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時代錯誤 作者:pu-pa

第31回   第四部 第四話
部屋の片づけを終えたオレが、縁側に出ると。

…すでに西の空には僅かに朱が残る程度で、東の空に至っては、紫色の闇が都を包み込んでいた。

少し時間がかかりすぎたな、と、とりとめも無く考えていると、庭で洗濯物を取り込む薫と、目が合う。

「…真さん、肩。」

唐突に、薫はそのような感じの端的な言葉を言いつつ、己の肩を人差し指で示して見せた。

ほぼ、つられるような感じで、オレも肩に手をやる。

…すると、掌に何やらフワフワした感覚が伝わった。

そのフワフワを指でつまむ。

…小さな、綿ぼこり。

おそらく部屋の隅に積もっていたのであろうモノが、掃除の時に付着したのだ。

「…ね?」

ニッコリと微笑み、自慢げな顔を浮かべる薫。

たかが綿ぼこりを見つけた程度で、何とも嬉しそうな表情を浮かべるものだ。

「…あぁ。アリガトウ。」

「…ん。」

洗濯物をパンパンと足にうちつけつつ、薫はオレの礼に対し、再度微笑む。

…しかし。

薫はまたいつもの表情に戻り、これまた突然、不思議そうな顔をした。

「何だ。まだ何かついてるか?」

「…いや。何なんでしょう…。」

洗濯物を片手につかんだまま、アゴに人差し指をのせ、思案するような表情を浮かべる。

「…真さん、何か、悩み事とか、ありませんか?」

これまた突然言い出す薫。

…何だ、オレの表情とは、そこまで読みやすいものなのだろうか。

「…ねぇよ。」

少し乱暴な口調になってしまうのは、仕方あるまい。

オレは依然、不思議そうな顔でオレを見続ける薫を無視し、部屋の中へ戻った…。

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