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時代錯誤 作者:pu-pa

第24回   第三部 第四話
―己の体だが、己の体ではない。

そう、まるで己の体の中から、己を見る、そんな感覚。

今のオレは、単なる傍観者に過ぎなかった。

「…っがぁあ!!」

「…っ。」

目の前の蒼髪に、思い切り体当たりをかます。

…両腕を交差させて防いだ奴だが、その体はいとも簡単に、反対側の壁まで吹き飛んだ。

「…っがぁぁぁぁ!!」

一気に距離を詰め、折れていたはずの右手で、奴を殴りつける。

完治していたのだ。―はっきりとした理屈はわからないが。

「…っ。」

羅生門の、頑丈な樫の壁が、軋みを上げる。

…続いて、左。右。左。右。交互に繰り出す拳打。

蒼髪の奴の息を吐くような声も、だんだんと荒立てられてきている。

効いている、のか。

―その瞬間、一瞬前までは圧倒的な恐怖でしかなかった奴に、僅かな勝機を見つけた。

しかし。

「……。」

唐突に、交差された腕の影から、奴の口元が見えた。

…微笑んでいた。僅かにだが、口の端を吊り上げて。

「………ぁ」

気づけば、先ほどの位置、清明の隣まで、後退している。

―反対側の壁際にいる奴は、ゆっくりと交差している腕を解いた。

…額から、僅かな血を流す奴。気のせいではなく、微笑んでいた。

「…かわせよ?」

唐突にかけられた、言葉。

―しかしオレは、その端的で意味不明な言葉の中に、しっかりとした意味を見つけていた。

…まるで、昔ながらの親友であるかのように。

「…っ!!」

清明を小脇にかかえ、物見窓から飛び出す。

…次の瞬間。

羅生門は、大地を揺るがすほどの轟音と共に、跡形も無く、消し飛んだ。

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Novel Editor by BS CGI Rental
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