星をも隠す闇の中、一条の光がフラフラと昇り、大きく、大きな赤・蒼・緑・黄の光の円をお腹にまで響く音をたてて、闇の中に花開いた。
祭りの最後を飾る花火が今、始まった。
始まりの神社の隅のお稲荷さんで、ボクとあの子は花火を見ていた。 花火を見るあの子は、花火よりももっともっと遠い所を見ているようで、ボクはせっかく友達となれたのに離れてしまうような感じになり悲しくなった。
花火は赤や青の普通の物から、「こんにちはネコ(作者注:X箱と同じ理由です)」や「ぺかちゅう(作者注:ちょっと危ないです)」などの有名なキャラクターの形をした見た目を重視したの花火や、何十発も豪快に打ち上げるのが交互に続く中。ボクはあの子に聞かなくてはならない事があった。
あの子が何者であるかを
「ねえ・・・聞いてもいいかな」 「私が何者かであるか、かい?」 「うん」 「じゃ尋ねるが、君はこの神社の名前は知っているかい?」 「うん、おとろし・・・・・御津呂氏(おとろし)神社」 「それが私の名前だよ」 「えっと、神主さんなの」 「いや、祭られている神様の本体だ。っうか、正しくは神社を守ってる妖怪」 「なっなんで!!そんなウソをつくんだよ」 「ふむ、信じないか、やっぱりな・・・じゃあ・・・」 あの子---自称、おとろしは右手を自分の顔のかざし、左へゆっくりと動かした。 そして、あの子は変わった。
ボクは聞かなかったら良かったかもしれない。
不機嫌そうだけど温かった黒い目は、にごった黄色らんらん輝きとボクを見て 白くスベスベとした肌は、血の抜ききった青白い死体の肌に骨のように角ばり やや犬歯が大きいけれど、小さく形の整った口は、耳元まで口が裂け、それを貫くが様に犬歯が名工に作られ数多くの血と魂をすった刀のように鋭く、禍々しく、外に出た。
僕の横にいるのは魔物だった。
・・・ボクは殺されるのかもしれない。 いやだ、いやだ、絶対に、逃げにゃきゃ・・・声を出さなくちゃ・・・
「ソう恐ろしガるな。私ハ神社を守護せルが務メでアるがぁ、すかし、今日は祭リの日でモあり、守護すル私自身がお前ヲつれ遊ンでいタから、喧嘩両成敗デ無罪放免は至極、当然之事で大丈夫、大丈夫」 酷く聞き取りにくく、人というより獣が言葉を話したような恐ろしい声だったが、口調がボクがさっきまで一緒に遊んだ友達のものだ。ボクはさっきまでの怖い気持ちが不思議となくなっていくのを感じ 「あっあぁ・・・ありがとう」 「ぅむ、ウム。」 「えっと、また会えるかな。おとろし・・・ちゃん?君?」 「お前が会ぃたけレば、いつデもこい。性別だが、実ハ私自身モ知らなぃのでネ、好き二呼ぶと良い」 「うん、じゃあまた会おうね。」 「でヮ、私は守りに戻ル。また、あぉう」 おとろしはさっきとは逆の手順で元に戻り、神社の奥の方へと走り出した。 その姿はすぐに消えたけど、ボクは手を振って見送り続けた。
そういえば、どうしようエアガン?
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