《ベイビー・・・オイラと過ごした数時間はなんだったんだい?》 ジョージは ぼんやりと窓の外を眺めている。 『もしかして お前・・・ジョージじゃないか?』 向側の座席から声がした。 《ん?誰だ?オイラを知っているのか・・?》 向側の座席に 茶色のA4サイズの封筒が見える。 『おっ!やっぱりジョージだっ!久しぶりだなーっ』 茶色のA4封筒は 封をパタパタさせて言った。 《・・・。誰だ?》 ジョージは 思い出せない。 『ジョージっ。そんななりになっても ちっとも変わってないぜっ。』 まだ ジョージは誰なのか思い出せないでいた。 《・・・。悪いんだが・・・誰なんだ?何故 オイラの名前を知っている?》 A4サイズの封筒は ちょっとムッとして言った。 『なんだよぉ。忘れちまったのか?俺だよ俺っ。 3年くらい前だったかなぁ・・・。 俺達は 同じチームで薬を運んでたじゃないかっ。』 《・・・薬・・・!! お・お前っっ。もしかして ミッシェル・・か?》 A4封筒は コホンと 小さく咳払いしてみせた。 《うぉぉぉっ ミッシェルっ 元気だったかー??》
・・・3年前 ジョージとA4封筒改めミッシェルは 大学病院の内服薬のお持ち帰り袋だったのだ・・・
『あぁ元気さっ 見ての通りさっ!』 《だけど すっかり 真面目そうになったじゃないかっ。》 ミッシェルは 大手会社へ書類を運ぶ仕事についていた。 『まぁなっ。第一印象が大事な仕事だからなっ でも こんな所で逢えるなんて思ってなかったぜっ。 ところで・・・何してんだよ。相棒はいないのか?』 ミッシェルは 相棒=袋の持ち主を探した。 《あぁ・・・。さっき 電車を降りちまったぜ・・・。》 ジョージは 電車のドアをチラッと見て言った。 『な〜んだよ〜。置いてけぼりかっ。 俺もよくあるぜっ。今の仕事の相棒達は うっかりしてる奴が多くて参っちまうぜ。 この前なんか トイレのタンクの上で 2時間待ちさっ。』 ジョージは お気の毒にという顔をしてミッシェルを見た。 『それにしてもお前 随分 キュートになったなぁ。 一瞬 違う奴かと思ったけど お前のそのクールな感じは 変わっちゃいないぜ。』 ミッシェルは ジョージを見て言った。 《ふっ・・・何言ってんだ・・・。オイラはいつでもオイラさ・・・ な〜んにも 変わりゃーしないさっ》 しばらく ジョージとミッシェルは 思い出話で 盛り上がっていた。 『おっと。そろそろ行かないと・・・。ジョージ またなっ』 《おぅ。元気でなっ。あばよっ》 ミッシェルは 電車を降りた。 また一人になったジョージは 一眠りすることにした。 電車に揺られ すっかり眠っているジョージに 一人の男が近づいてきた。 「ん?なんだぁ?忘れ物か?」 男は ジョージを覗き込んでいる。 そして ジョージを電車の外へ持ち出した。・・・つづく
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