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花〜大切な人へ〜 作者:lover

第20回   呼ばれた名


どんどん近づいてくる。




「あ、長島くんじゃない?」



「え、マジだ!司ー。」





私の存在には気づいていないみたいだ。




でもこのままだと気づかれる。





会いたくない。


普通にできるわけがない。




笑えない。




だって泣いている。






司は後ろに手を伸ばして、私の頭を下げさせて、体を自分の背中にぴったりくっつけさせた。




「よぉ。」


「何してんの?あ、明日の準備ね。」


「うん。」


「え・・・ってことは奈緒・・・も?」





春喜が私の名前を口に出した。






うれしかった。






変わらない、低めでちょっと怖くて、でも本当は優しい声で3ヶ月ぶりに私の名を呼んだ。






「学校にいるよ。俺は足りないものあったから買出し。」




「そうなんだー!うちらはねぇ、夜のお散歩♪」



サチは明るくかわいい声で言った。



「そう・・・じゃ、俺、あいつが待ってるから行くね。」




「・・・あ、うん・・・。」







そうして司は走り出した。






「えっ?!」






春喜は私の存在に気づいた。




「奈緒っ!!!!!!」






司は全力で自転車をこいだ。







振り返ると


そこには





世界で一番愛しい人がいた










「大丈夫?」



学校でテープを録音していると司が心配して聞いてきた。



「あぁ、大丈夫だよ。」




それしか言えなかった。


大丈夫の一言を言うので精一杯だった。









やっぱり涙は止まらなかった。


いつもあの後ろに乗っていたのは私。




後ろに乗って、わざとフラフラな運転する春喜に怒っていたのも私。


後ろに乗って、春喜の背中にしがみついていたのも私。







嫌で嫌でたまらなかった。




自分以外の人間が、サチが、春喜が愛しいと思う彼女が、春喜の体に触れる。






春喜はどんなふうにサチを抱きしめる?


春喜はどんなふうにサチにキスをする?





私にしたように、優しいぬくもりでサチの心を温めるんだ。









バカだ。



司を好きになりたいって心から思った。



司を好きになれそうだって心から思った。









でも




私の心にいるのは





やっぱりあなただけ











その後は、司に送ってもらい家に帰った。






ベッドの中に潜り込んで、春喜とサチの幸せそうな顔を思い浮かべていた。




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Novel Editor by BS CGI Rental
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