あさっては24日。
クリスマスイブだ。
それにしても人間ってやつはおかしい。
クリスマスを祝うのに、どうして前の日のイブに遊んだりするんだろう。
おかしい。
僕は学校の廊下を歩きながらそんなことをぼーっと考えていた。
お、咲がいる。
「あ、おい、さ」
「バカ!嫌い!大嫌い!慎くんなんてどっか行っちゃえ!」
顔を濡らした咲が俺に気づかぬまま、走っていってしまった。
そして目の前には咲の王子様、慎哉がいる。
慎哉は坊主だったのに伸びてきた髪をくしゃくしゃにかき上げながら「あー、やっちまったー・・・」と呟いている。
「ケンカかよ・・・。」
僕は心の中で呟いたはずなのに声にだしてしまったことに気づいて口を押さえた。
「なんだ松山かよ。」
「俺で悪いか。」
「別に・・・。あいつ今泣いてたよな?」
「あぁ、かなり。」
「あー!!!!!!!!!どうしよー!!!!!」
慎哉が本気であせっている。
いつもクールな顔してカッコつけてるくせに、あせってる。
これは滑稽だ。
「あさって、イブだよな・・・。」
「あぁ。バカでも日付くらい分かれ。」
「うっせー・・・どうすっかなぁ・・・。」
話を聞いてみるとこうだった。
今日は二人がつきあい始めた記念日らしい。 だけど慎哉はクリスマスプレゼントを買いに行くから一緒に帰れない。 でもプレゼントを買いに行くだなんて言えないから、ただ「今日は帰れない」とだけ言ったらしい。 咲がしつこく「なんで?」と聞いても慎哉は答えない。 そこへ慎哉のクラスの女子が通って、慎哉をからかうつもりで「慎哉ー、今日6時ねー♪」と言ったらしい。それを聞いた咲は当然キレた。
「なんで、つきあって1年の日にほかの女と遊ぶのよっ!」
もっともな意見だ。
そして慎哉がどんなに誤解を解こうとしても頭に血が上った咲は聞く耳を持たない。
そして最後には「バカ!嫌い!大嫌い!」と吐き捨てて走っていったというわけだ。 おまけに「どっか行っちゃえ」とも言われていた。
こいつ相当凹んだな・・・。
「どうすんだよ。」
「謝るに決まってんだろ。」
「まぁそれが一番だな。」
「ということで、お前には渡さないからな。あいつに嫌われたって。」
やつは爽やかに言ってのけて、咲が行ったほうへ走っていった。
バカップルめ。
あんなカップルにはなりたくない。
俺ならもっとバカになる。
|
|