21話 逃走
あらすじ…サフィアはDDD星の中心部、パビリオン・オブ・エンピラーでの出来事から戦闘が開始される。 サフィア達は上空から遠くに逃げようとしたが飛行艦の威嚇弾によって散らばってしまう。 彼らは奇跡的に樹海や海などに落ち、軽い怪我のみで済んだ。 シャスナは樹海にある洞窟でブラットと出会い、ステアリンの本当の名はリンと言う優しい死神だと言うことを知る。 が、リンはアストロに装着されたベルトによって人格が変わり、何千と言うドロイド軍の指揮を執る指令署になり、シャスナとの1VS1の闘いになるはずだったが、シャスナの変わった闘い方でリンの闇だけを取り去ってしまうのだった。 そして、ついにDDD…3Dとの初戦が行われようとしている。
T
今の空はついさっき降って来た土砂降りの雨、雷、強風と、屋外での戦闘では不向きなフィールドになっていた。 しかし、この戦いを終わらせる者は誰もいない。 善と悪、光と闇の戦い…決着などつくのかさえ分からない――しかし、サフィア達は戦わなければならない。 なぜなら、地球を護る為、宇宙を護る為…平和を護らなければならないからだ。 サフィアとロッジャーはアストロの方を向きフェニックソード、あるいはV字ブーメランを取り出した。 ソフィヤとシャスナはブレインに目線を合わせ、秘刀針剣(ハリケーン)一方はライト・ラッシャーを構えた。 ネオンとスーはウルフの前に立ち、槍、ガトリングを前にだした。 一方、彼らの相手になるアストロ、ウルフ、ブレインは威風堂々と立っている。 アストロ…DTはダークに包まれた剣…デビルブレイドを手に持っている。 ウルフ…DUはやけに鋭い鉤爪が付いている武器…デザートクロウを手に装着させている。 ブレイン…DVには武器がない。そのかわり両手から青黒い炎(ソフィヤの父、鳳凰に使ったデス・ディメン・ダークと同じ炎)が出ている。 そして、今このフィールドにいる9人のファイターは何の合図も無いのに一斉に攻撃を仕掛けてきた。
ここからは、グループグル-プに分けて話を進めるが、同時進行なのを忘れないで欲しい。
U-ネオン・スーVSウルフ-
彼らは一斉に攻撃を仕掛けてきた。 一番の先手はスーであった。 彼のガトリングの銃弾はまるで生き物の様にネオンの肩の上をすり抜け、ウルフの胸に銃弾が貫通した。 「あれ?オラ…ほんの4行で3Dの一人を倒しちゃったっぺか?」 どうやらそれを撃った彼自身も驚いているらしい。 「もっと強いと思ったんやけど…どないしたんやろ?」 ネオンも驚きを隠せない。 「まあ…オラたちも結構訓練しt――ドス…バタ スーは何者かの手によって後頭部を強打され、地面に倒れこんだ。 「スー!!!どうしたんやー!おー…ッ!!!」 その時、ネオンの目の前に光る物が3本跳んできた。ギリギリの所、彼はそれを槍で防いだ。 「フフフ…このバカよりは才能がある様ね…」 スーの背後に立っていたウルフが冷ややかに言った。 手にはなんと鉤爪が10数mは伸びているデザートクロウがあった。どうやらこの鉤爪はどこまでも伸びるらしい。 「キ…キサマァァァ…」 彼は歯をギリギリならしながら握り拳を作った。 「あら、そんなに興奮するとせっかくの強さが台無しよ…フフフ」 ウルフが無表情ながら微笑した。 「お前…どっちの味方やねん」 ネオンが力を緩めながら言った。 「フフフ…だって…どうせ勝つゲームなら面白いほうがいいでしょ?」 「キサマァ…なめんなよゴルァ!」 ネオンの槍がWソード(ダブルソード)になり腰につけているソードからもビームを出した。 2つ合わせてWソード(カルテットソード)。SPE最強の武器である。 そして、それらをバトンの様にグルグル回し出した。 「それが武器とでも言うのかしら…フフフ。そんな物クロウ一つで防げるわよ…」 彼女は言う通り、デザートクロウの鉤爪を伸ばし、Wソードの中に入れた。火花が飛び散るほどの衝撃だが、鉤爪は折れる事も無く彼女も平然としている。 「クッ…なぜや…これじゃ前に進む事もできへん!」 ネオンが呻いた。 その時、ネオンの右太股の裏側に激痛が走った。彼は恐る恐るそこを見て見るとなんとウルフのWソードと戦っているのとは違うもう一つのデザートクロウの鉤爪が貫通していた。 つまりその鉤爪はもう一方の鉤爪よりも伸び、ぐにゃりと曲がってネオンの背後に回り、更に鉤爪が伸びて彼の右太股の裏側に突き刺さったのだ。 デザートクロウはゴムの様に伸びたり曲がったりする事ができるのだ。 「フフフ…案外つまらないゲームだったわね…。もっと楽しめるかと思ったのに…」 ウルフがつまらなそうに言った。 「ま…まだまだやぁ!まだワイが武器を持てる限り、勝負は終わらん―― その時、太股に刺さってない方の…Wソードと戦っているデザートクロウの鉤爪がネオンの利き腕であはない右腕の肩にその鉤爪が付き刺さった。このダメージにはこたえたらしく、彼は両ソードを地面に落とし、自身は地に倒れこんだ。 「フフフ…気合だけは誉めてあげる。あなたが死んでしまうとつまらなそうだし…生かしてあげるわ。ありがたく思いなさい」 そう言うとウルフは音をたてずにパビリオン・オブ・エンピラーへと歩んでいった。 数分後、残ったのは…ネオンとスーだけになった。そう思うだろう。しかし、なぜか…このフィールドに2人の姿はなかったのであった。
U-ソフィヤ・シャスナVSブレイン-
彼らは一斉に攻撃を仕掛けてきた。 ソフィヤとシャスナは一斉に走り出し、ブレインに突っ込んでいった。しかし、ブレインは動じない――むしろ笑っている。 「ムシケラドも…悪あがきはヨセ」 ブレインが言った。 しかし、彼女らは全く聞く耳を持たず――むしろ気迫に満ちていくようだった――なぜかと言うと…2人はブレインに恨みがあるからだ。 ソフィヤは彼によって父を殺され、シャスナは彼によって我が故郷、フェリスターを死の星にした。 2人のとってブレインは絶対に許せない存在であった。 「いい加減聞き分けタマエ…サア…止まレ!止まラナケレば攻撃スル!」 ブレインが最後の警告をしたが2人は変わらずブレインの方に走っている。 「ドウやら攻撃を喰らいタイ様だな…ブレインショック!!!」 空気を轟き、それが耳をつんざき2人の脳に衝撃走り、身体が締め付けられた。立つ事すらできない激痛によって2人は地面をのた打ち回った。 「クックック…雑魚めガ…ブレイんしょっくハたいてい1時間浴びてイレバ死にイたる波デアルノだ。まあムシケラどもはもッと早く死に到るダロウ…まず…穢レた父が逝ッタ翼の生えたムシケラ…穢れた天に逝け!黒煙弾!」 ブレインの口から縦に広がる火炎がソフィヤに向けて放射された。しかしそれはすぐに消え、変わりに真っ黒な煙がソフィヤに襲った。 科学が好きな人は分かると思うが、炎から黒い煙が出るというのは不完全燃焼と言い、物質が酸素不足の状態で燃焼すると大量のスス(黒煙)や一酸化炭素(CO)が生じる。そのCOと言うのが厄介でそれには強い毒性があり、吸入すると少量でも死に至ることがある(空気中の濃度が0.1%で死亡する可能性がある)。この毒の塊と言える黒煙が彼女を襲っているのだ。 ソフィヤはこれをよけようとしたがあまりにも速く走りすぎた為、うまくブレーキが掛からない。 その時、シャスナがソフィヤをタックルして黒煙の進むコースから強引に外した。 だが、今度はシャスナがそのコースに入ってしまい(当たり前だが)シャスナはその黒煙にぶつかってしまった。 「きゃあ!」 「シャスナ!息をあまりしないで!煙から逃れるの!」 ソフィヤが叫んだ。 「残念ダがソウは行かない!ブレインショック!」 ブレインを中心としてまた空気を轟かせた。2人は声にならない叫びを上げて地面をのた打ち回った。 「ハッハッハ!言い気味だ!こノママ2人とモ…ん?」 ブレインは目を疑った。 なんとソフィヤがシャスナと煙の方に苦しみながらもじりじり近づいてゆくのだ。 「ポニーテールのムシケラよ、言っタハズダ。悪あがきはヨセ。そのムシケラは死ぬ。そしてキサマもダ…ブレインショック強化!」 空気が叫ぶように振動し、それが地面に伝わって地震の様に揺れる。しかし、ブレインが思うようにソフィヤは地面をのた打ち回ったりはしなかった。 ついに彼女はシャスナの足を掴み、力の限り引っ張った。シャスナは煙から抜け出し、大きくむせかえった。 「大丈夫?…酸素の精霊よ…我の目の前にいる妖精の吸引されよ!アクシゲン!!!」 ソフィヤが唱えると(目には見えないが)酸素が彼女の前に集結し、次にシャスナの口元辺りに移動し、彼女の肺に取り込まれ、また肺から二酸化炭素として出てくる。どうやら無事助かったようだ。 「ち…ムシケラがァァァ…。ドウやら本気を出さなければ気がスマナイヨウダナ。ブルースカイ家は全て同じ運命にシテやるワ!デス・ディメン・ダーク!!!」 彼の両手から青い炎、口から黒い炎が出てきて、交ざり合うように青黒い炎となってソフィヤを襲った。 ソフィヤはブレインショックのダメージで動けない…。叫びすら上げられないその体が影となる…爆風がシャスナをたちを襲う…そのまま気を失う…。
爆風によって飛ばされた砂が煙幕の様に視界をさえぎられ、1m向こうの景色さえも見えなくなっていたが、ブレインには分かった。 「…何者カの手によッテさッきの攻撃の威力は防がれタ…。ドウやらもう一度とドメをさサナケレばいケナイカナ」 ブレインはゆっくりとこの視界の悪い地を歩んだ。 数十歩進んだあたりで何かの塊にぶつかった。それはソフィヤとシャスナだった。2人はまだ生きていた。 「…丁度イイ。マトメテ逝かせてヤロウ。フレイ―― 彼が手を2人の方向にかざして唱えようとした瞬間、レーザーが彼の頬を掠った。 「ッ――何…何者ダ!?」 ――速やかにこの場から立ち去りなさい。さもなければもう一度神の仕打ちを食らわす―― ブレインはその声が聞こえるほうを凝視した。なんとなく灰色の影が見える。 この場であいつと戦うと‘デス・ディメン・ダーク’を放った自分は体力がかなり減っている。今この場でムシケラめを殺るなんてことをしたら自分はあいつに殺られる…ブレインはこの事が一瞬脳裏に過ぎった。 「わかった。スグサマココから退散しテヤロう。覚えてイロヨ」 ブレインは捨て台詞を言うと闇の中へと消えて言った。 一方、灰色の影をしていた人と、ソフィヤとシャスナはネオンとスー同様このフィールドに姿はなかったのであった。
U-サフィア・ロッジャーVSアストロ-
彼らは一斉に攻撃を仕掛けてきた。 しかし、その彼らとはサフィアとロッジャーの事をさし、アストロは一歩も動いていなかった。 そのかわりに一言だけ言った。 「3分間で蹴りを付けてやる」 「なんだと!」 「それはこっちのセリフじゃん!」 二人が走りながら言った。 「ほう…俺様を3分で倒すと?そんなばかげた事を…」 アストロがニヤッと笑った。 「ウッサイ!くらえ!ファイナルカッター!!!」 ロッジャーが宙を跳び、ブーメランで空気を切り裂いた。その裂けた所からエネルギーの波動が発生し、それはアストロ向かって突き進んだ。 「こんな物で俺様を負かすとでも言うのか?」 アストロが冷ややかに言った。 「え?」 アストロはデビルブレイドを軽く空を斬る様に振るとなんとファイナルカッターの1.5倍は大きいエネルギーの波動が数発飛んできてファイナルカッターのエネルギー波動を破壊した。 「そんな!オイラの必殺技がァァァ…」 ロッジャーが呻いた。 「キサマらの力は俺様の足元にも及ばないのだよ。それでは…もう1分経ってしまったな。それではお別れだ。キサマの命とな!」 アストロがニヤリとした。そして力任せに闇の剣を振り回すと剣から数10本もの波動が無造作に放たれた。 「ロッジャー、武器でブロックだ!」 サフィアが叫んだ。 「わ…わかってるじゃんよ!」 ロッジャーがブーメランを前に出しながら言った。 ガキン――波動がサフィアのフェニックソードにぶつかった衝撃で彼はズズズ…と1mほど後退した。 「ク…前に進めない!」 サフィアが言った。 「サフィア、お前…そんな弱気な所…うわあ!」 今度はロッジャーが跳ね飛ばされた。しかもその衝撃でブーメランも跳ね飛ばされてしまった。 「ロッジャー!!!」 サフィアが叫んだ。 「だ…大丈夫じゃん!もう1本ブーメランが…」 ロッジャーは背中についてあるY字ブーメランを取り出したその時、そのブーメランの根元辺りに波動が当たり、弾き飛ばされた。 「そ…そんな!」 ロッジャーが珍しく焦っている。そして、サフィアも同様だ。 「ハッハッハハハハ!!!どうやらそこのアライグマが先にオサラバしないといけないようだな」 アストロがまるで呪われているかのような表情を浮かべて言い彼はロッジャーにエネルギー波動の嵐を食らわせた。 その時、サフィアはふと思い出した。自分にはバリアブレスがある。だからフェニックソードをロッジャーに渡せば…。まだ終わらないかもしれない。 「ロッジャー!俺のフェニックソードを使うんだ!」 サフィアはバリアブレスを出しながらロッジャーの目の前辺りにフェニックソードを投げると剣はまるで意思があるかの様に地面に突き刺さり、ロッジャーから波動を跳ね返した。 「ありがと…じゃん。サフィア」 ロッジャーはその剣を引き抜こうとした。が、彼の力ではその剣を引き抜く事はとうてい不可能だった。 あまりにも剣が重すぎるのである。 サフィアの剣、フェニックソードはとても重いのだが、なぜかサフィアだけはキーボード位の重さに感じるのである。 ロッジャーは一瞬それがあまりの重さにひるんでしまった。それが命取りだった。 アストロの放った波動がロッジャーの頭部に直撃し、遥か遠くへと吹っ飛んでしまった。そして、彼は動かなくなった。 「ロッジ…うわあ!!!」 サフィアの盾にぶつかった波動の衝撃で彼はまるで車にひかれる様に吹っ飛んでしまった。 フェニックソードがどんなに重いか分かるだろう。 「ハッハッハ!あと10秒だ。10秒で蹴りをつけてやる!」 アストロは更に剣を振り回すスピードを速めた。 ダメだ――そうサフィアが思った時、奇跡が起きた。 ――SKフラッシュ!!! サフィアの背後でまるで暗闇から目の前で懐中電灯を照らされたような眩い光が照らされた。 「ウグゥ!!!目がぁァァァ…。覚えていろ…虫けらどもがァァァァ!!!」 アストロは目が見えないまま、まるでテレポートの様に消えてしまった。 「ううう…目が…」 サフィアがうっすらと言った。背後からの光だったがサフィアにもかなりのダメージを喰らってしまった。 サフィアはそこでバタリと倒れてしまった。
U-???-
ブラットはリンのすぐ隣で彼女が目を覚ますのを待っていた。待っていながらもサフィア達の闘いをソワソワと観ていた。 「リン…早く気がついて…。みんな殺されそうだよ…」 ブラットの想いが通じたのか、リンはうっすらと目をあけた。 「ブラット…?私はどうなったの?」 リンが小さな声で呟いた。 「リン!リンは今まであいつらの味方になってたんだよ。きっとこのベルトのせいだよ(とバラバラになったベルトを見せた)。で、シャスナって妖精がリンの呪縛を解き放ったんだよ!それでリンは気を失って今目が覚めたんだよ」 「そうだったの…そのシャスナさん…きっと私も知ってる人だけど今はどこにいるの?」 「今あそこで3Dと闘ってるんだ!早く助けないと…あ、ウルフと闘ってる2人がやられた!」 「助けなきゃ!」 2人は姿を消して(リンも透明になる事ができる。一応幽霊だし)ネオンとスーの所まで空を飛んで(リンも空を飛べる。一応幽霊なので)行った(ちなみに透明になった人は透明な人を見る事ができる)。 ――着いた。どうやら2人にはとどめが刺されていないようね。よかった と、リンが言った。 ――じゃあとりあえず運ぼうか と、ブラットが言った。 ――どこに?何でも引受会社汲ノ預ける?でもそれはなんか礼儀がなってないわ ――そうだよなあ…。そうだ!じゃあ](クロス)・スペースファイターに運ぼうよ!そこならすぐにここから脱出できる ――そうね。そこにしましょうか… ――でも僕はこの人達を運べないよ。だから… ――私だけで運ぶ…でしょ? ――いいじゃん!僕のおかげでリンがここにいるようなもんだし と、ブラットがムスッと言った。 ――あれれ?シャスナさんのおかげだって言ってなかったっけ? と、リンが皮肉っぽく言った。 ブラットは手足をジタバタさせて何かを言いたげにしていたが何も言い返せなかった。 リンは少し微笑んで(きっとこの小説上初)何も言わずにネオンを持ち上げた。ブラットはそれを見て、他の戦闘を観にいった。 そして彼はアストロVSサフィア&ロッジャーの戦闘を見て、サフィアが絶体絶命の危機に立たされている所を目撃し、アストロに向かってSKフラッシュをしたのはブラットだったのだ。 また、リンはネオンとスーを運び終え、ブレインVSソフィヤ&シャスナの戦闘を見にいき、ブレインがデス・ディメン・ダーク発射の構えをしているのを目撃し、自分のカマをとりだし、死神のバリアと言える‘結界を’を張り、ブレインの攻撃を防いぎ、レーザー砲搭載のカマからレーザーを飛ばし、ブレインを追い払ったのはリンであったのだ。 彼女はまた2人を運び、]・スペースファイターの方へと行った。 その後、ブラットはサフィア達を見つけ、彼に向かって大声で言った。 ――サフィア…隊長ですよね?僕ですよ、僕。リンの使え魔、ブラットだよ 仰向けになったサフィアは姿のない声がするので少しドキッとした。 「ブラット?ああ、確か翼の生えた黒猫だよな?でも…どこにいるん―― ――ああ〜…もう!何度言ったら分かるんだよ!僕は使え魔のブラット!ブラック・ウィング・キャットのブラットだよ! ブラットがす〜っと姿を現しながらお決まりのセリフを言った。 「あ、そうか。で、君が俺を助けてくれたんだな?ありがとう」 「本当にありがとう様様だよ!自分!リンを説得して、ネオンとスーを発見してリンに教えて、更にSKフラッシュを使ってアストロを追い出して今サフィアと話してるんだから…ペチャクチャペチャクチャ(後略)」 ブラットが長々と話した。そして、]・スペースファイターの方へ行ってしまった。 サフィアは何となくぼやけた視界の中でロッジャーの方へ移動した。未だにピクリとも動かない。 波動が当たった妙な形をしたヘルメットには生々しくもベコッとへこんでいる。 「ロッジャー…」 彼は何となくロッジャーの胸に耳をあてた。すると、心臓はとくとく…とくとく…と動いていた。そして口付近に手をかざしてみると呼吸も確認できた。どうやら命に別状は無かった。 そう言えば…このヘルメットはフェリスターのあの事件から数週間しか経っていない頃、ロッジャーの誕生日に命を救ってくれた(12話U参照)お礼としてこれをくれた。ロッジャーはこれのおかげで助かったのか…。 そう思うと急に意識が遠のいてきた。こんなに短期間で体力を使ったのは初めてだからな…。 サフィアはロッジャーの脇に寝そべるように気を失った。今、形勢的には初めてサフィアが敗北した日であった。
V
サフィアは気を失っている間に夢を見た。 やけにはっきりした問われている夢だった。 ――サフィア…サフィア…聞こえるかい?僕だよ僕、‘SFA’だよ SFA?誰?訊いた事が…無い ――僕は君の…そうだなあ、僕は君から見た過去でもあるし現在でもあるし未来でもある存在だなあ ――僕は君が束縛者だからつながる存在だよ 君の運命は変えられないからね なんだって!?過去でもあり、現在でもあり、未来でもある?そして、運命と言う響きがなんかもやもやする でも疑えない それはなぜだろう… ――君は行く所がある SPS…スペース・ポリス・ザ・スター…君なら分かる SPSと言えばSPEやSPLみたいなS☆Pの最高司令署がある星だよな… ――そこはこの星よりも、地球よりも更に遠い所にある星だ SPS…俺達はそこに行かなければならない そこで…何かが起こるのか?SFA ――ああ、そうだよ さてと…そろそろ目を覚ましたほうがいいよ サフィア がんばろう ああ、頑張ろう…SFA
W
「…サフィア?サフィア!ああ、よかった。やっと気がついた」 視界がぼやけてよく見えない(これはSKフラッシュでは無いとサフィアは分かった)が、ソフィヤが前にいてホッとして言った。 ふとサフィアは起き上がった。すると、周りには彼女の他にロッジャー、シャスナ、ネオン、ス-の全員がいた。 「サフィア!まだ安静に!あなたは4日と23時間気を失ってたんだから…」 ソフィヤが彼を寝かせようとしたが彼は更にガバッと起き上がった。 「な…なんだって!?ち、地球には後どの位で!?」 「ふう…サフィア、簡単に計算できるじゃんよ?行きは地球から…まあライトスターに行ったのを除いて(ロッジャーはチラッとスーを見た)…丁度5日間であの星まで来たじゃんよ。で、帰りは今まで4日と23時間。さあ、残りは何時間?」 ロッジャーがニヤニヤ言った。 「エーット…ダメだ、頭がさえない」 「ロッジャー、サフィアさんをいじめちゃダメじゃないですか。サフィアさん、正解は4―― 「4 時 間 で す!後 4 時 間 で 着 き ま す!」 シャスナが言おうとした所をロッジャーが叫んだ。 「ああ…ありがとう…って、あああと1時間!?!?ストップストップ!いや、ゴーゴーゴー!!!」 「…何言ってんのや?気ィおかしくなったんちゃうか?」 ネオンが苦笑いをしながら言った。 「いや…あ〜…ちょっと寄り道をしなければいけないんだよ。SPSに行かないと!」 「エ…エスピーエスゥ?」 みんなが一斉に言った。 「そうなんだ。そこに行ってちょっと話す事があるんだよ」 「あのな、サフィア、仕事も仕事だが、しっかり休まんといけない時もあるんだよぉ」 スーが言った。 「でも…もしかしたら…いや、これはすぐに行かないといけないのかも知れない。ほら、前エーレが言ってたじゃないか」 「あのコーヒー男でしょ?その時言ったじゃない。あいつは運命師だって」 ソフィヤがムスッと言った。 「いや、それは違う。だって俺は束縛者だから…」 「なんですって!?あなたが!?」 ソフィヤが絶叫した。 「ああ…だってこの中で束縛者らしい奴と言ったら俺だけだろ?幼い頃の記憶が無いし…そうするとあいつは運命師では無くなる。彼の作った運命は俺には通じないしお前らにも通じない。お前らは半束縛者だからな」 「そう…あの人は敵じゃなくて…味方だったってワケね」 サフィアがうなずいた。 「そう。それでだな…さっき夢…いや、あれは予言か何かかも知れない。それがSPSに行けって言ったんだ」 「そうなのかぁ…じゃあ言った方がいいだべなぁ」 「じゃあ早く伝えたほうがいいで、この宇宙船の運転士…あ、ステアリンの事や」 「ステアリンじゃないわ。あれはあの戦いの前。あの人はリンよ」 シャスナが訂正した。 「せやな…。早く伝えに行ったほうがええで。リ、リンにな。もう着地準備してるかも知らへん。運転室はこの階段を上った所にあるで」 「分かった。みんな、ありがとう。俺を信じてくれて」 サフィアがお礼を言った。 「そんな事ないわ。私達はあなたを信用してる。あなたも私達を信用してるでしょ?それに…嘘ついて何になるの?」 ソフィヤが微笑みながら言った。 サフィアは一瞬クラリとしたが…ベッドを降りて階段を上がった。 今のソフィヤ…あの笑顔が頭に残った。なんか嬉しいような切ない様な…そんな気持ちだった。
X
サフィアは運転席についた。前についている画面(なのか?)にはビュンビュンと星々を抜いている画面が見える。 彼は次に座っている2人の背を見た。とても集中しているような背だった。 「サフィアさんですか…。気がついたんですね」 リンが前を向きながら言った。オーラか何かで分かったのだろうか。 「ええ、今さっき」 サフィアが答えた。 「んで?用事は?もしかしてェ?SPSに行くとか言わないでよォ?」 ブラットがニヤニヤしながら言った。まるでサフィアの意思を察知したかのように…。 「あ…なんで分かったの?」 「そりゃサフィア達の声が大きすぎるからここまで聞こえるよ。大丈夫、僕達はまだ一睡もできないで5日間も過ぎてやっと寝られる…と思ったのに更に後5日間も飛ばないと行けないSPSなんかに行くのはかったるいしリンはあまりそこは好きじゃなさそうだけど… 「ブラット、良いの。この人達は私の命の恩人だし、少し位の寄り道は大丈夫」 「…いいの?リン…。S☆Pは死神を嫌ってるよ?」 ブラットが心配そうに言った。 「平気。S☆PであるSPEの皆さんは私をこんなに歓迎してるじゃない。さっきも言ったけどこの人達は私の命の恩人。私はこの人達の為なら一生ついて行くわ」 リンが微笑みながら言った。 「と言う事は…リン、もしや!?」 「私はSPEに入隊する。そしてDDDを倒す。そのために私はSPSに言って入隊許可を得たいの」 「じゃあ…行ってくれるんですね!」 「もちろん!もう航路は地球から離れてSPSを目指しているわ」 リンの背中はとてもたくましかった。 宇宙戦闘機]・スペースファイターは宇宙を限りなく速いスピードで突き進んで行った。
アトガキ あ、ドも、ノベリスっす。 ついに次回『SPS(仮)』でこの中巻は終了です!長かった…長すぎた…と言ってもまだ終わらないんだな。 次巻の下巻はついに最終章!The LAST WORLD WAR〜戦いの中の闘い〜(仮)です! 早ながら楽しみに待ってて下さい♪
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