・スペースファイターでデス・スターまで行かないと…。持っていく兵器を全て戦闘機に詰め込んで…ね」 「つまり、そっチノ方が地球へ行クノニ速いかラか?」ブレインが尋ねた。 「そう言う事だ。DU、スペース・ステーションの件は頼む。DV、キサマはありったけの]・スペースファイターと軍隊と兵器を集めろ。もちろん、最新最強の例のドロイド『デス・シームウィークストロングドロイド』と三大地艦砲を乗せろ。怪我には十分注意するんだぞ」 DTが命じた。 「了解(ラジャー)!」2人は声を揃えて言い、逆方向へと歩き出した。 残った皇帝は独り言を言った。 「ついに…我々の先祖の計画が実行できる日が来たのか…」 それは、サフィア達がまだDDD星を脱出して宇宙空間に出た辺りの出来事だった。
2
それから数ヵ月後、銀河系のどこかの星のどこかの洞窟。 そこの一番奥はとても広い空間が広がっていて、まるで要塞の様だ。 「どうだ、俺の愛機の調子は」見た目はかなりの歳だが、声はたくましく、要塞に響いた。 「いつも通り万全ですぜ。団長。いつでも出撃可能でっせ」商人じみたもう一人の男が答えた。 「そうか…。ガゼットに任務でかなりの長距離を飛んだからやや心配だったんだが…よかった」 団長が安心した。 「ガゼット?ああ、オートメイク社の開発部のあいつでやんすね。確かDDDの味方でっしゃろ?」 商人じみた男が勧誘ポーズをしながら言った。 「昔は…な。今はDDDの味方でもなく、任務で見てきた人々の味方でもないらしい。彼は今簡単に言えばフリーターみたいなものだろう」 「だ、団長。その…任務で見てきた人々とは?」 団長は後ろを向いて言った。 「今、宇宙規模の大戦争が幕を開けている。この大戦は大きく分けて2つの軍に分かれている。一方の軍はDDD帝國連邦だ。俺達がずっと見はっていたあの帝国だ。俺は1回この大戦の幕開けだろうと思われる宇宙船を目の当たりにした。ソーラーシステム(太陽系)第3惑星付近で起こった。決着はつかなかった。と言うか両者共に主力艦が撃沈された。俺の推測としては今もなおソーラーシステム第3惑星で戦いが繰り広げられているだろう」 「そうやんすか…」 「ああ。そこでカルパッチョ…モリブ・カルパッチョ氏に質問だ」団長は振り返った。「俺達の最終目標は?」 彼はモリブ・カルパッチョと呼ばれるあの商人じみた男に尋ねた。 「そ、そんな事、あっしは三頭の一人でっせ。知らなかったら騎士団辞めてますぜ。あっしらの最終目標は『武を使わずして武を沈めよ』でっしゃろ?」 カルパッチョが言った。 「御名答。しかし、俺達はゴールには夢のまた夢らしい」 「と…言うとやっぱり?」カルパッチョは興奮と緊張が合わさった声で言った。 「ああ、俺達はこの宇宙大戦に宣戦する。そしてDDDを倒す。もう彼らは言葉では抑えられない状況だからな」 「では…すぐに子分を引き連れてここを発ちやしょう!」カルパッチョはドキドキしながら言った。 「それもいいが、少し寄り道をする。アニメンス・スターでガゼットと合流するぞ」 団長がそう言ったので少しカルパッチョの良い緊張はややゆるんだ。 「大丈夫。彼は専用の戦闘機ではないが専用スターシップならある。それにあいつがいるとだいぶ戦線が有利になる」 「あの…団長。お忘れでは無いと思いやすがあっしが騎士団は…」 「わかっている。他の軍隊の味方につけてはいけないと言うのはな。だが、この件は違う。彼は今一人である。それにどこにも属していない。わかるか?」 「そうでしたね。そりゃ別に構わないでやんす」モリブは頭を掻きながら言った。 「よし…ならばここを発とうでは無いか。そして、アニメンス経由でソーラーシステム第3惑星に行く。そして、DDDとの決戦に挑む」 この後は…彼にもわからない。作戦は全て戦い時に変異する。 「ではカルパッチョ氏。そろそろ部下達に伝えてくれ。さっき俺が言った事をな」 りょーかいでやんす」モリブが右手を左胸に当てて言った(この騎士団の了解のポーズ)。 「それと…いつも思うんだがその特有な語尾を何とかしてもらえないだろうか…」 団長が呆れて言った。 「それはですね…いつも言ってる通り無理な注文なんですわな。じゃ、伝えに行ってきや〜す」 モリブはぶっきらぼうに言い、右手を左胸に当て、立ち去った。 「ふう…礼儀が良いのか悪いのか分からないな」団長が独り言を言った。 彼はふと思いついた様にポケットから携帯電話らしき物を取り出し、ボタンを押した。 しばらくすると携帯電話らしき物から声がした。 <待っておった。で、どうじゃったか?> それは団長よりも更に年寄りらしい声だった。 「ああ、ガゼット、あんたの読みは当たっていたよ。DDDはついにS☆Pを敵にまわした。だが彼らは俺達の思っている以上に強くなっている」 彼はガゼットと呼ばれる彼の手に持っている物からの声の主から任された任務で見た物を全て話した。 しばらく黙ってガゼットが言った。 <なるほどなあ…。しかし、どうやらDDDは自分の弱点に気が付いていないみたいじゃな> 「そ、それはどうしてだ?」団長が尋ねた。 <よいか、ワシはアニメンス制のドロイドの大部分を作ったのじゃ。そしてワシはDDDに強制的にドロイドを開発させられたのじゃよ?誰にも気が付かない…だが、決定的な弱点をつくる事はそう不思議な事じゃないのじゃ> 「ガゼット…あんたもワルだな」団長が苦笑いをした。 <まあ前は本当にワルの一員じゃったからな。…なあ、この話はワシがアニメンスから出て地球に着いてからでも良いじゃろうか?ワシは最近物忘れが多くなってしもうて、暗号を残しておるのじゃが、それは今ワシの隠れ家の机の引き出しにあるのじゃ> 「へっ…なかなか記憶力がいいじゃ無いか」団長が皮肉っぽく言った「まあそれからでも遅くはない。今からここを発つからそこに着くのは2ヶ月後位になる」 <気長に待っておる。それでは頼むぞ…精鋭騎士団ファイアーナイト、ナルクワ・アパテル団長> 「ああ…ガゼット博士」 2人は右手を左胸に当てて言った。そして、ナルクワ団長は自分の愛用の武器コンパクトディスクボウガン(CDB)とソードを持って愛機<ナルクワ・ムーンカッター>に乗り込んだ。 他の騎士団も精鋭騎士団ファイアーナイトの戦闘機ファイアー・パイレートに乗り込み、飛び立って行った。
3
1460年 6月27日 ソーラーシステム第9惑星<ネプチューン(海王星)>付近 緊急地球防衛艦隊がSPSを発ってから5日が過ぎた。 ついにサフィア達が乗り込んでいるパワー・バトロイヤー…SPSの超大型主力宇宙戦艦はワープをする為に入った異次元空間をようやく抜け出した。 続いて何百ものSPSの小型標準宇宙戦闘機、スター・ファイターがほぼ同時に宇宙空間に戻ってきた。 サフィアの眼下にはソーラーシステムの中では非常に小さい天体だが間近で見るとまるで蟻が象を見上げている様に大きかった。 今、パワー・バトロイヤーの後方にある展望室には宇宙警察地球署のサフィアと緊急地球防衛隊防衛長のエーレしかいない。 今は夜の時間なので他の乗組員は寝ているか見張りをしているからこんな展望室には誰もいないのだろう。 「ついに…帰ってきたのか…。」サフィアが呟いた「俺達の住むシステムに」 テーブル越しでコーヒーを飲みながら窓を見つめていたエーレが振り返った。顔半分を隠しているゴーグルの赤く光る横の5本線がサフィアの目に入った。 「ク…サヒア(エーレは誰かの名前を言う時だけなまる)。忘れるなよ…地球は今、重大な危機にさらされている…とな」 「あ…ハイ。署長(少し忘れかけていたな)」 地球は今、エーレの言う通り地球の浮島…鳥人王国の住民達に何かが起こったと言う。それは5日前。彼らがSPSを出発する寸前の事だった。ロッジャーの腕時計型超小型立体通信機…パーソナルソルドテレフォン、多々の機能を搭載した超ハイテク腕時計からロッジャーの友達のDrマウス…ネズミに眼鏡をかけた様な超天才博士が助けを呼んだのだ。 「あと…」エーレがニヤリと言う「俺は今地球署の署長じゃねえ。緊急地球防衛隊防衛長である」 「あ…そうでしたね。署…防衛長」サフィアが苦笑いをしてから言った。 その時、人がいない展望室に客が入り込んできた。 ウィーン…その人達は男女合計6人と黒猫のような生き物が一匹だった。 彼と彼女は3人ずつだった。 「あれ?サフィア…ここにいたんだ」彼女の一人が目をぱちくりさせて言った。 「全く…オイラ達は全員で捜してたじゃんよ」彼の一人がムスッと言った。 「そう!彼女がやっと回復したんだよ!」羽のはえた妖精が嬉しそうに言った。 「そうや!何時間も捜したんやでぇ」関西弁の青年が言った。 「何度も同じとこ行ったり来たりして…オラ、この戦艦が恐くなったんだよォ」黒い肌の少年が言った。 「まあそれは置いておいて…私はやっと動ける様になったわ」白い肌の少女が言った。 「ちょっと…僕もやっと動けるようになったんだよ〜。全く…長い付き合いなのにさあ…僕の事忘れちゃ困るよ」 黒猫の様な生き物が‘しゃべった’。 「み、みんな!起きてたんだ」サフィアが驚いて言った。 彼らはサフィアの知り合い…いや、もう知り合い所ではない。白い肌の少女と喋る猫を除けば全員今までのDDDとの戦いに関わっている。 最初に声を出したポニーテールとナースの被る帽子型リボンが印象的な彼女の名はソフィヤ・ブルースカイ。サフィアがある理由で彼女の命を救い、SPEに入団する事になった、ある意味の恩人である。 次にムスッと言った狸の様な彼の名はロッジャー・メイト。サフィアとのコンビはまさに天下無敵と言われるブーメランマスターである。 次に嬉しそうに言った羽のはえた妖精の名はシャスナ・フィリー。彼女はDDDの最終兵器『U-Pu2』の最初の標的となってしまったフェリスターの姫だった。 その次の関西弁の青年の名はネオン・キーガス。達人並みの槍さばき。名人並みのビームソードの振り。そして最高級の関西弁を扱うSPE創立からいる21歳だがベテランナイトだ。 白い少女の名はリン。黒猫の様な生き物はブラット。彼女らは元DDDの兵士だった。が、彼女は死神のエケトリック(変わり者)が故に死神の考えとは正反対だった。だからSPEへと逃げたのだった。彼は正式名称ブラック・ウィング・キャットと言い、彼女の使え魔である。 みんな、サフィアの大切な仲間である。 「…起きてるわよ。リンのお見舞いに行くって私が言ったじゃない」 ソフィヤがムスッと言った。 「あ、忘れてた」サフィアがそっけなく言った。 「僕のお見舞いは無いの…」ブラットがガックリ言った。 「でもさ、なんでサフィアはお見舞いに行かなかったの?‘リン’のお見舞いに」ロッジャーが半分ブラットに向かって冷ややかに言った。 「あれ?忘れたの?署…防衛長に呼ばれたから行けないって」サフィアがあっさり言った。 「し…知ってるじゃんよ!ただ…サフィアの記憶が…おかしくないか…テストしただけじゃん!!!」 ロッジャーが懸命に言った。 不意に、エーレが呟いた。 「サヒア…まだ言ってなかったな。あんたを呼んだのは何でもない。ただ一つの行くべきところを案内したいのさ」 彼がそう言ったのでサフィアは少し驚いた。彼の口から案内したいと言う言葉が出るとは…。 「ど、どこですか?」サフィアが訊いた。 「ク…例えば、‘下’と言う感じができたのはなぜだ?答えは表せないからだ」 エーレは手に持ったマグカップの中の漆黒を口にした。 「あ…あのぅ…イミ、ワカリマセンだが、これはオラだけだべかァ?」 スーがぼやいた。 あ、スーの簡単な説明するの忘れていた(本当に忘れてた)。スーの本名は数・禰絆(ス・ナイハン)。銃を使えばどんな所からでも百発百中らしい。黒人でなまりがひどく、忘れ去られやすく、しらけられやすい。 少し時間が経ってエーレが言った。 「ク…俺のコーヒーがちょっぴり冷めちまったな。つまり、説明するより言った方が早いってことさ。あんた達も来たけりゃ来ればいいさ」 エーレは回れ右をしてフルオートドアをくぐった。サフィア達もそれについて行った。
4
エーレが案内したかった所とは船長室の真上の司令塔であった。 宇宙とはいえ、戦艦なので司令塔はかなり高い所にあった。 「ク…サヒア。あんたは束縛者と言うのは知っているだろう。そして、救世主だと言う事も知っているな?」 エーレは御自慢のコーヒー‘エーレブレンド42.195号’をマグカップに注いでサフィアらの前に置いてから言った。 「ええ…。知っています。俺は生まれてから死ぬまで運命に縛られていると言う事を…」 サフィアは少しコーヒーを飲んで言った。 「ならば…サヒア。そろそろアンタの全ての過去を教えないといけない頃だと思う。あんたの過去は、遠回しに言うと俺の過去でもあるんだぜ」 束縛者は運命に縛られている。しかし、その運命の未来は語ってはいけないと言う事はサフィア自身うすうす感じ取っていた。 「サフィアさんの過去が…防衛長さんの過去とつながっているのですね」シャスナが言った。 「そう言う事だ。お譲ちゃん」エーレがニヤッと言った「ではサヒア…準備は良いか?」 「…はい」サフィアは真剣な眼差しで答えた。 「よしよし…では…まず、あんたが生まれた時の事を―― その時、耳をつんざくほどの警報音が聞こえた。 「ク…何かあったみたいだぜ…あーこちら防衛長」エーレが声を変えて言った。 「こちらグレー隊20番機…グレー20!て…敵機来襲!方向はソーラーシステム3-5-8-2!地球からの…うわぁぁぁぁぁ」 警報が流れる間、爆音が聞こえ、通信は途絶えた。 「どうやら…アンタらにとって初めての戦いを目にするのだろうな」エーレはマグカップをデスクに置いてすくっと立ち上がった「本当の戦い…宇宙戦をな!」 宇宙戦…まさか、地球の遥か上空でこんな目に遭うとは…。あともう少しで地球に帰れるのに…。 サフィアの目の前が段々真っ暗になっていくようだった。
アトガキ あ、ドも、ノベリスッス。 ついに始まりました!The LAST WORLD WARS!そして第1回にもかかわらず戦いの予感が…。 次回は最初で最後になるであろう宇宙戦です!スターウォーズ見て勉強します…(ぉ
|
|