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ギコとしぃたちの生活 作者:雨音

第6回   06-同じ温度
「うたたね」の続きです。

平気な方のみどうぞ。




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ギコがその日帰宅したのは結局4:30ごろのことだった。

「ただいまー」
オレはいつものように家に入って瞬間叫んだ。

いつもだったら
『おかえり、ギコくん♪』
と言ってくれるしぃの声がする・・・ハズだった。

でも今日は違った

リビングのドアが開いていて、その中に入るとしぃが眠っていた。

――どうやらうたたねしていたらしく。

「おーい、しぃそんなところで寝てたら風邪ひくぞ?」

と問いかけてみると

「ん・・・」

と少し目を覚ましたのか、そのまま様子を見ていると

「・・・あ、おかえり、ギコくん」

と目をこすりながらしぃが笑ってオレに言った。

「ただいま、しぃ」

「私、寝ちゃってたんだね。ごめんね。」

「なんで謝るんだよ?・・というかオレも無理に起こしてごめんな?」

「そうじゃなくて・・・私、ギコくんに『おかえり』って言ってあげたかったから」

「え?」

「私もギコくんも、いままで誰もいない家に住んでたでしょ?ギコくんは今この家に私しかいないワケだし。」

「まぁ、そうだけど」

「私も・・・あっちの世界ではいつも一人だから。・・・たまにモララーがくるけど」

「・・・そうなんだ」

「だから、私。あっちの世界とは違うっていう意味でも『おかえり』って言ってあげたくて」

「・・・・」

「ごめん、なんか迷惑だった?」

「そんなことないよ、ありがとう・・・しぃ」

「どういたしましてっ」

「じゃあ、オレも眠いから少し2人で寝ようか?」

「そうだねっ」

そういってオレは自分の部屋から一枚毛布を持ってきてオレとしぃにかけた。

そうして毛布の下でオレとしぃは自然と手を繋ぐ。

人が午後の昼下がりに眠くなるように、自然に。

そうして先に眠ってしまったしぃを見てオレはふと考えた。

こうして、普通に自然にいることが一番楽しくて、嬉しいのかもなって。


2人を繋ぐ手と手はこんなにもぬくもりがある。

恋人とか友達とか家族とか、そうじゃなくても人と人はこんなにもあったかいんだなぁとか
オレはガラにもあわないことを考えてしまった。

「まぁ、いっか。たまには」

そう一言、自分につぶやいて深い眠りについた。






――繋いだ手

オレとしぃは、同じ温度になっていた。

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Novel Editor by BS CGI Rental
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