今現在、この家の中にはオレしかいない。 なぜならしぃはおつかいを頼まれて外出中なのだから。
まぁ、頼んだのオレだけどさ。 しぃに買ってきてもらっているのはとある一冊のノート。 普通の大学ノートなんだけど、今日めずらしく勉強しようと思ったらちょうど切れてたってわけだ。
だからこうしてオレはしぃが帰ってくるのを待っている。 いつもだったらしぃが心配でオレも着いて行くとこだけど、しぃもたまには一人で外の空気を吸うのも悪くないかな、って思って
「でも・・・しぃがいないとヒマだなぁ・・・」 ポツリとオレがつぶやいた言葉。
しぃはオレのことどう思ってるんだろう いつもは明るい彼女も心の奥深くで何を思っているかはオレにはわからない。
「しぃ・・・・」 なんとなく彼女の名をつぶやいてみる 返事もあるハズないのに。
それはわかっているけど、少しでも彼女に近づきたくて、触れたくて
―――ギコくん。 聞こえるはずないのに、彼女の声が聞こえる
―――ギコくん。 また聞こえる、体が重い。なんでだろう
「ギコくんっ!」 いきなりその声はボリュームが大きくなる
「うわぁああっ!」 さすがにオレも驚いて飛び起きる・・・・ってあれ?
どうやたオレはソファで寝ていたらしい・・・情けなさ極みない。
「ただいまっ♪ギコくんっ」
「あぁ・・・おかえり。しぃ」 やっと平常心を取り戻したオレはしぃに声をかけた
「しぃ、大学ノートあったか?」
「うんっ!オレンジ色のが一冊残ってたよ」 そう言って彼女が鞄から取り出したのは確かにオレンジ色の大学ノート・・・いつもオレが使っているやつだ。
「ありがとう、しぃ」 オレは彼女の頭をなでながらお礼を言う、すると・・・ 「えへへっ、でもこのノート勉強に使っちゃうんだよね?」
「あぁ・・・それなんだけど・・・」
「?」
「このノート、オレとしぃの交換日記に使おうと思って」
「えーっ!おもしろそうっ」
「だろ?だから、これからはお互いなかなか言えない事をこのノートに書くっていうことで」
「うんっ!私たくさん書いちゃうー」
といいながら彼女はおもむろにそのへんにあったペンで表紙に二人の名前を書いた もちろんそれは、オレとしぃの名前
なんか照れくさくてそれをごまかすためにオレは言った
「じ、じゃあ晩飯食べ終わったらまたコンビニにノート買いに行かなきゃな。近くのコンビニはもうノート売り切れみたいだし。」 さっきしぃは
――『うんっ!オレンジ色のが一冊残ってたよ』 と言っていたのでたぶんもう売り切れなのだろう。
それに隣町のコンビニに行くということは・・・
「うんっ!今度は2人で行こうねっ」
「あぁ、もちろん」
「帰りにガリガリ君買おうっと」 彼女は上機嫌だ。
そしてオレもとても上機嫌 だって
――隣町のコンビニに行くということは、いつもより長く君の隣を歩けるということだから――
そしてオレたちは出かける
歩くのはオレと君
見守るのは満天の星空
君と足並みを揃えて
さぁ、出かけようか。
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