不吉な声を聞いた後、アルクはアイリシアの城下町に居た。 左大臣と右大臣から貰った幾分かの金貨と、騎士団に配属されたものなら当たり前の装飾と武器を揃えアルクは少し途方に暮れていた。 「・・・・いざ出るとなると困ったなぁ・・・・食料や薬品を幾分か買うのはいいとして・・・・どの大陸に向かうべきか・・・・」 大臣から渡された世界地図を手にしてアルクは考え込んでいた。地図にはこう書いてある。 いくつかの大陸は人の行き来も多く、大陸としてはまだ行きやすそうである。 花と風と草の大陸〜A flower wind grass continent〜 時の大陸〜time continent〜 聖なる天の大陸〜holy sacred saint air continent〜 しかし、残りの大陸はあまり良いイメージがつくことはないようである。 不死の大陸〜retribution pay for death continent〜 魔王の大陸〜The Devil continent〜 不毛と死の大陸〜Barren death continent〜 そしてその他小さな島のような場所が沢山、中には大陸並に大きいが名前が特に書かれてないのもある。 そして一つがよくわからない。いや、大陸かどうかもわからない。雲のような白い部分に、ぽつりと書いてある。 Unknown continent・・・・・・ 「Unknown continent?不明大陸?」 アルクはさらに首を傾げた。大陸は7つあると言っていた。つまりこの不明大陸もその一つということであろう。そして、どの大陸から行くか、しかしそのうち半分以上は友好的にことは進みそうに無い。アルクはまず最初に7つの大陸のうち何処に進むべきかを考えていた。しかし途中で彼はぽつりと言葉を漏らした。 「・・・・まずは食料と治療薬となる薬の調達が先・・・・・かな。」 そういうとアルクはまず食料となるものを探しに街の商店街の方に向かっていった。 街は賑やかである。人々が楽しくおしゃべりをし、今晩のご飯を何にするか〜、などと他愛も無い話をしている。アルクはそこで保存用の干し肉を十数枚、そしてこの世界特有の保存用の食べ物、リィナの実を大量に購入した。そして次は薬である。 アルケミストリートなるこの街最大の薬を取り扱う通りに向かおうとしていたときのことである。食料の買い物を済ませ、さぁ次は薬に向かおうとしていたときのことである。 「・・・・んで今晩のオカズは何にしてほしいのさ?ダブリス??」 「んー・・・・ポクリスンのショウユ漬けでいい?」 「はぁ!?またぁぁ!?」 「・・・・いいじゃん・・・・俺好きなんだし。」 「まったく・・・・しょうがないねぇ・・・・あ、おじさーんポクリスンのショウユ漬け、200gくださいなー。」 「へい!まいどっ!!!!!」 「ほら、お金はあんたが払うの!」 「エエエエエええええええええええええええええええええええええ!?!?!?」 「・・・・ほら、早く。お惣菜屋さん待ってるよ。」 「・・・・・・・・・はぃ・・・・・」 そういうとダブリスと呼ばれた男は1,2枚程度の金貨と銀貨を彼の財布から取り出した。 「へぃ!まいど!!これからも惣菜屋仙ちゃんをよろしく!!!」 「さて次の買い物行くよー」 「・・・はいはい・・・・」 「何か文句でも?」 「!!!!い、いえ!!ありませんです!!はい!!!」 「うん。素直でよろしい。」 そう言った後ダブリスと呼ばれた男とその妻のような人は別の店に向かっていった。 「・・・・・大変だなぁ・・・・あの人も。」 そしてアルクはアルケミストリートに向かって行った。 アルケミストリート、王が出した一種の競争なのだろう、この国では一番多く売り上げを上げたアルケミスト(この世界では一般薬剤師と呼ぶ)には、報酬金が出される決まりとなっており、そのためこの通りはいつも客の取り合いをしていた。 「さぁ!こっちのレッドポーションは安いよ!!」 「こちらで取り扱いのポーション類タイムサービス中でーす!!!!」 大量のアルケミスト達が客の取り合いをしている。アルクも何度か客引きに連れて行かれそうになったが、何とか振り切り、さて何処の薬がいいものかとうろついてるとストリートの調度中間の辺りに客引きもしていなく、店の大きさも実際は他の店よりあまり大きくはなく、こざっぱりとした中々良さそうな店を見つけた。アルクは直感的な何かを感じて、その小さなアルケミストの店に入ることにした。 「いらっしゃい。シェイド屋へようこそ。」 中には様々なポーションが置いてあり、それに価格も大して高くはない。隠れた名店、とでも言うのだろうか。 「ここのポーションはそこそこ安いのに、何であまり売れないのでしょうかね?」 アルクは何気なくその店主―恐らくシェイドと言うのだろう―に聞いてみた。 「まぁ、大半の客は最初の通りで引き抜かれるからな。どっちかと言うとこのストリートの真ん中には人は大半こないってわけさ。それに俺はいつもここには居ないしな。」 「それはつまり、行商でもしてるってことですか?」 「ご名答。俺は様々な大陸を渡り歩いて薬を売ってるだけさ。ここに居ることだって稀だしな。」 「なるほど、ではそこにある徳用ポーションを2セット程度もらえませんかね?」 「毎度〜」 そしてシェイドという男がポーションを袋に詰めている間、アルクは大陸のことを聞いてみた 「ははん、なるほど。まぁ理由はなんでもいいが、とりあえず外の大陸に行く、あまり俺も行商は花と草と風の大陸と聖なる天の大陸を少しくらいしか渡り歩いてないしな。それにその他の5つの大陸はあまり行く気がしない。」 そして徳用ポーション二袋を手渡された。 「そうですか・・・・ありがとうございました。またどこかの大陸で会えればいいですね。」 「俺は適当に行商をしてるから出会ったときはシェイド屋をよろしく。」 「では。」 そういうとアルクはシェイド屋を出て、アルケミストリートを抜けて、港の方に向かって行った。 そしてアルクは港でまた頭を悩ませた。行く先が決まらないのだ。 「うーむ・・・・できれば花と草と風の大陸と言った大陸に行くのがいいのだろう、しかし他の騎士団の面々も恐らくそっち方面に向かっていっただろうし・・・・うーん・・・」 アルクが悩んでいると調度話にあった花と草と風の大陸から戻ってきた船から行商や旅人が下りてきた。 「次の出向は30分後でーす。ご乗船のお客様は遅れないように着てくださいー!」 「30分・・・か。それまで何処に行くか考えないと。」 そうしてまた頭を悩ませると一人の男が近づいてきた。 「お兄さんは騎士団の人ですね?あっしはハッシュと申します。」 「???何の用だ?」 「いやぁ、お宅も他の騎士の方々と同じくあの船に乗るのでしょう?」 「・・・・・・・」 アルクは黙っている。しかしハッシュという男の話は続いている 「あっしは旅行を趣味として、それを生きがいとしている者でっさ。オススメしやすが、できれば最初に花と草と風の大陸に行ったほうがいいでしょう。誓って言いますねぇ、あっしなら。」 アルクはふいに聞いた。 「何でだ?」 「あっしは様々なところまで見てるんですが、あの大陸は外交部分は健在で一番行き来し易い場所でさぁ。けどな、それがいかんのですよ。エルフ族の部落の奥地まで行ってみなされ。おっそろしい光景が見れるじゃって。あっしの口からは言えませんって・・・・。」 「・・・・そうか。それほどあの大陸の内面は恐ろしいことになってるのか?」 「そりゃそうでっせ。あの大陸には暴走したエルフが居たりするんでっせよ?あの大陸は安全な危険ですっぜ。矛盾してると思いますか?そうですとも。あの大陸は外の部分は明るく、中の部分は醜悪そのものでっせ。お兄さん、もう一度だけ言っときましょ。あの船に乗って花と草と風の大陸に行ってみなされ、恐らくですが騎士の大半は諦めがついてもう船に乗ろうか考えているところでっしゃろ。」 「そうか・・・・ありがとう。ええと・・・・・」 「ハッシュ、ハッシュ=ベリアズでっさ。へっへっへ!!!あっしは色んな大陸を見て回りますからまたいつか会えるかもしれませんって・・・・じゃあ、頑張りなさいな。」 そういうとハッシュは城下町の方に向かって行った。そしてアルクは決断を出した。 「・・・・・花と草と風の大陸に向かおう!そして一つ目の封印を探してみよう!」 そういうとアルクは出向時間が近づいてきた花と草と風の大陸に向かう船に向かって歩き出していった。しかし、不意にまたあの変な声が聞こえた気がする。 「それでいい・・・・」 アルクは振り向く。しかしそこには漁師と船乗りしか居ない。 「また空耳・・・・かなぁ。」 アルクは首をかしげた。 「お客さん・・・・おっと騎士団兵様、お乗りになられますか?」 「ん?ああ・・・すまない。乗らせてもらいます。」 「どうぞこちらへ・・・・・まもなく出向します。」 そしてアルクが船に乗ってから数分後に、船は出港した。 花と草と風の大陸に向かって・・・・・・・
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