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時代錯誤 作者:pu-pa

最終回   第四部 エピローグ
―油小路の闇。

…オレが初めて人を殺めた場所であり、今回の約束の場所である。

「……。」

唐突に、目の前の闇が形を持ち、抜き出てきた。

…全身を黒い装束で包み込んだ男。

一人では、無い。

幾人もの、性別さえわからぬ人間達が、その狭い路地で、オレを囲んでいた。

「……。」

どの目も爛々と輝いており、獲物を狙う獣のようだ。

…実際、そのつもりなのだろう。

オレも、少し、本当にほんの少し前まではこうだった。

「……。」

輪の先頭にいた奴が、刀を振り上げ、切りかかってきた。

…それを避ける。

避けた先に、別の人間が刀を振り下ろす。

…それをも、避ける。

次々に振り下ろされる刃の群れを、オレは避けて避けて、避けまくった。

考えがあったわけでは無い。

…ただただ無心で、避けていた。

「……。」

オレを取り囲む者達の息が、乱れ来た。

オレはそこで、家を出るときに腰に下げていたはずの刀に、手をかけた。

…そしてそれを、抜き払う。

「……!?」

周りの連中が、息を呑むのを感じた。

…淡い月明かり。

その中に姿を現したオレの相棒は、柄から1尺も無い所で、無くなってしまっている。

この路で、幾人もの血を吸い続けたオレの刀は、すでに死んでいたのだ。

…そう、ほんの最近の、羅生門で。

今思えば、それが、その出来事が、巡り巡った形での、オレの死だったのかもしれない。

―しかし。

―しかし、これこそが。

―武器となりえない、この刀こそが、答えだ。―
























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