「春喜っ!」
「奈緒・・・?」
「約束守ってよ!海だってまだいけてないでしょ?!」
「ごめん・・・怒ってる?」
「別に気にしてない。」
「・・・そう・・・。」
「春喜っ!」
?!
「聞いてよー!まーたあいつ約束やぶるの。。一緒に夜景見ようって約束したのにぃ。。」
サチだ。
「春喜、一緒に見よー??」
かわいかった。
春喜の両手を掴み、首をかしげて自分より遥かに高い身長を見上げて、素直に、なんのためらいもなく言う。
私が言いたい言葉を。
おそらく私の姿が目に入っていない。
「桜井ー、班長会議の時間の」
「おまっ・・・どうしたんだよ。」
司だ。
相当驚いている。 当然だろう。しばらく人前で泣いていない。
春喜の前以外で泣いていない。
3年間ずっとやってきても司は見たことがなかったのだろう。
「・・・なんでもない!」
でも相棒は目の前の光景を見てだいたいの出来事を悟ったのだろう。
「桜井。」
「・・・なによ・・・。」
「先生が班長会議の時間ずらしたいってお前のこと探してた。行くぞ。」
司は私をこの惨めな場所から連れ出そうと、私の腕を掴んだ。
「奈緒っ!!」
どんなときでも私を守っていてくれたヒトが私の名を呼んだ。
「・・・なに?」
「・・・・・・いや、なんでもない。」
ヒキトメテハクレナカッタ
翌朝の班長会議では私は何事もなかったかのように過ごした。
いつも顔に出てしまうが、たぶん普通にできている。自分でも少しびっくりした。
「じゃあ出席取ります。1班浅井さん。」
「はい。」
「2班清水くん。」
「はい。」
「3班見原くん」
「・・・はい・・・。」
ほら、普通にできる。
春喜の顔はいつもにまして冷たさが漂っていた。
誰も近づけない、最高に不機嫌なのだ。
「あ、司、そこ違う!!!」
「は?!違わねーよ!お前どこ見てんの?」
「だってここっ!!!ほら、やっぱり違うじゃん。」
「あー、もうはいはい。」
「素直に言うこと聞きなさい♪」
「スミマセンしたぁね、会長。」
司が私の頭を軽くポンっと叩いた。
そして春喜の顔がどんどん不機嫌になっていくのもわかった。
「おい、実行委員長と副委員長!ケンカしてんだかラブラブしてんだかわかんねーよ!」
みんなもいつものようにはやし立てる。
そしてさらに機嫌が悪くなる。
だけど、どうして私がそれをやめなきゃいけないのだろう。
春喜が、春喜が悪い。
サチを選んだから。
昨夜、私を引き止めずサチと夜景を見たんだから。
わたしは悪くない。
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