何かをずっと追いかけていた。
何かをずっと探していた。
何かをずっと見つめていた。
でもそれがなんだか今でもわからなくて。
それがとてつもなく怖かった。
何が怖いなんてわからない
もしかしたらすべてが怖いのかもしれないなんて、考えたこともあった。
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「いやぁああああああっ!」 誰かの悲鳴で目が覚めた。
驚いて起きたらそこは前に私がいた世界じゃなかった。 さっきの悲鳴は夢の中の誰かだったらしく、この世界は静寂の闇に包まれていた。
――ギコくんの家に着てから今日で2日・・・いや、今はもう3日目だ。 今の時刻は2:15
もう昨日になった日のことを思い出す。
「・・・昨日はギコくんと『こんびに』に行ったんだっけ」 彼といる時間は楽しい。
だけど、こうして夜が来るのがとても嫌だった。 私は夜がキライ。 前の世界を思い出すからだ。
「・・・もうさすがにギコくん起きてないよね・・・」
なんだか虚しい気分になってきた、なんでだが自分でもわからない。 複雑なキモチになった。
無意識に立ち上がる 自分でもどこに行こうとしているのかもわからない。
ぼーっと歩いていたら、どこかのドアにぶつかった。 そのドアには見覚えがあった。
―――ギコくんの部屋だ。
「もう寝てると思うけど...入ってもいいのかな?」
小さなコンコン、という軽いノック音をならしたが反応がない。
「・・・やっぱり寝てるよね・・・?」
仕方なく自分の部屋に帰ろうとすると、
ガチャ、っとドアの開く音がする。
「しぃなのか?」 ドアからギコが出てきた。
「ギコくんっ!」 いきなりしぃはギコに抱きついた。
「ちょっ!しぃ!?」 いきなり彼女に抱きつかれたギコは動揺を隠せない。
「ギコくん・・・っ、ギコくん・・・っ!」 自分でも理由はわからないけど、急に涙がボロボロと溢れてきた。
「どうしたんだよ・・・!しぃ?」
「わたし・・・・わからないよっ・・・なんのために生きてるのかっ・・・! 何にすがって生きてるのか、わからないよ・・・っ・・・!」
すすり泣きながら彼女はそう言った。 ギコは自分がなんと言えばいいか、わからなかった。
だけど、
「しぃ、オレだってなんのために生まれてきたかさっきまでわからなかった。 だけど、きっとオレはしぃの力になるために、しぃと出会うために生まれてきたんだと思う」
だから、と彼は続けた。
「もう今は何も考えないで、ただ楽しい日々を過ごせばいいんだと思う。 もう余計なことは考えないでいいんだっ」
しぃはいつものように笑って
「ありがとう」
そう言ってその場で深い眠りについた。 力の抜けた彼女の体はズルッっと床に落ちた。 幸い、そこまで強く打ち付けなかったようで外傷はなかったため、ギコは「ほっ」っとした。
そして彼・・・ギコは彼女につぶやいた
おやすみ、いい夢を。
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