どうしてどうしてどうして?
どうしてこんなことになったの?
私はまだ半年の命があった。
それなのに・・・。
数堵・・・。最後に・・・会いたかったよ・・・。
話したかった・・・。
「早く!早く!容態が悪化してます。全身マヒです!!」
看護婦さんの声が大きく響く。
私は今・・・。何をしているんだろう?
プルルルルルル・・・・
「はい、江渡澤です」
電話を取ったのは数堵。
かかってきたのは病院から。
「はい。はい。えっ・・・!?わっっわかりました!!すぐ!!向かいます!!」
すごい勢いで電話の受話器をばたんと置いた数堵は、
上着を着て外に出て行った。
「実莉っ・・・なんでっっ・・・・。今いくからな・・・待っててくれよ・・・」
そう言っても数堵の家から病院までは3時間もかかる。
「お願いだ・・・・」
数堵は力の限り走った。
「先生!!なんとかならないんですか!?」
「・・・さっきの衝撃が効いてしまっているんだ・・・あせるなっ・・・。」
「ですが・・・先生!!」
誰・・・?
私を呼ぶのは誰・・・?
ここは何処なの?
どうしてこんなところにいるんだろう・・・・?
数堵・・・は?
私は・・・実莉・・・神埼実莉・・・。
リハビリの最中にたしか、バランスを崩して・・・・。
私は死んでしまったの?
「早く!!はやく!!」
数堵は電車に向かってそう叫んだ。
あとちょっとのところなのに・・・。
数堵は走る。走る。 走るのをやめない。止めようとしない。
「実莉っっ!!生きててくれよ!!」
そう言いながら 走って病院の中に入った。
早く・・・・。早く・・・
「先生!!はやくしてください!!もうっ!もう!早くしないと・・・」
看護婦が言った。
「そんなことはわかっている!あせらせないでくれ!!」
「あっ・・・・・。先生っっ!!」
ピイイイイイイイイイイイイイイイイイ_____________
「先生っっ・・・・・先生っ・・・どうして・・・」
「すまん・・・また・・・ダメだ・・・・・。」
実莉の緊急手術は成功しなかった・・・。
「実莉!!!」
数堵が飛んできた。 が・・・そこには哀れな実莉の姿。
顔には白い布がかかっていた。
「実莉っ!?実莉!?実莉!?おい!!実莉!?俺だよ!数堵だよ!! 返事、しろよ?!なんで・・・返事してくれよ!!どうしてこんな・・・」
数堵は傍にいた医者に問いかけた。
「先生!!どうしてですか!?どうして実莉は助からなかったんですか!?何でですか!!」
「・・・・・数堵君・・・すまん・・・キミの幼馴染を・・・大切な人を・・・・ 救えなかった・・・・すまん・・・・・」
数堵は そこで 座り込んだ。
「どうして・・・・どうして・・・・実莉っ!!お前が好きだっって・・・伝えたかったのに・・・ 好きなのに・・・・。どうしてだよっ!!くそっ!!・・・・・」
数堵はそこで思いっきり泣いた。
数堵・・・最後に・・・会いたかったよ・・・・。
話したかった・・・・。 数堵と・・・・もう一度・・・・話したかったよ・・・・。
私は・・・・。数堵が・・・・好きだったよ・・・・?
病院には数堵の泣き声と、実莉の病室に最後に置かれた、
「ありがとう」
のメッセージカードだけだった。
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