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プッチのクリスマス 作者:真珠 まろん

第6回   プッチのクリスマス6☆ケンタの役目
プッチはサーカスの当日まで この体育館で過ごすことにしました。
おじいさんは 小さなストーブを用意してくれました。
プッチはいつも公園で暮らしているので 寒いのは大丈夫だけど
やぱっり ストーブは ほんわか暖かくって幸せでした。
「お嬢ちゃん、今日はゆっくりおやすみ。また明日の朝来るからね。」
そう言うと そっと扉を閉めました。
『つーか・・・ケンタっいつまでここにいるのよっ?早く帰りなさいよっ』
ケンタは ストーブの前に座っていました。
「知らない場所で一人ぼっちは寂しいだろ?
それに もし野良犬がプッチにケガをさせたら大変だっ!俺は用心棒だっ」
自分も野良犬なのを棚に上げて どうやらプッチと体育館に残るつもりのようです。
『そんな心配はご無用よっ。まぁ別にいいけど・・・好きにしたら。
ふぁぁ〜〜おやすみ〜。ぐぅすかぴぃ・・・』
プッチはすぐに眠ってしまいました。
ケンタもプッチの横で すぐに眠ってしまいました。

次の日 また早朝におじいさんはやってきました。
プッチはもう起きていました。
『おじいさん おはようっ。なんだか早く目が覚めちゃったよ。』
「お嬢ちゃん おはよう。はい ご飯だよ。ん?彼氏はまだ寝ているのかね?」
ケンタを彼氏と言われ プッチは大きく首を振って否定しました。
おじいさんは ケンタの横に ご飯をそっと置きました。
『おじいさん 玉乗りしようよっ』
そう言うと プッチは 朝ごはんのサンドウィッチを半分残して
ピンクの玉を 鼻でコロコロと押してきました。
「ふぉふぉふぉっ そんなにあわてなくても ご飯を食べてからでも 
時間はたくさんある・・・のじゃ・・ょ・・・」
おじいさんは びっくりしました。
プッチは上手に玉に乗っていたのです。
それだけではなく 前へ進んだり後ろへ下がったり
体育館の中をグルグル回っていたのです。
「ほぉ〜たいしたもんじゃ。いつの間に。」
実は 早起きしたプッチは一人で練習していたのです。
乗れたのが嬉しくて おじいさんが早く来ないかと わくわくして待っていたのでした。
『もっとすごいのがあるんだ〜。せぇのっっ!』
プッチは玉の上で逆立ちもできました。
おじいさんは プッチのがんばりに感心しました。
「お嬢ちゃん すごいのぉ。この調子なら 他のもあっという間にできるようになるぞっ」
そう言って プッチの頭をなでました。
午前中は 投げ輪キャッチ・ボール投げ・平均台をマスターしました。
『ふぅ〜疲れた〜〜。ハラペコリンコだよ・・・』
おじいさんは ご飯と一緒に デザートも用意してくれました。
『うわ〜〜やった〜プリンだ〜〜!ケンタも食べようよっ・・・・ん?』
ケンタはまだ寝ていました。
『ケーーンーーターーーっ。こんなお寝坊には〜〜〜・・・ぐふふふっえいっ』
「うげっっあいたたたーっ!まいったまいったっっっ!」
プッチはケンタに四の地固めをしました。
『まったくぅ いつまで寝てんのよっっ。お昼ごはんだよ。
朝ごはんも 残さずに食べちゃいなさいよっ』
プッチは ケンタの頭をペシッとたたきました。

たくさんの技をマスターしたプッチは サーカスの大技2つを残すだけになりました。火の輪くぐり≠ニ空中ブランコ≠フ練習です。
でもプッチは ちょっぴり浮かない顔をしています。
『おじいさん。火の輪くぐりって・・・火の輪っかをくぐるんだよね?』
おじいさんは プッチがどうしてそんなことを聞くのかわかりませんでした。
「そうじゃが・・・それがどうしたのかね?
ふぉふぉふぉっ 大丈夫じゃよ。お嬢ちゃんならす〜ぐできるじゃろ」
プッチは 考えていました。
『おじいさん・・・火の輪くぐりは 絶対しなくちゃだめ?』
おじいさんは プッチの目をじっと見て言いました。
「怖いのかい?」
プッチは モジモジして言いました。
『うぅん・・・怖くはないんだけどぉ・・・火がねぇ・・・毛に燃え移ったら・・・
茶色になっちゃうから・・・』
プッチは真っ白のふわふわの毛並みがお気に入りでした。
そのお気に入りの真っ白の毛が 焦げて茶色になるのが いやでした。
「困ったのぉ・・・。うむ・・・お嬢ちゃんが どうしてもいやなら
これは やめにしようかのぉ・・・。」
おじいさんが そう言いながら 火の輪くぐりのセットをしまおうとした時
プッチにいい考えが浮かびました。
『おじいさんっ待ってっっ!』
そして にんまり笑って言いました。
『ケンタにやってもらおうよっ』
ケンタは突然の抜擢で くわえていたサンドウィッチをぽとっと落としました。・・・つづく






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Novel Editor