あー車検が近くなってきました。 愛しくてやまないハーレーダビットソンではありますが、まったく金のかかる相棒でございます。 昨日仕込みが早く終わったのでブラブラ街を歩いているとかっこいいエンジニアブーツを発見!んー値段が高い。しかーし買い物魂を抑えきれず買ってしまった。うれしくなって早速ハーレーにまたがるとフットボードとキックペダルの間にブーツの足先が入らない 以外と狭いんですね間って。あーまったくもってもったいない。バイク乗れんかったら意味ないやんけ。金ないのに バカ。 近頃はそんなニアピンの残念な話しが多くて絶賛営業中の日の出食堂の前で若い女の子が乗った自転車がハデに横転。慌てて「大丈夫?」と声を掛けると、どっかのキャバ嬢と思われる女の子はグリグリに酔っ払って倒れてる。 とりあえず自転車を起こして彼女を店の中へ「これ飲んで少し休んでいき」とウーロン茶をだすと「お兄さん、なんでそんな優しいの?」ってウルウルの目で見つめられて なんて可愛いんだろうかしら うっかり恋の予感。 しばらくして「帰ります」ってまた自転車にまたがろうとするので「あかんて 自転車押して帰れよ。またこけるで!」と荷台をつかんで止めると 「おっさん!うざいねん。手を放せ!ボケ」 ウッソー ヒドイ エッジ効いてるなーあんた ほんまロックな仕打ちやなー さすが水商売 業務上二重人格ですか どうも 最近の女の子はパンチ強烈やからまさにおっさんには理解不能でございます。 むかつくわーあまりに気が収まらないので、店を閉めて飲みにでると 行きつけの先斗町のバーに宿敵 林さんが座っている。この人がいるといつもあおりあいになるんやなー 案の定ショットグラスならべてショットガン対決はじまる。 「マーキーテキーラ3発遅いほうが先斗町全裸で走ろうや」 「はいー いきますか」ドーン! んーまたしてもニアピン最後の一杯が入りませぬ。 武士の二言はありませんが午前4時先斗町を三条から四条まで全力疾走 いくらグリグリでもやっていいことと悪い事ってあると思うんです。ボク 日本有数の観光地京都の雅の象徴先斗町でこんな遊びをするのもある意味贅沢といえば贅沢ですが 景観問題は古都の重要な課題ですのできをつけましょうね。 ボクもいい年ですのでそろそろ祇園あたりのクラブででも茶色いお酒をくゆらしながら飲んでみたいもんですな。 もちろん服は着ていきますよ。絶対脱げないヤツありませんか?
第17話 日の出コロッケ
これだけいろんなお話を書いたのに料理の話しなんかあまりしていないようで、あくまで食堂でございますのでここでご紹介させていただきます。 日の出食堂の名物は「日の出コロッケ」一個100円お肉屋さんのコロッケよりすこし大きくて甘さ控えめコショー多い目のこのコロッケはビールのあてに小腹がすいた時に行きつけのバーへのおみやげにコロッケ定食に当店ナンバーワンの売れ筋商品なんです。 独立するにあたり食堂という業態にこだわりたかったボクは、売りにする商品をコロッケにしようと最初から決めていました。手軽で食べやすいし、お土産にも歩きながらでも食えるコロッケは狙い通り人気商品になりました。しかーしそれは実は結果オーライでホントの狙いは寒い冬。夜の木屋町通りで客引きをしてる綺麗なお姉さんのかじかんだ手にボクのコロッケを握りしめてほしかったのです。 そのためにデザイナーにたのんでコロッケの包装紙を作ってもらいそこには日の出食堂のロゴと殺し文句をいれてもらいました。 「泣いたカラスがまた泣いた お日さんのぼればまたあした あしたいい事あるやんな」 「なんだか切ない味がする日の出のコロッケ」 んーお姉さんにこびた なんて夢の膨らみきったくさいコメント。やばいわー ホンマ つらい仕事に癒されたいレディースに「いい人」で売りたい下心 丸見えでございます きっと浮かれ街の夜に咲くお花畑のようなお店になると信じていたのに 現実はシビア 蓋を開ければ男そしてまた男。男性比率90パーセントのオラオラ食堂 イメージが確定した今では事業転換も出来るわけもなく。まことに残念ではありますが それでもなんとか食べていけてますのでありがたい事であります。 でもどこでまちがったんやろう?ポップでキュートな店になるはずだったんですけど 商売ってむずかしいです。店と女性はひとり歩きにきをつけて
飲食店のクーポン雑誌の営業の方が忙しい仕込みの時間に居座って、しきりにクーポン雑誌の効果実績を並べたててボクに掲載を進めるので 人のふんどしで大相撲木屋町場所を絶賛開催中のこの営業マンにボクはひとつの条件をだした。 「あーいいで!載せるわ でも条件あるねんけど」 「はい!ありがとうございます。マーキーさんのとこやからよそより安くしますわ」 「あのねー50パーセントアップで載せてほしいねん。この雑誌のクーポン持ってきたら50パーセントアップ それで行っといて ほな御願いします」 「いやーそれはちょっとー 割引クーポンでないと意味がないと思うんですけどー」 「あーそう。意味は大アリやで。それ分からんのに水商売に営業してんの自分。もうちょっと気の利いた返し出来ひんかなーホンマ」 「すみません。でもホンマに分かりません教えてくださいマーキーさん」 「ネタになる」 「あーそうですか」すごすごと帰っていきました。 不況が続いてて、この手の商売が必要な事も効果がある事も十分分かっていますが、誌面に掲載されている店同士の価格競争は見るに耐えられず、自分達の首をジワジワと締め付けてる状態でたいしたリスクも負わないのに一緒にがんばろう的な発言はご勘弁願いたい わずかな誌面の無料情報をインプットしてそれだけを頼りにお店周りしているお客様がたに耳よりな情報をば。損をしない自分にあった、いい店の選びのポイントは二つです。 オーナーがお店に立っている事。つきだし(お通し)が無いこ事。 確かに最近はおしゃれでセンスいい店が増えましたけれどボクなんかは、こちら側の人間として見れば玄関に「金」か見えてしまう。 めしやの玄関には「めしや」の看板 飲みやの玄関には「酒」の看板 キャラ店なら 「人」の看板 その見えない看板を見つけられたら、僕たちが伝えられたらクーポン雑誌なんかこの木屋町にいらないのに。 そうそう 引っ掛け問題ございます。キャバクラの玄関にある見えない看板の「愛」の文字は、あなたを愛するんじゃなくて金を愛していますからお間違いなく。きをつけて。
第18話 「並走」 たくさんの人とツーリングに出かけますけど、なんの気を使わずいつまでも並走出来るのは植村さんしかいない。ちょっとさびしいですけど。 僕は自分から見ても社交的だし好きな友達も多いけれど、よぉおーいドンでハーレーにまたがり走りだして信号待ちで横並びになるとなんとなく気を使ってしまって、話かけたりポーズを取っ取ってみたりで、そんな自分に疲れてしまうのでなるべく独立したポジションを 選択してしまいます。先頭とか最後尾とか
まだ勤めている時にビールメーカー主催の店長会が開かれた 50人余りの他店の同じ立場の人間が集まり講習や飲み会が定期的に開かれていて自分が勤めている会社と自分を同業者側から引き上げる絶好のチャンスだと思っていたので絶対一番になってやろうとキャラ全開で積極的に顔合わせして 講習時も講師に笑いの突っ込みをふんだんにちりばめて 得意の飲み会ではドンチャン騒ぎを主導した。 その頃の僕は自分が勤める会社の番頭格まで上り詰めており頭打ちでつまらない毎日が続いている状態で、この店長会はまた競争社会で勝負できる格好の遊び場だったから意気込みは相当なもので他の店長連中は、がんばってついて来るものあり 引くものありだんだんと暗黙の序列が出来ていく中 僕と同じ事を考えている人が一人だけいた。 それが植村さんだった。 結局この多国籍軍は僕と植村さん主導のもと動きだして、のちのち僕が独立するにあたって必要な人脈と知恵と勇気をくれた大事な集まりになりました。
そして今でもツーリングという形で二人は同じように並走している。 植村さんがハーレーを買ったときすぐ僕もハーレーを買った。気に入ったバイクに乗っていたから別に買わなくてもよかったんでしょうけど、やっぱりハーレーで一緒に走りたかったから。 僕が独立を打ち明けたとき、自分もすると聞かなかった。立場上延期になったけれどきっと遠くない時期にその時は来ると思います。 そしたら北海道いこうぜ!って約束してる。 もちろん日の出食堂の大事な常連客でいてくれているけど、僕が酔っ払って裸で寝てるときも 女客に絡んでるときもとても心配してくれているのです そんな僕の営業を見ながら彼は自分のお店のビジョンを完成させていくんだと思うんですけど、勉強代にしては少々お高い迷惑をこうむっているはず。 反面教師ではありますが、ゆくゆくあなたのお役に立ちたい気持ちでいっぱいでございます
人は人に勝ちたがるし一番にもなりたがるけれど、実はそこよりも、もっと心地よい場所があります。 「並走」それは勝るとも劣らない、いやいやそんな事なんかどうでもいい 一緒に横並びに走る楽しさ。 このポジションにいるとなぜか口元だけ小さく笑ってしまいます。 バイクも仕事も恋愛もこの場所が最高だと思っているのです。
買い物で街を流している途中に猫を引いてしまった。 かわいそうに飼い猫だったらどうしようかと思いながら家に帰りました。 別に引こうと思って引いたわけでもないし、急に飛び出してきたから仕方ないのだけれど 後味が悪いもんだ。 落ち込んで風呂に入ってビールを飲みながらボーとテレビを見ていると昔の事を思い出しました。
高校生の頃バイク通学だった僕は夜遅く家に帰る途中ヘッドライトに結構デカイもんが当たった。 何が当たったんやろって戻ってみると、それはムササビ ずっと鹿児島の田舎育ちの僕もムササビを見るのは初めてでしたが小さくゴソゴソするだけで重症の様子。しかしなんて可愛いんだろう。目が大きくて そのつぶらな瞳で見つめられたら急に罪悪感がかけめぐりムササビをスポーツバックにつっこんで晴男の家に行くことにした。 晴男の家は畜産農家で牛を何十頭と飼育していたから親父なら治せるかもしれないと早速親父に見てもらった。 砂糖水を舐めさせながら「大丈夫やろう元気になるわ」と言ったので一安心 預かってもらってその日は帰った。 次の日曜日そろそろ元気になったかもしれないと晴男の家に。 牛のエサやりをしている晴男の親父に「ムササビは?」と聞くと返事もしないでモクモクと牛にエサをやっている。その後ろに引っ付きながらしつこく何度も尋ねた。 「ちょっとムササビは?元気になったん?」すると親父はウザそうに半ギレでひとこと。 「食った」 えぇー!食ったって食べたって事ですかあんた 信じられへん うそー! 元気になるって言ったやんけくそじじい と言う事はあんたは元気に回復に向かう、いたいけなつぶらな瞳のムササビを〆て食ったって事ですか?人でなし! まったく調理師になった今でもムササビ料理なんか調理法分かりませんし お前は三ツ星レストランの物知り調理長か?広東料理のカリスマコックか?まったくヒドイ ひど過ぎる。 友達の親父とて信用できないそんな時代に産まれたんだと再確認した大変貴重な体験でした。 田舎に行かれることがありましたら食いしん坊なおじさんには飼っている動物を預けないでくださいな。究極の美食家や腹が減ったらガマンできないおじさんが料理の腕を振るう可能性 アリます!気をつけて!
第19話 いじめないでね 京都は大学が多くて週末ともなるとサークルの集まりやコンパなどでたくさんの学生がこの木屋町にやってくる。 僕達が飲み方を知っているわけでもないけれど、学生の飲み方はあまりにも無知で急アルを運ぶ救急車も連日ピーポーピーポー担架がガラガラ音を立ててバカ学生を乗せて走り去る。 暴徒と化した学生が店の看板や自動販売機を奇声をあげてボコボコにしていく。 若さ爆発ケンカもここでは案外日常で人だかりの中で警察が割って入るまで殴りあってる
ある日 日の出食堂の表に出してあるイスを一人の若いヤツが投げ飛ばした あわてて外にでて呼びとめると怒鳴り声と共に一発なぐられた。 「イッタァー!」カッとなりそうな瞬間あたりを見まわすと15人程の若き戦士達が僕を睨みつけていてモデル体系が売りの軟弱極まりない僕は危機一髪。どうしたもんかと考えた 後ろポケットにいつも入れてる鍋つかみ用のヤットコ(ペンチみたいなやつなんですけど) で一番元気のいい坊主の額めがけて振り下ろした。すると見る見る間に流血。その様子を見た周りの連中ひるんでしまい逃げ出した。 しょうがないですよ。店は自分で守らないと。通り掛かりの酔っ払いは逃げればどこの誰かなんて分からないけれど、僕は毎日ココで仕事してるし、そこには何がなんでも例え捕まったとしても引けない理由があるんです。 しばらくすると警察が来てさっきの若いやつらがアイツだと指を刺している。 あのなー意味わからんわ お前らみんな法学部か? おかんに言いつけてんのと同じ感覚か? 世間しらずのボンボンがアホな酒の飲み方して暴れて最後は警察ってどこまでアホなんやろう お前らの大学いって夜の遊び方講義したろか ホンマ 警察が来たとたんなぐられたヤツがすこぶる元気で「お前!金全部むしりとったるぞ!訴えたる!かかってこい!コラー!」 はいはいバカ満開 この辺の警官の方は酔っ払いの取り扱いはおてのもの。一人の警官が僕に話しかける。 「分かってるけど物で殴ったらあかんでマスター」 ちょっと待ってください警官殿 このビール腹付きモデル体系の僕が、15人余りの若き戦士を相手に素手ならオッケーってアクション映画じゃあるまいし、僕としてはバズーカ砲の携帯許可でもほしいぐらいなんですけど。 こんないざこざが木屋町では日常で繰る広げられているのです。 ざっと計算しても売上から危険手当てがでる気配は今のところありませんので 酔っ払いのお兄さんも警察官の方々も、もう少しやさしくしてください。いじめないでね
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