「別に構いませんけど・・・・・・」 「わぁ、やったぁ・・・・・・」 蓮奈さんはニッコリと微笑むと、スケッチブックを閉じた。 そして、僕の耳元に顔を近づけ、 「じゃ、これもらっていきますね。芹人様」 と小さく囁いた。 「はあ・・・・・・」 「おいおい、いいのかよ」 「まあ、別に大した絵じゃないし・・・・・・」 「ふふ、ありがと。速水君」 「それじゃあ、先生、私はこれで失礼します」 「はい、ありがとうございました。とても助かりましたよ」 「私は座っていただけですから」 「そんな。お時間とらせちゃって、どうもすみませんでした」 「いえいえ。では、失礼します」 蓮奈さんは軽く会釈をすると、僕のスッケチブックを抱えたまま教室を出て行ってしまった。 ――キーンコーンカーンコーン 「えー、それでは皆さん、先ほどの、スケッチブックを提出してください。採点してお返しします」 「あ・・・・・・」 「バーカ、当たり前だろ?」 「わかってたなら言ってくれよ・・・・・・」 「知るか」 「ん?どうしたんですか、速水君」 「いやぁ、ははは・・・・・・。何でもないです」 その後、先生に怒られたのは言うまでもない
|
|