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ショートストーリー 作者:暗中茂作

第10回   柏原葵の受難3
「ねえ、ねえ、葵ちゃんボクのこと嫌いになったの?」

「どうしたの急に?そんなことないよ」

「ほんとに?最近なんとなく態度が冷たいんだもん」

「気のせいでしょ」

「昔は一緒にいっぱいお話したりしたのに、このごろほとんど口も聞いてくれないじゃない」

「…」

「なんか僕に隠してることでもあるの?それともなにか悩み事とか」

「なんにもないよ。心配しないで」

「そ−お、ならいいんだけど。じゃあ、仲直りのしるしに一緒にお風呂に入ろうよ」

「…あのね、いいかげんにしてよ誉(ほまれ)ちゃん」

「ちゃんづけで呼ばないでよ、子供みたいじゃない」

「見た目も中身も子供でしょう」

「そんなことないもん!葵ちゃんのバカ」

「バカって…、いい誉ちゃん、私も年頃の思春期の女の子なの。誉ちゃんにはわからないかもしれないけど色々あるの」

「やっぱりなにかあるんじゃない。秘密にしないでボクにも教えてよ」

「…言ったらちゃんと分ってくれるの?」

「わかるもん。子供じゃないもん。それからボクの事ちゃんづけじゃなくてちゃんと呼んでよ」

「じゃあ、言うけどね。いいきちんと聞いてよ」

「うん♪」

「年頃で思春期な女の子はね」

「うん」

「少し距離を置いた態度をとるものなの。仲良く一緒にお風呂に入ったりはしないの。分った?お、と、う、さ、ん」

「えー、そんなのやだー。二人で楽しくお話して一緒にお風呂はいろうよー」

「あーもうやっぱりぜんぜん分ってくれないじゃん。一人でお風呂入って寝るからもうついて来ないでよ」

「えーん、葵ちゃん待ってよー。おこんないでよー」

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