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実験投機的絵本物語 作者:フォン=マンハイム

第3回   盗賊
暗い暗い森のみちをお化け騎士の少年が かなしそうに歩いていました。
お化け騎士の少年は お化けなのに ほかのお化けは怖いのです。
だからビクビクとして ふくろう 野鼠が動いて木々をゆらすたびに涙目になっているのです。

そんなビクビクしているなか 男の人の大きな声が聞こえてきました。
そして大急ぎでお化け騎士の少年は 声のした方にいくと

鎧をきた男の人が二人と一つの馬車。そして その周りに多くの男の人たちが手斧やナイフや色々と怖そうなものを持って立っていました。

お化け騎士の少年は喜びました。
馬車を囲んでいる人たちは 悪い悪い山賊の人たちなのでしょう。神様への願いのためには良い事をしなければなりません。そして 悪い悪い山賊たちをおいはらうのも良い事なのです。

そして お化け騎士の少年は槍をもって 山賊たちをおいはらいにかかりました。
山賊たちを殺さないように気をつけながら 一人また一人と山賊たちをやっつけていきました。
山賊たちの半分近くをやっつけたら あとの半分は これはかなわないといって逃げていきました。

二人の男たちは
自分たちは騎士で 馬車には この国のお姫さまがのっているのです。そしてお姫さまはとなりの国の王子さまのところへ お嫁さまとしていくところだと言いました。そして お化け騎士の少年のつよさをみこんで 暗い暗い森をぬけて となりの国までのいくあいだのごえいをたのみました。

暗い暗い森を馬車とお化け騎士の少年は 風のようなはやさですすんでいきました。
このさきの ガケをこえれば となりの国へのせきしょがあります。
しかし ガケのさきには 闇夜を赤々と照らずタイマツをもち 手に怖そうなものをもった山賊たちがいました。
さっきのときよりも 数が多いです。でも 神様にお願いを聞いてもらうためには たくさんの良い事をしなければなりません。もしも 逃げたら悪い事となって 神様におこられます。

お化け騎士の少年は勇気をおこして さっきと同じように槍で山賊たちを殺さないように注意しながら 山賊たちを一人また一人とやっつけていきました。

でも さっきとは違い 山賊たちは遠くから弓で矢をうったり 少し遠い所から槍で突いてきたりと動きがちがい。また 誰一人として逃げたりしようとはしませんでした。
戦い始めてから一時間 二時間がたったでしょうか。お化け騎士の少年は生まれて初めて疲れをかんじながらも 全ての山賊たちをやっつけました。

でも いつのまにか馬車のよこには馬にのった人がたっていました。
栗色の髪の毛でどこか上品そうなおちついた感じのする男の人でした。
馬車のよこにたっていた 男の人は お化け騎士の少年に少しこまったような笑みをむけると ガケのほうへと突き進んでいき落ちていきました。

お化け騎士の少年は不思議に思っていましたが 二人の騎士たちが少しあせったふうに となりの国のせきしょへいくといいましたので 馬車といっしょにまたいきました。

となりの国のせきしょについた馬車とお化け騎士の少年は 二人の騎士からたくさんのお礼の言葉と お礼としてお金のぎっしりつまったふくろをもらいました。

お化け騎士の少年が良い事をしたことへの感動をあじわっていると 馬車のほうから かぼそいけれどきれいな女の人の声で お化け騎士の少年に礼がいいたいといわれました。
二人の騎士は 少し青ざめた顔をして お姫さまだといって 馬車の戸をあけました。
そこには栗色の髪の毛をした すけるように美しくきれいなお姫さまがおられました。
そして 二人の騎士たちに離れるようにいって 二人の騎士はしぶしぶとはなれていきました。
そして お化け騎士の少年とお姫さまは 今回のお礼の言葉と なぜお化け騎士の少年は旅をしているか そして 旅をしてきた国々についておききになられました。
そして お化け騎士の少年のお話を 楽しく 悲しく ハラハラと聞き終えたお姫さまはかなしそうな 困ったふうな笑みをうかべていいました。
貴方のお話に悲しいことをつけくわえなくてはいけません。私はこれより 結婚をしたくはない人と結婚しなければなりません。私は愛する人と この森で山賊にあったふうにして でも お化け騎士の少年がいて失敗して 次の世であいましょうと愛する人はがけから 落ちていきました と。

どうして その人と結婚をしなかったのですか?
暗い暗い森よりも 深く暗い気分になりながらお化け騎士の少年は聞きました。

私が好きになった人は 実の兄ですの。ですから父王は このように急に私をとなりの国へ王子さまと結婚させたのです。
お姫さまは どこかイタズラをみつかって困った風に言いました。

ごめんなさい
お化け騎士の少年は 目に涙をいっぱいいっぱいためていいました。

いいのよ。きにしないで ちょうだい。
と お姫さまはやさしくやさしくいいました。そして そろそろ私はとなりの国に入らなくてはいけませんから ここでお別れですといいました。

お化け騎士の少年は ガタコトと走り去っていく馬車をいつまでもいつまでも手をふり続けました。



それから数日後 お姫さまはとなりの国の王子さまとの盛大な結婚式をあげ 神父様との誓いの言葉をのべるときに 赤く黒い血を吐いて眠るように倒られました。

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Novel Editor by BS CGI Rental
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