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ショートストーリー 作者:暗中茂作

第29回   ナンシーさん山田さん
僕は山田太郎。 読んでとおりの日本人です。僕の友人にはナンシーさんという人がいます。アメリカから来て日本で僕と知りあい友人になりました。僕は趣味で小説をかいているのですが今度書く小説のタイトルを考えています。内容は大人の男女の甘くほろ苦く儚い(はかない)恋愛物を書きたいと思っています。それで英語一文字でなんかかかっこいいタイトルはないかと考えました。そこで、ナンシーさんに相談してみることにしました。

「ナンシー、こんにちは」

「こんにちは、山田さん。今日はどうしましたか?」

「うん、ちょっと頼みたいことがあって」

「そうですか、まかせてください。ナンシー、力になります」

「ありがとう、今ちょっと小説書こうと思ってそのタイトル考えてるんだけど」

「おー、小説、novelですね。どな話書こうと思ってるんですか」

「甘くてほろ苦くて儚いそんな話が書きたいんだけど」

「あまくてほろにがくてはかいない?ナンシーちょっとわからないです」

「うーん、なんていうか大人向けの話が書きたいんだ」

「大人向けですか、ナンシーそれならわかります」

「ほんと、英語で一言で言うとなんていうの?」

「アダルトです」

「…」

僕が新しく描く予定だった小説はこの世に生を受けることなく消えていきました。

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Novel Editor