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ショートストーリー2 作者:暗中茂作

第37回   A timely topic is spoken.
あの場所は本来、誰でも気楽に訪れて楽しくわいわいやるそんな場所だった。

しかし、あの訳の分からない汚染のせいでひとり、またひとりとその場所に訪れる人が少なくなりついには誰も訪れなくなり閉鎖されてしまった。

自分はそれが本当にはらただしかった。

閉鎖される以前、それに対して抵抗しようとしたが多勢に無勢といったかんじで圧倒的な数の前にあきらめた。

うわさで聞いたのだが汚染に深く関わりすぎてひどい目にあった奴もいると聞く。

なので今はなかばあきらめ、触らぬ神にたたりなし、はれものには触れないのも一つの処世術だと言い聞かせ我慢している。

そして最近は閉鎖されてしまった場所ではなく別の場所で仲間と語り合ったりしている。

その場所の本来の目的とは多少ずれるのだが、他に仕様がないでのなかば公認されているといった感じだ。

その場所をのシステムを作った人間もまさかそんな理由からそのシステムが使われるとは思わなかっただろう。

そんなわけで今日もその場所に俺は訪れた。

すると俺はすぐに常連の足跡をみつけた。

俺はそいつに語りかけた。

「こんにちは」

まずは挨拶からだ。

これはどこに言っても守らなければならない基本的な礼儀だ。

「根川さん、お元気でしたか」

俺は話を続ける。

「例の汚染であっちが閉鎖になってから一ヶ月ぐらいですかね。もうこの場所で話すのもだいぶ慣れましたね」

俺は自分で言った言葉に改めて悔しさを覚えた。

「ここは本来絵を書くための場所なんですよね。よかったらこんど根川さんの描いた絵を見せてくださいよ」

そうなのだ、本当はここは絵を書くための場所で今の様な利用の仕方は2次的なものなのだ。

「それにしても腹が立ちますねあの汚染には」

しょうがないと思っててもつい言葉が口から漏れる。

「あの英語のアドレスの羅列の荒らしやアダルトサイトへの誘導。国も関係なしにそれが読めるかどうかってのも気にしてない感じですよね。なんか無作為にコメントを送りつけるシステ

ムのようなものがあるんでしょうね。さいわい、このお絵かき掲示板にはスレッドをたてる時絵を書かなくちゃならないからか英語の書き込みないんで避難所のように使ってますけど」

俺は一気に長文を書き上げた。

「それにしても早く元の掲示板復帰できるといいですね。すごく使い勝手のいい掲示板でしたからね。本当に残念でなりません。あの掲示板があってこそこのサイト、A timely topic is spoken、『タイムリーな話題について話そう』の本来の姿ですからね」

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Novel Editor by BS CGI Rental
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