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ギコとしぃたちの生活 作者:雨音

第1回   01-君の声
しぃがオレの家に来てからまだ2日しか経っていない。
やっぱり一つ屋根の下で若い男女が二人っきりというのも中々緊張するもので・・・

なんて、それはオレだけなんだろうなと思う。
なぜならしぃといえば

「ギコくーん、部屋に着替え忘れちゃったから持ってきてくれない?」
などという。

どうやらしぃはシャワーを浴びていたらしい。
しぃはこういうところでうっかりしているんだよな、と思うがそこがまたかわいい。

・・・・・って、そうじゃないだろ!

仮にもあっちは女の子だし、オレだって男の子(子っていう年頃じゃないけど)なわけだ。

「ギコくーん、早くしないと風邪引いちゃうかもなんだけど,,,」
オレだってしぃには風邪は引いてほしくないけど、どうすればいいのか。

相手がこっちの世界に来たばかりで何も知らないのをいいことに、年頃の女の子(推定)のそのような姿を見ていいのか・・・
いやいや!でもこのままではしぃが風邪を・・・・

もうこれは覚悟を決めるしかない!
ということでオレ急いではしぃの部屋から着替えを取りいざ、洗面所へ....

ガチャっとノックもせず開けたものだから、しぃもさすがにいきなりで驚く

だが、

「あっ、ギコくん。遅いよ〜寒かったぁ」
と普通にオレに話しかけてきた。
・・・というより彼女の格好は、髪を上の方で綺麗に結い、バスタオルを体に巻いただけの格好であって。
やっぱり、年頃の高校生男子には刺激が強すぎる・・・

「じ、じゃあ早く着替えないと風邪引くからなっ!」と言い、オレは顔を真っ赤にさせて洗面所を去った。


・・・オレ、これからやっていけるのかな。
そう思うしかない。


5分くらい経っただろうか、しぃがリビングに来た。
髪と肩の間にタオルを置いてあった。
さっきと違うのは、髪を乾かすためにほどいてあることくらいだろうか。

でもそこが逆に年頃の女の子だっていうことを感じさせるものだから困る。

「さっきはありがとう、ギコくん」

「あ、あぁ!まぁいいってことさ」
なんて、いきなり話しかけてくるから声が震えてしまった。

「ギコくん、アイス食べたい」

「・・・え?」

「うーん、この間食べさせてもらった「がりがりくん」っていうの食べたいなぁ」

「あぁ、ガリガリ君か?・・・って、さっきオレが食べたからもうないかも・・・」

「えー・・・そっかぁ」

「じゃあ買いにいくか、近くにコンビニがあるから」

「うんっ!いこいこーっ」

・・・さっきの言葉は撤回しよう。
彼女は年頃の女の子というより、妹っぽいのかな。
と今は思えた。

まぁ、どんな彼女であってもオレにとっては大切なんだとふと思った。

「ギコくーん、早くー!」


君がオレを呼んでいる。

オレは走って君の元へ行く。


いまはただ、君に呼ばれることがうれしくて。

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Novel Editor by BS CGI Rental
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