体育祭当日
「いいっ?!何があっても負けないでよ!?」
これから男子の団体種目、騎馬戦だ。
私は入場門で最後の激励をした。
「おう!」
男子全員が私の声に返事をした。
そして司の掛け声と共に、男子たちはグラウンドの中心へ飛び出していった。
今日は笑顔でいなきゃいけない。
私が笑顔でいなきゃ。
そしてうちのクラスは優勝した。
何度も負けそうになったけど、なんとか1位。
体育祭の夜に行われる行事がある。
普通、フォークダンスとかだけど、うちの学校はキャンプファイアーをする。
そしてどこの学校にもあるような『そこで告白したカップルは永遠に結ばれる』という伝説を作っている。
「なーおっ。」
「あ、葵ー。」
「お疲れ様、委員長。」
葵は笑顔で言ってくれた。
「ありがとう。。」
私たち二人は缶ジュースを飲みながらキャンプファイアーの前にしゃがんで、燃え上がる炎を見つめていた。
「ねぇ、奈緒?あたしはね、奈緒にいつでも本当の笑顔でいてほしい。」
葵はマジメな顔でつぶやいた。
「・・・笑ってるよ?」
「・・・うそつかないの。司から聞いた。昨日春喜とサチが一緒にいるところ見たんだってね。」
「・・・うん。」
「ねぇ、あたしは信じてる。」
「何を?」
「奈緒と春喜は、どんな壁を作ったって絶対に壊す。」
「・・・無理だったじゃん?」
私はあざ笑うかのように言った。
「まだ終わってない。奈緒に『春喜が好き』って気持ちがある限り、この恋は終わらないよ。」
「・・・春喜からしたらただの迷惑だよ。」
「迷惑?そんなの知ったこっちゃない。あんた今まで、春喜に悪いことしてきたなぁって思ってんでしょ?」
「・・・うん。」
「傷つけたのが奈緒なら、幸せにするのも奈緒だよ。」
「・・・。」
「傷つけるだけ傷つけておいて逃げるの?あんたはそんなやつじゃない。」
「で、でも・・・。」
「あんたはね、しっかり者ですぐに無理する大バカ者。でも本当は弱い。」
葵は続けた。
「弱いけど強い。」
私が弱い?強い?
「責任逃れするんじゃない!傷つけたなら、春喜の傷を癒してから別れな。そんであんたは弱くてアイツがいなきゃ立っていられない。だから立たせてもらうの。」
キャンプファイアーはそろそろ終盤でカップルが増えてきた。
「『この人じゃなくても大丈夫』・・・そう思えるときまであきらめダメ。あんただって純粋に春喜を愛してるんだから。」
『愛してる』
あぁ、そうだ。
私が1年前からずっと伝えたかったことだ。
春喜は何度も口に出して言ってくれた。
私は一言も言うことがなかった。
恥ずかしかったし、心のどこかで拒否られるんじゃないかって思ったりしたから。
そうじゃない。
言わなきゃいけなかったんだ。
大好きだってことを。
ただ素直に。
疑うより先に、言うべきだったんだ。
今日は9月15日。
あなたに逢いたい
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