18話 会談
あらすじ…サフィア達はある事からディマクラスターに行く前にライトスターに寄る事になる。 そこで農家の娘、フィーとSPL隊長ラックコールと出会いその後フィーと一緒に彼女の家に行く事になる。 しかし、この女は運命師と言う禁断の占いをする人間なのだ。しかも彼女はDDDのスパイでもあった。 フィーは自分の武器の弓矢から大量のドロイドを召喚し、サフィア達は近くにある楠木の林に逃げ、ゲリラ戦をする。 その後SPLのラックコール率いるスターランス中隊の援護攻撃によって見事この戦いを勝利に導いた。 そしてサフィア達はグリセリルの]・スペースファイターに乗り込み、ディマクラスターに向かうのであった。
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出発して間も無い頃 1460年 6月10日 宇宙戦闘機内部 スペースファイターは今、大気圏を出、ライトスターの衛星辺りを通過していた。 「皆さん…ご無事でしたか…。何だか北の方角が赤かったので気掛かりだったのですが…」 ステアリン・グリセリルが心配そうに言った。 「ええ…何とか大丈夫やで。危なかったけどな」 ネオンが苦笑いをしながら言った。 「そうだったんですか…でも、無事で何よりです」 グリセリルが無表情ながらホッとした様に言った。 「ねえねえみんな…今思ったんだけどさ…」 景色を見ていたシャスナがふと振り返り、言った。 「どうしたの?シャスナちゃん」 「私達…フィーの作られた運命で死んじゃうって言ってたけど…なんかみんな生き残っちゃったね」 シャスナがあっさり言った。 「でも…運命は変わらないからまたいつか…」 サフィアは言ってはいけない様な事を言ってしまったと思って口を閉ざした。 「いや、でもそれは無いんじゃないのけぇ?」 スーが眉間にしわを寄せながら言った。 「なぜじゃん?」 ロッジャーが尋ねた。 「あのな、あいつ『あなた達はここで殺される運命』って言ってたろ思うんだが…。ここってあいつの家以外あり得ないんじゃないかぁ?」 「た…確かにそうじゃん!」 「でも…スーはん、それには矛盾点があるで。そもそも何であの時ワイらは死ななかったのやろ?」 「た…確かに…」 「もしかしてあなた達、束縛者なんですか!」 ステアリンが驚いた様な素振りを見せながら言った。 みんな、彼女の発言に目を丸くしている。 「ソ…ソクバクシャ?何それ」 「私も…本当に信じられない…。束縛者は私達のような死神にしか無いと思ってたのですが…まさかあなた達のような普通の人が束縛者だなんて…あ、束縛者って言うのは運命師の力に勝てる唯一の存在なのです。その人はどんなに地団駄を踏んでも一つの運命しか通る事ができないのです。ただし、その運命はおおまかでまあ…運命師に縛られるよりはマシでしょう」 「束縛者…お、俺達全員がそうなのか!?」 サフィアが訊いた。 「それは私には分かりません。私が知っているのは束縛者になるには条件がある事です。その条件とは、何者かの手によって身体を改造…又は造られた人です」 「な…なんだってェェェェ!!!」 「いや、ワイはそんな記憶あらへん!母ちゃんの腹の中から生まれ、今まで改造した事なんて無いわ!」 ネオンが唸った。 「そりゃオイラだって…今はもう死んじゃったけどちゃんと父母両方いたじゃんよ」 ロッジャーがムスッと言った。 「そう言う事は…もしかしてあなた達は『半束縛者』なのですか?」 「ハ…ハンソクバクシャァ!?」 「そうです。半束縛者は一人の束縛者の運命に出てくる時にだけ運命師の力を打ち消す事ができる存在なのです。もちろん、この中に一人はいないと役には立ちませんがね…」 「そうなのか…ならまあええわな」 「む…難しい」 「あれ?今思ったんですけど…あなたはさっき、自分の事を死神って言ってましたよね?」 シャスナが訊いた。 「え?そうですが…何か?」 ステアリンが言った。 「私…死神は伝説上の生き物だと思っていました。しかも闇のように真っ黒で、ドクロで、手には大きな鎌を持っていて、人の命を奪うって…」 「そんな人達ですよ…死神は。でも、私はなぜか知りませんが…突然変異かも知れません。私は雪のように白い肌で、母の手のように暖かい心を持っています。だから私はみんなからエケトリック…変わり者と呼ばれていました。私はずっとからかわれていた。だから、この任務を成功させて、みんなを見返してやりたいのです!!」 ステアリンがこんなに長く話したのはサフィアにとって初めてだろう。 「…なるほどな。俺、なんか元気が湧いてきた。この広い宇宙には、たくさんの人がいて、たくさんの考えがある。そして、ある一つの事を一生懸命がんばっている姿…俺は良いと思うな。ステアリン、頑張れ。俺達も、頑張る」 サフィアが感心しながら言った。 「ありがとうございます…あ、到着予定時間まであと2日間です。ライトスターの疲れをここで取っていたほうが宜しいかと思います」 ステアリンが時計を見ながら言った。 「そう言えば…。私、そう思っただけで寝そう…。オヤスミ…グー」 ソフィヤが寝たフリをした。 「オ―イ…まあええわ…。おい、寝る場所はどこやねん」 「あ、寝る場所は…2階の仮眠室です。5人なら眠られると思います」 ステアリンは5人をその仮眠室に案内した。 サフィア達は、そこに着くと一気に睡魔に襲われ、ぐっすりといびきを掻く事になったのはそう時間は掛からなかった。
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]スペースファイターは予定通り2日後の1460年 6月12日にディマクラスターの地を踏んだ。 ディマクラスターはほぼ月と同じ大きさの衛星である。木は無く、砂漠が広がっているが、地球を遥かに超えた文明がそこにあった。 「ようこそ、私達の星、ディマクラスターへ!」 ステアリンがクールだが明るい声で言った。 「どうも。で、あの会談が行われる場所はどこですか?」 サフィアが辺りを珍しそうに見渡しながら訊いた。 「会談が行われる場所は、この星の最高機関『パビリオンオブエンピラー』の皇室で行われます。案内しますけど…他の4人はもう局長…私達の司令官の命令でここからは行けない事になっているんです。皆さんありがとうございました」 彼女がペコリとお辞儀をした。 「ちょ…ちょっと待てや!ワイらは…ワイらはただのサフィアの遣いなんか!ワイがあの時…ライトスターにいた時サフィアはんだけやったらきっと死んでしもうとるわ!あんさん…どない頭してんのや!」 「ネ、ネオン様、あなたの思った事は良く分かりました。今から局長に許可申請をしてみます」 ステアリンはまた宇宙船に乗り込んだ。 「ネオン…お前、そんなに俺の事を大切に思ってくれたのか…」 「せや、前、サフィアはん自身が言ったやろ?『どんな星でも、まだこの星が安全かどうか分からない』ってな」 その言葉は、ライトスターについた直前にサフィアがロッジャーに言った言葉だった。 その時、ステアリンが宇宙船から出てきた。 「半分許可を貰いました」 グリセリルが言った。 「ど、どう言う事じゃん?」 ロッジャーが言った。 「とりあえずOKなのですが、パビリオンオブエンピラー内部は関係者以外立入禁止なので…つまり、皇室で行われる会談は必要最低限の者しか入る事ができないのです。しいて言えば、地球代表のサフィア様とディマクラ星代表の方が話し合うのです」 「なるほどね…私達は会談中はどこで待っていればいいんですか?」 ソフィヤが尋ねた。 「すぐ近くにある国民ホテルの中で待機だそうです」 「よぉし…じゃあ行くか…『パビリオンオブエンピラー』へ!」 一行は、その最高機関があると言う所へ、ステアリンが先頭で進み始めた。
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数分後 パビリオンオブエンピラー前 そこは、周りの建物とは見当が付かないほど美しく、金色に輝くまるで宮殿の様な建物であった。 みんな、口をポカンと開けて見つめている。 「ここがパビリオンオブエンピラーです」 その中でステアリンが言った。 「凄い…まるでインドのタージ・マハールの様だ」 サフィアが言った。 「それではサフィア様、中へ」 「まって、ステアリン…少しだけ…ほんの少し、時間を下さい」 ソフィアが言った。 「いいですよ」 ステアリンがそう言うとソフィヤはサフィアを招いた。 「サフィア…気をつけて」 「な、何でだよ」 「だって…なんかとても不安な気持ちでいっぱいなのよ」 「そりゃ俺だって不安さ…。宇宙人と会談をするなんて」 「あなたって…本当に鈍感ね…いってらっしゃい…がんばってね」 ソフィヤは微笑むと向こうにあるホテルの方に行った。ロッジャー達も後についた。 「なんだ?あいつ…」 サフィアは首を傾げた。 「それでは…行きましょう」 ステアリンが目の前の門を開いた。 そこには2体のロボットが立っていた。足と腕は無く、胴体と手だけが浮いている(マスー曰く超電導磁石で浮いてるとかなんとか)。胴体はマントをはおり、人の肩に当たる辺りに穴が空いている。顔は円柱にニット帽の様な物をかぶり、目は1つ目、口にもも目の様な物が付いている。 「サフィア様と…死神No『StearinGriserilNa』入殿を許可する」 サフィアはこんなに上手く言葉を発したロボットを見た事が無かった。今まで見てきた中でも『ド』で終わり『ん』で終わるロボットだけであった。 「このロボットはなんだ?」 サフィアが訊いた。 「これはドロイドです」 ステアリンがスラッと言った。 「ド…ドロイドォ!?」 サフィアの頭にはあのDSの大軍が出てきた。 「ドロイドと言っても戦闘用ではなく主に階級の高い者のボディーガードとして使われるアニメンス・サークルピラー(AS)…またの名をループドロイドとかアタックドロイドと言います。DDDとは全く違うドロイドです」 ステアリンが誇らしげに言った。 「凄い、こんなドロイドがいるなんて…」 「武器は主にループランスと言う―― 「そこのエケトリック(変わり者)、グズグズするな。サフィア様、御案内いたします」 ステアリンが豆知識を言おうとした時、2体のサークルピラーが言った。そして音も無く(足が無いので)進みだした。 「ひどい奴だな」 サフィアが歩きながら言った。 「こんな悪口は序の口ですよ。悪口にも入らない位です」 「そんなもんか…それに、この建物はまるで鳥人王国の鳥人王国中心塔の様だ」 「じゃあ、その塔もとても凄いタワーなのですね」 「静かにしたまえ…ここは神聖なる場なのだ。汚らしいエケトリックがいる場ではないのに、特別に入れさせて貰っているのだ」 ASがまた言った。 「お前ら…さすがに酷すぎるぞ!」…と言いたくなったのだが、ステアリンが「自分のために喧嘩をうらないで下さい。ここはパビリオンオブエンピラーです」と言ったのでやめた。 そのまま、無言で数分歩き続けて、ようやくサークルピラーの足が(ありませんが)止まった。 「ここが皇室です。なぜか御命令でこのエケトリックも入皇が許されている」 ASはそう言うと何もいわずにもう1体のASが重い扉を開けた。 「それではどうぞ…我がディマクラ・スターの中心的国『マジックサークル皇国』の皇室へ!」 扉が開かれた時、そこには2つの影があった。顔は太陽の光で影になってよく見えない…。 サフィアは、皇室へ足を踏み入れた。
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皇室の床は赤いカーペットが敷いてあり、広い。ゆうに体育館ほどはある。そして、そのスペースに肘掛ソファーが3つ…そのうち2つはもう誰かが座っている。(きっとこの国のお偉いさんだろうとサフィアは思った) 「ここは皇室のロビーです。ここより奥はさすがに入れませんのでここで会談をします。では、このソファーにお座り下さい」 サークルピラーが説明した。 サフィアは言われた通りソファーに座った。 このただっ広い空間の中にサフィアとステアリンとAS2体とソファーに座っている2人しかいない。 「そちらがサフィア君だね?」 ソファーに座っている1人が言った。 「はい、そうです。えーっと…あなた方は?できればお顔も拝見したい」 「よろしい…私の名前はDT…本名はアストロと名乗る…サークル、床を回転させたまえ」 「了解…閣下。ポチッとな」 ASは扉付近にある青いボタンを押した。するとサフィアとDTともう一人が座っているソファーが床ごと回転し、丁度90°になった所で止まった。 太陽のせいで影になった2人の影が見えた。一人はガッチリした体系の男…DTともう一人は青白いスラッとした女性だ。 「続けて言いますわ…私、DUと申す人よ…。まあ…本名はウルフなんですけど…フフフ」 DUがス〜ッとお辞儀をした。 「は…はあ、では、俺はDT、DUと呼べば良いのですね」 「そう言う事だな」 DTが言った。 「フフフ…DT、そろそろ…」 「ああ、そうだったな…。今日、君を呼んだのは他でも無い…我々の同盟に加盟して欲しいのだ」 「な…ど、どう言う意味ですか?」 サフィアがやや驚きながら言った。 「それを尋ねられると…この星がここまで成長するまでを話さなければいけない。少し長くなるが良いか?」 「…はい」 「我々の星は、見ての通り惑星を回る衛星だ。なぜこんな住みにくい所に来たのか…それは――例えば、ある星がここよりももっと住みにくい土地に‘なる予定’だったら…どうする?」 「それは…逃げるしかないでしょう…宇宙へ」 サフィアが答えた。言ったい何を考えているんだ?この人は…。 「そうだ、宇宙に逃げるのだ…しかし、こんな所になぜ逃げる?この衛星のすぐ近くに惑星があり、しかも人もいる…これは自分が言おう、その惑星はダルムスターなのだ。知っているか?」 「ダルム…ダルム・スティックストライクが造られた星だ」 「その通り、我々の先祖はそれを恐れ、ここに文明を築いたのだ。そして、ここはある天才博士の技術によってここまで急成長を果たしたのだ。だが、ここで問題点がある。一体誰が…どこの星の人がここに文明を築き上げたのか…」 「…見当もつきません」 「答えは君のすぐ近くにある…『地球』だ。およそ200年前、地球が戦争の火で覆われている頃、USAとJAPが共同でU-Puを作ると言う計画が出された。我々はその破壊力を予測し、その砲弾を撃つ前に地球から逃げ去ったのだ。そしてあれから2世紀…地球にまだ人間がいることを知り、今度こそもっと平和的な地球にして行きたいのだ。だから…我々の同盟に加盟してくれないか?」 「なるほど…もし加盟するのなら、我々は何をすれば良いのですか?」 サフィアが訊いた。 「少しの人手さえあれば良い。その代わり我々はたくさんの金…そうだな…1京(兆の次ぎの位)でどうだ。それとDDDや海賊から護ってやろう」 「…そうか…それだけなら…加盟しない方がマシだ」 「な…何ッ!なぜだ!?これでも満足しないのか!それならば…2京でどうだ!?」 「金の問題じゃない、交流が無いじゃないか…。それじゃ同盟じゃない…条約だ」 サフィアがスパッと言った。 「く…キサマ…き…君は…なぜだ…どうして…」 DT之歯がギリギリなった。 「交流はできないと?」 「あ…ウグ…もしや…キサ…君は知っているのかね?」 「く…ここに入って最初にドロイドを見て、そして同盟を組んでいると聞いて分かったよ。アニメンススターはポニードラゴンとオクトスパイダーを製造している。そして、同じ星で製造されたサークルピラー、すなわち同盟を組み、ドロイドをこの星に輸入しているんだ。さらにこの星の惑星はダルム…スティックストライクの製造されている。どうせ同盟に加盟しているだろう」 サフィアが一気に言った。 数秒間しーんとなった。体感時間がやけに長く感じる 「クックック…ガッハッハッハ!!!よく気付いたな、ここはDDD帝國の中心となるDDD星…デス・ディメン・ダーク・スターなのだ!そして私がその総司令官、アストロD(デビル)皇帝なのだ!そして、このDUはウルフD(デザート)女帝である。そして、我々の最高最強の武器、U-Pu2を持ってきたDV…ブレインD(ダイ)将軍である」 向こうの扉がバタンと開き、ブレインが出てきた。 「ムシケラよ ヨクキタな」 アストロが続ける。 「我々は200年前、U-Pu計画ができた時、極秘指令でこの星で待機し、もし我々の国民が地球にいなくなった時、また戻って地球を元通りにしろという任務を任されたのだ。だから…地球を制服し、宇宙規模の大帝國を築き上げるのだ。もうすでにダルム、アニメンス、マーズ、そしてデス・スター…最強といわれた死神の星を征服した。近辺の星ではあとキサマらの星のみなのだ」 「な、何だと!だが…俺は守って見せる!地球を、宇宙を!!!」 サフィアが叫んだ。 「…そうか、ならばやってやろうではないか、サフィア。まずは試しだ。このサークルを倒してみせろ…この最強のドロイドをな」 アストロはニヤリと笑った。 「DT…私達はあのホテルにいるザコを倒しに行きましょ…フフフ」 ウルフが不気味な笑みを浮かべた。 アストロ、ウルフ、ブレイン、ステアリン、サークルピラー1体はあの重そうな扉を開けた。 「ま、待て!あいつらは―― サフィアが言いかけたその時、もう1体のASがぬっと現れた。 「お前は私が相手だ。その剣を抜けよ」 ASの片方の手が肩辺りにある穴に消えた。そして、そこから何やら長くて先端が輪になっている棒が現れた。 「これはループランス…非貫通電熱円形切断槍さ。この輪は1000℃…首にかけて一引きすると首が吹っ飛ぶのさ。さあ…掛かって来いよ」 ASはループランスをくるくる回した。 サフィアは慎重にフェニックソードを抜いた。 アストロたちは、数百ものドロイドを率いてホテルに向かっていた。 まだ何も知らないソフィヤ達…。 今、舞台は急展開してゆく…。
アトガキ 更新が送れて本当に申し訳御座いません_| ̄|○ あ、ドも、ノベリスっす。 なんか一気に書き上げてつまらない話になっちゃったなぁ〜。 次、DDDとの対決です!第して『3D』!!! 戦闘シーンが好きな方、期待しないで下さい…_|\○_ 戦闘シーンが一番苦手なノベリスでした。___○_
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