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時代錯誤 作者:pu-pa

第2回   第一部 第一話
―まぶたが熱い。

それに気づいた瞬間が、つまりは、オレがその日、目覚めた時間。

立ち上がるにも体がダルイ。本当はもう一眠りしたいが…。

―強い日差しを警戒して、ゆっくりと目を開く。

案の定、窓から差し込む光が、ジリジリと、オレの顔面に降り注いでいた。

となると、時刻はおそらく、牛の刻(午前11〜午後1時)。

―二度寝するには少々遅すぎる時間帯だろう。

オレは名残惜しい布団の温もりを離れ、とりあえず表に出るコトにした。

朝露などはとうに乾き、畑仕事にせいを出す農民たち、騒々しく鳴く蝉に、走り回る子供たち。

―まぁ、いいや。見慣れた風景。今更眺めるほどのモノでも無い。

家の裏にある井戸から桶で水を汲み、顔を洗っていると、気づく。

―鼻腔の奥にのこる、強い、血の匂い。

「仕事」のあった日からしばらくは、この匂いに悩まされるコトになる。

―遠い記憶だが、新米の頃は、これのせいで飯もろくに食えなくなったモノだ。

しかし、今はこの匂いにも慣れ、時には気分を高めるために、あえて意識するコトさえある。

―まぁ、これ以上語るとダレも寄らなくなるので、、一まず置いておくことにしよう。

話は変わるが、実は、最近のオレには、ひそかな拠り所がある。

―仕事の関係で出会い、それ以来意気投合した奴の家。

今日みたいに仕事が空いた日は、度々寄るコトにしている。

そいつの家は広く、そいつの身分も、それなりに高い。

―本当は、オレみたいな一般市民が立ち入っていいはずの所ではないはず。

しかし、そいつは、そういうコトを、気にも留めていないようだ。

―名を、安倍晴明、という。


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