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ジョージとご一緒に 作者:真珠 まろん

第4回   C陳列
男は 脇にしっかり ジョージを抱えている。
《うっ・・・苦しい・・・》
ジョージは 息苦しさで目が覚めた。
《ん?外・・か?おぉ〜ベイビーが オイラに気付いたんだなっ。
ベイビー・・・逢いたかったかい?・・・!!》
ジョージは 腕の隙間から チラッと見える顔が ギャルではないことに気付いた。
《おいっ!一体誰なんだ?勝手にオイラを連れ出しやがった・・・
ベイビーが 戻った時に オイラがいなかったら 悲しむぜ・・・》
男は 通り過ぎる人に 軽く会釈をしながら 改札口まで来た。
《お前誰だ?オイラをどうするつもりだ・・・》
「これ 忘れ物。登りの5番車両ね。」
そう言うと 男は 髪の長い女にジョージを手渡した。
「あら。かわいい袋ね。どこのショップかしら・・・」
女は ジョージをじっと見ている。
《・・・。ふっ・・・またオイラの虜かい?
だけど すまない・・・。オイラは 一匹狼さ・・・》
ジョージは 遠くを見て言った。
女は ジョージを背後にある棚にのせた。

・・・男は車掌で お荷物預かり係りの女に ジョージを預けただけだった・・・

《ここは・・・》
ジョージの周りには 傘・ジャンバー・鞄・帽子などが 一緒に並んでいる。
《殺風景な中古ショップだな・・・。・・・困った・・・。
オイラは売られるわけにはいかないのさ。。。
オイラにはベイビーの家まで このブツを届けるっていう 仕事が残ってるんだ・・・》
ジョージは お荷物預かり場所へ来るのは初めてだった。
リサイクルショップかなんかと 勘違いしているようだ。
目を閉じ どうやって ここから逃げ出すか考えていた。
《・・・。このままじゃーオイラは お買い上げだぜ・・・ん?》
ジョージから 空調が見えた。
《よしっ》
エアコンから吹き出した風に乗ろうと ジョージは 思いっきり 体を前へ倒した。
《くぅ・・・もうちょいだ・・・ヌォッ》
女が エアコンの風量を上げた。
その瞬間 ジョージは 床へ真っ逆さまに落ちた。
「あら・・・。落ちてるわ・・。」
呆気なく ジョージは また元の位置に戻された。
《・・・しまった・・・オイラとしたことが・・・服の重さを考えてなかったぜ・・・》
ジョージは 次の手を考えることにした。
《ん?》
下を見たジョージは 女の物だと思える大きめのバックが見えた。
《口は開いている・・・ひとまず あの中に身を隠し・・・
バックまでの距離は・・・50cmってとこだな・・・》
ジョージは スゥーッと 息を吸い 呼吸を整えた。
《・・・よしっ》
体をできるだけ後ろへ反らし 反動で前へ倒れる。
「あっ もうそんな時間?じゃー 休憩行ってきまぁすっ」
《ぬぉぉぉっ・・・》
あと10cmという所で 女は休憩のためバックを持って去ってしまった。
ジョージは また 床に真っ逆さまだ。
《・・・。》
ジョージは 床に横たわったままだった。
「・・・何?なんでこんなとこに置いてんの?」
交代できた別の女が また元の位置にジョージを戻した。
《・・・ここからの脱出は無理なのか?
・・・いやっ きっと何かいい案があるはずだ・・・》
ジョージは 諦めずに次の手を考えることにした。
すると内線が鳴った。
「えっ?ピンク色でハートの?えーっと・・・はいはい ありますよ。
はい お待ちしてますね。」
《ピンク・・・ハート・・・?オイラの特徴にピッタリだ・・・
とうとう買い手が付いちまった・・・ベイビーすまない・・・》
ジョージは新しい相棒=持ち主を待った。
「すみませ〜ん。あっそれそれっっ。すーっかり忘れちゃってぇ〜〜。アハハ〜」
《ん?この声は・・・》
ジョージは 聞き覚えのある声がする方を見た。
忘れ物に気付いたギャルが取りに来ていた。
《おぉ・・・ベイビー・・・やっぱりオイラのことが忘れられなかったんだな・・・》
ギャルは 係員にペコリとお辞儀をして ジョージを受け取った。
そして ギュッと胸にかかえた。
《ベイビー・・・淋しかったかい?》

・・・淋しかったのは ジョージだった・・・はず・・・  ・・・つづく



 







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Novel Editor by BS CGI Rental
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