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ジョージとご一緒に 作者:真珠 まろん

第5回   D小さなギャング
電車に乗り込んだギャルは ジョージをしっかり持っている。
《・・・。ベイビー・・・そんなに強く握らなくても 
オイラはどこへも行きゃーしないさ・・・。》
ジョージは そう言うと ななめ前の座席へ目をやった。
ななめ前の席では 母親の横で男の子ががチョコレートを食べていた。
口の周り・手はチョコまみれだ。
隣に座っている母親のスカートもチョコが付いている。
《んっ!》
ジョージは男の子と目が合った。
《ぐっ・・目が合っちまった・・・。頼む・・・こっちには来るんじゃないぞ・・・》
ジョージはゆっくり目を逸らした。
だけど気になるジョージは チラッと男の子の方を見てみた。
まだ 男の子はジョージを見ている。
《・・・。見ている・・・。ベイビー・・・気をつけるんだ・・・。
チビッコギャングが オイラ達を狙っているぜ・・・。
いいかい?オイラが合図をしたら電車を降りるんだっ。》
そう言ってギャルにウインクをして見せた。
ギャルは携帯のメールで忙しそうだ。
《・・・見ちゃいないさ・・・。》
男の子は ジョージに興味があるのか 
手に持っているチョコレートをギュッと握り締めたまま
ジョージから目を離さないでいる。
《ぼうず・・・オイラは この世界ではちょっと名の知れた運び屋さ・・・。
オイラにはいろ〜んな知り合いがいるんだ。
別に脅しているんじゃないさ・・・忠告ってとこだ・・・。》
ジョージを黙って見ていた男の子が ニヤッと笑った。
ジョージは 嫌〜な予感がした。
《べ・ベイビー 用意はいいかい?
オイラが合図をしたら 電車を降りるんだっっっ》
ギャルは まだ メールで忙しかった。
《ベイビーっ メールは後にしなっっ》
ジョージが ギャルの肘を コツコツと叩いた。
次の瞬間 男の子がゆっくりと前の座席から ジョージの方へ向かってきた。
動く電車の中で ヨロケながら ゆっくりと一歩一歩 進んでいる。
《うぉーっ ベイビーっ そろそろ限界だっっ
1・2・3っ 今だっ》
ギャルは スクッと立ち上がった。
そして電車を降りた。
電車の窓越しに 男の子が見えた。
《ふっ・・・残念だったな・・・あばよ・・・》
ジョージは 男の子にウインクをして言った。
ギャルは急ぎ足で改札へ向かっている。
《ベイビー。タイミングはバッチリだったな・・・。
もうそんなに急がなくたって あいつは追ってこないさ・・・》
「待った〜?ごめ〜ん。」
ギャルは 改札口で待っていたギャル仲間に手を振った。・・・つづく




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Novel Editor by BS CGI Rental
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