「奈緒?!どしたの?」
席に戻ると隣の席の葵が私の異変に気づいた。
「え?何が?」
「何がじゃないよ。泣きそうなんだけど。」
顔にでるのだ。嬉しいときも怒ってるときも・・・。
「別に。」
「おーい!桜井ー!」
いいところでクラスの男子が私を呼んだ。
「はーい!」
「ちょっと来てぇー!」
「葵、じゃ!」
私は葵の尋問から逃げた。
誰かに話したら涙が止まらなくなってしまいそうな気がしたから。
そしてその涙は3日間の間ずっと引っ張りそうな気がしたから。
負けたくなかった。
こういう変なプライドだけは強い。
学級委員だし、ここでテンション下がったら心配かけるし。
何よりもサチに「どうしたの?」って心配されるのが嫌だった。
京都は恐ろしく暑かった。
6月上旬だとは思えないほどの高温と晴天だった。
ホテルに着き荷物を置くと再度バスに乗り込み、寺社などを回り、夜になると比叡山の高台まで琵琶湖の夜景を見に行った。
バスを降りてクラスメイトを並ばせ、点呼を取り、先生へ報告。
「桜井、男子24人全員OK。」
「サンキュ。せんせー、3年3組46名、全員揃いましたっ!」
私はあえて明るく努めた。
「わぁー!!!!きれぇー!!!!!」
目の前の夜景は、京都の街を夜空に表した星のようだった。
「なーおっ!」
葵やクラスの友達、他クラスの友達も私のところに来てくれて、一緒に夜景を見ていた。
「奈緒、あんたバカ〜(笑)」
私はいつものようにおどけてみんなを笑わせていた。
「桜井、バカじゃねぇの?(笑)転げ落ちてもしらねーぞ?」
司やクラスの男子もよってきて私をからかう。
友達とこうやって騒いでいるのがすごくたのしい。
さっきの嫌な出来事もみんなで笑って忘れられる。
でも、でも・・・旅行前に約束した。
「一緒に夜景見ようね。」
約束やぶったことはなかった。無茶なことでも時間をかけて私のワガママ全部聞いてくれる。
約束、守らなきゃいけない。
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